半月ほど前に取り上げた韓国の生命倫理問題が予想外の進展を見せている。
倫理問題だけで終わるかと思っていたら論文データに続々と疑問点が生じ始めているのだ。
この問題について手っ取り早く知りたいという人は、当ブログのこのエントリをご覧あれ。
幻影随想: 10分で分かる韓国の生命倫理問題このエントリは11月終わりまでの情報しかフォローしていないため、
次に
[ EP: end-point 科学に佇む心と身体]さんのこのエントリを続けて読んでいただければ事態が分かりやすいと思う。
韓国の幹細胞倫理違反騒ぎ:続々報&ヘルシンキ宣言 さて、前回のエントリで挙げられた三つの倫理問題だが、結局全て正しかった事が明らかになった。
これまで国ぐるみで否定しまくっていたのが一転して問題を認めたため、
ファン教授は諸外国からは「
倫理的な問題を起こした研究者」「疑惑の追及を逃れようと嘘を付いた研究者」というレッテルを貼られてしまったわけだが、それだけならまだ浮かぶ瀬もあったろう。
(ノーベル賞はもう駄目だろうけど)
しかしこの間の韓国内の世論の動きはまずいことこの上なかった。
言い方は悪いがこの疑惑を単に一研究者の問題、つまりファン教授の問題として割り切って追求、批判していれば韓国の幹細胞研究には−ファン教授にとっても−失地回復の余地があった。
しかしこれまで国ぐるみでファン教授を英雄に祭り上げ、科学分野で初のノーベル賞候補者として過度の期待を抱いてきた彼等にとって、彼をスケープゴートとして切り捨てる選択肢はとても取れなかった。
韓国では国ぐるみでファン教授の擁護に走り、疑惑の隠滅を図ろうとした挙句に疑惑を暴露した報道機関に対する政治的攻撃を加えるまでに至った。
この暴走のおかげで韓国の生命科学者、ひいては韓国科学界そのものまでもが他国から白眼視されかねない事態に陥りかけているのだ。
先日朝鮮日報がこんな
失笑ものの風刺絵を載せいていたが、
彼等はどうも外の目に対して無頓着というか随分鈍いようだ。
欧米のメディアでは、大抵韓国でのヒートアップを冷ややかな目で見ている。
一例としてNYTの記事を(韓国の新聞への転載)
The Seoul Times:Korean Scientists Likely to Face Tighter Scrutiny
NYT Editorial
South Korea's Cloning Crisis Published: December 4, 2005
South Korea's high-flying stem cell researchers - reputedly the best in the world at cloning - have stumbled badly in handling the ethical issues of their controversial craft. Worse yet, the research team's leader, a national hero in his homeland, lied in an effort to hide his ethical lapses. We can only hope that he has not also lied about the astonishing scientific achievements of his research team.
「我々に出来ることはただ祈ることだけだ。彼が彼の研究チームの驚くべき科学的業績については嘘をつかなかったことを。」なんとも強烈な皮肉だ。
朝鮮日報の風刺絵との温度差はすさまじい。
前回のエントリを書いた時点ではこの問題は倫理的な問題としてかなり注目を集めていた。
それでも、その時点では私はこの一件がただの倫理問題で終了だと考えていた。
多分大半の人がそうだったのではないかと思う。
しかしどうやらそれだけでは済まなかったようだ。
さらに疑惑第二弾が発覚した。
続きを読む