2008年04月05日

疑似科学と「空気」の研究(その2)

先日の「疑似科学と「空気」の研究」の続き。
前回はあまり長くなるのも良くないと思い、きりのいいところで終わったが、改めて読み返していたら「ここはどうしても触れておきたい」という部分がまだ残っていたことに気付いたので、もう少しだけ書いておくことにした。
前回分を未読の人はまずそちらからどうぞ。

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2008年03月22日

疑似科学と「空気」の研究(その1)


「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3)): 山本 七平: 本


久々に書評。今日紹介するのは山本七平の『「空気」の研究』である。
最近KYやらブログ炎上やらとの関係で再び注目を集めているこの本だが、
私は疑似科学との絡みというちょっと違った側面からこの本を取り上げてみたい。
日本を取り巻くこの「空気」は、日本におけるニセ科学、オカルト、スピリチュアルの問題にも一役買っているのだ。
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2007年11月24日

ラボ・ダイナミクス―理系人間のためのコミュニケーションスキル―

久しぶりに本の紹介。

Amazon.co.jp: ラボ・ダイナミクス: 本

原題:Lab Dynamics : Management Skills for Scientists
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2007年09月06日

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学

久々に本の紹介。
今年の4月に出版された、松永さんの本です。
買ったのはいいもののずっと積読になっていたので、先日出張の際に新幹線の中で読破しました。

Amazon.co.jp: メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書 (298)): 本: 松永 和紀


まずはじめに、
この本がターゲットとする読者は、根拠の無い健康情報やニセ科学に免疫のない一般の人達だと思われます。
本書の中で取り上げられているネタは、いずれも(この界隈では)良く知られたものばかりであり、疑似科学ウォッチャーとしてこの本を読んだならば「見慣れたネタを元に当たり前のことが書いてある」という感想がまず浮かぶことでしょう。
しかしこの本の価値は「見慣れたネタを元に当たり前のことが書いてある」ことにこそあります。
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2007年05月08日

健康食品・中毒百科

古の賢人パラケルスス曰く――
「この世に毒でないものはない。あるものが毒になるか薬になるかはその用いる量によるのである」
via 毒性学 - Wikipedia


この世のあらゆる物質は――そう、水でさえも――毒になりえます。
最近巷で流行っている健康食品もまた例外ではなく、量を過ぎたために、また酷い場合は毒にしかならないものを薬と偽って売られて健康障害を起こす事例が多々あります。

疑似科学ウォッチャーをやっているとトンデモ健康商法に絡んでこの手の被害に言及する事もあるので、先日資料のついでにこの本を購入しました。

Amazon.co.jp: 健康食品・中毒百科: 本: 内藤 裕史

この本は健康食品によって引き起こされた健康被害のデータベースで、1000本以上の臨床論文を元に健康食品が引き起こした中毒症例をまとめた力作です。
「よくぞこれだけの量を」と思わず感嘆する程のデータ量が載せられています。
各症例毎にきちんと報告論文が記載されているのが素晴しいです。
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2007年04月27日

ホット・ゾーン ― 恐怖!致死性ウイルスを追え!

「現実に勝るホラーはない」という事で、
今回は現代社会に忍び寄るリスクの一つアウトブレイクネタを。
少し前にapjさんのところで話に出てきたので、思わず衝動買いしてしまいました。
昔はハードカバーだったのが、今は文庫も出てたんですね。


Amazon.co.jp: ホット・ゾーン―恐怖!致死性ウイルスを追え!


私の好きな映画の一つにアウトブレイクがあります。
致死的な伝染病、致死率90%以上といわれるエボラ・ウイルスを扱ったスリラーサスペンスの傑作だと私は思ってますが、あの映画のモデルになった事件が実際に起こっていたというのはあまり知られていません。

本書はアメリカで実際に起こりかけたエボラ・ウイルスのアウトブレイクに関するドキュメンタリーです。
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2007年04月24日

微生物を追う人々

先日は21世紀にもなって未だに微生物の自然発生説を唱える困ったさんを紹介したので、
今日は口直しにこの本を紹介。

Microbe Hunters
本書は生物学史、医学史に名を残した微生物ハンターの活躍を描いた名ドキュメンタリーです。
原著が出版されたのが1926年と随分古い本なのですが、瞬く間に100万部を売り上げました。
そして今でも各国語に翻訳され何度も版を重ねているという、科学書としては異例のベストセラーでもあります。
洋書ですが、一般向けに書かれている本なので難しい言葉は余り出て来ません。4年制大学受験レベルの英語力があれば問題なく読めるでしょう。

あいにく絶版になっていますが、邦訳もあるので一応紹介しておきますね。
微生物を追う人々
こちらは1991年に出版された、中高生を対象にした科学入門書です。
多分ある程度の大きさの図書館になら置いてあるはずなので、日本語の方がいいという人は探してみてください。
先日私も近くの図書館で借りて読んでみたのですが、大人でも十分楽しめる良書だと思います。
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2007年04月14日

キャンベル生物学

先月末に邦訳が出版されたようなので宣伝しておきます。
生物学のテキストとしては、おそらく現在最高峰と言えるでしょう。
私も早速一冊購入しました。


Amazon.co.jp: キャンベル生物学


本書は、海外で大学レベルの生物学教科書としてよく使用されている"Campbell Biology 7th Edition"の邦訳です。
私は大学で生物工学を専攻していたので、買わされこそしなかったもののたまに原書が参考文献として指定される事がありました。
そのころは主に図書館で借りて読む程度だったのですが、海外でスタンダード扱いされるだけあって生物学の全てを扱っていると言っても過言でない内容です。
生態学・動植物学というマクロな視点から、生化学・分子生物学のミクロな視点まで、そして全てのバックボーンとなる進化生物学、最新のバイオテクノロジーの成果に至るまで、本書は幅広い内容をカバーしています。
何度も版を重ねているだけあって、文章も図表も非常に分かりやすいものになっているのが高ポイントですね。

少々値段が張りますが、生物学に関わる仕事に就いている人間なら買って損は無いでしょう。
図表が非常に優れているので、それだけを目当てに買うと言うのもありですね。
少なくとも私は今、手元にある本書の内容に満足しています。
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posted by 黒影 at 12:28 | Comment(5) | TrackBack(0) | Books | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする