2006年04月02日

パワードスーツで山に登ろう

筑波大が面白い研究をしている。実用レベルのパワードスーツが既に出来ていたのか。

asahi.com:ロボットスーツで日帰り登山 障害者背負いアルプスへ
 アルピニストの野口健さん(32)=東京都在住=を隊長とする登山隊が8月上旬、歩行が困難な障害者2人を背負って、スイスアルプスのブライトホルン(約4160メートル)に日帰り登山する。隊員の体力消耗を抑えるため、モーターの力で歩行を支援する「ロボットスーツ」を一部の行程で使う計画だ。ロボット工学が専門の山海嘉之(さんかい・よしゆき)・筑波大教授が協力する。

このロボットスーツ、HALという名前がついているんだが、公式ページの写真を見る限りなかなかの完成度だ。
バッテリー無交換時の連続駆動時間は2時間。
全身型で重量24kg、下半身のみで重量16kg、自重が装着者にかかることは無いように設計されている。
これをアルプス登山の一部の行程に利用しようということらしい。
急斜面ではさすがに無理だろうが、山道でも使えるというのはすごいな。
不安定な足場で人を背負うとなると動作制御やバランス制御が難しいと思うんだが、
その辺はどうやって対応しているんだろう?
posted by 黒影 at 13:54 | Comment(2) | TrackBack(1) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月01日

鉄の鱗を持つ巻貝スケーリーフット

“鉄のよろい”持つ巻き貝、世界で初めて展示 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 よろいのような硫化鉄のうろこを持つ巻き貝「スケーリーフット」の採取と飼育実験に、日本の調査団が成功した。
 この貝はインド洋深海底でしか生息が確認されていない。31日から神奈川県の新江ノ島水族館で世界で初めて標本展示される予定。
 うろこは腹足部を覆い、硬さは人間の歯の倍程度。外敵から身を守っているとみている。
 海洋研究開発機構を中心とした調査団が今年2月、海底2420メートルから約20個を採取し、船上で1週間以上飼育、観察した。

金属成分を生体の素材に利用する生物か。本当にこんなのいるんだなぁ。
写真を見る限りまるでスケイルメイルのようだ。
さすがScaly-footと呼ばれるだけのことはある。
一体どんな進化の系譜を辿ってきたんだろうか?

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2006年01月07日

北京原人はどこに消えたのか?

大戦中のどさくさに紛れて行方がわからなくなった
北京原人の頭蓋骨の行方に関する話が、今になって出てきたらしい。

消えた北京原人、やはり米軍施設に? 43年憲兵隊報告
 北京原人の化石骨は41年、日米開戦の混乱の中で姿を消した。20世紀科学史の悲劇としてその行方は様々に語られているが、「米軍施設に運び込まれた」と結論付けた日本軍憲兵隊の報告書の内容を、国立歴史民俗博物館の春成秀爾教授(考古学)が12月発行された日本人類学会の機関誌で明らかにした。

日本に渡さない為に米軍の宿舎に運び込まれたというところまではどうやら確からしい。
しかしその後の行方が分からなくなり、この書簡によれば日本側も行方を把握できていなかった模様。

一説によるとその価値を理解できなかった米兵にぞんざいに扱われ、
流出して漢方薬の材料にされてしまったということだが
そんなことになっていなければいいなぁ。
posted by 黒影 at 16:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月03日

死体農場

死体農場というものをご存知だろうか?
数年前に人気になったパトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズをご存知の方ならピンと来るだろう。

死体農場とは、人間の死体が様々な環境中に置かれた時にどのような経緯で腐敗していくかを観察する為の実験施設で、現在のところ世界で唯一アメリカのテネシー州にだけ存在する。

どうかグロテスクだとか狂気の沙汰だとは思わないで欲しい。
こういったデータは犯罪捜査のためには必要不可欠なのだ。
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posted by 黒影 at 08:20 | Comment(5) | TrackBack(1) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月21日

ウミグモとアノマロカリスは近縁だった?

今週のNatureには進化生物学関連の注目論文が目白押しで実に充実している。
ヒト、ハエ、ウミグモと全く別々の生物の話だが、どの論文の切り口も非常に面白かった。
まずはウミグモの話から行こうかな。続きを読む
posted by 黒影 at 22:43 | Comment(1) | TrackBack(0) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月02日

宇宙考古学―Googleの衛星写真から古代遺跡発見―

考古学の一分野に宇宙考古学というものがある。
検索してみると勘違いしている人も結構いるみたいだが(デニケン辺りのせいだな)、
本来は宇宙から地球を観測して得られる情報を考古学的な調査―例えば未知の遺跡の発見―に生かそうとする学問だ。
その研究ステップには衛星写真を解析してかつて川の流れた場所、建造物があった場所を見つけ出すという作業がある。
宇宙考古学-----東海大学情報技術センター


そして今回紹介するニュースは、GoogleMapとGoogleEarthを使って
一介のプログラマーが遺跡を発見しちゃったというお話。
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「太め」の顔は就職に不利?

「太め」の顔は就職に不利 仏の研究者、偽履歴書で実証(Asahi.com)
 フランスの社会研究者が、肥満が就職活動に影響するかどうかを調べるため、コンピューターで求職者の顔写真を「太め」に画像処理したものと、本物の顔写真を使い分けて応募してみた。肥満に見せかけた求職者に企業が接触してくる割合は、本物の顔写真の半分。お客に姿を見せない電話利用の職種でさえ、太めを嫌う傾向があった。

なんてえげつない研究結果だ。
しかしあり得る結果だと思ってしまう自分がここにいる。
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2005年09月30日

最古の左右対称生物ベルナニマルキュラ

日経サイエンスを読んでいてこんな記事を見つけて、ああ、そんなこともあったなと。
動物はいつ左右対称になったのか
左右対称生物のことをバイラテリアと呼ぶ。
バイラテリアは脊椎動物を含む様々な動物門の共通項であり、
この形状を備えた最古の生物こそ、我々の先祖という事になる。
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2005年09月25日

バイオの政治学

今週は北大に白楽ロックビル氏がやって来て集中講義があるのだ。
白楽ロックビル氏と言えばバイオ分野では知る人ぞ知る有名人
(Google検索で500件程度しか引っ掛からなかった)
特に博士号とる?とらない?徹底大検証!―あなたが選ぶバイオ研究人生は名著だ。
講義登録はしていないが是非とも潜り込んで聞きに行こうと思っている。続きを読む
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フレンチフライと乳がんの関連性?

2,3日前にこんなニュースがあったんだが、ちょっと前に書いた統計の問題にもろに引っ掛かる記事だなあと。
おまけにデータの信頼性も疑わしいし。
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東大RNAi研究者の論文捏造事件に関して

直接は関連のない分野の話だったので色々調べていたら時期を逸してしまった感があるが
まあせっかく色々調べたので書き上げてしまおう。
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2005年08月29日

SPring-8横に新たなX線レーザー施設建設へ

超微細構造解析に光、文科省がX線レーザー施設建設へ
 文部科学省は、「夢の光」とも呼ばれ、物質の超微細構造の解析などに威力を発揮する「エックス線自由電子レーザー」の施設建設に来年度から着手する。
 総額400億円を投入、2009年の完成を目指し、放射光施設「スプリング8」の隣接地に、全長800メートルの大型施設を作る。
 このレーザーを活用すれば、従来は解析できなかった様々なたんぱく質の働きを解き明かすことも可能で、新薬開発などにつながると期待される。

SPring-8は分子生物学者にとっても欠かせない研究施設なのだ。
私は使ったことが無いが、以前の研究室の友人は月一ペースでタンパクの構造解析の為に通っていた。
なんせ国内に一つしかない施設なので、当然分子生物学の人間だけじゃなく物理、化学分野の人間も大勢ここを使っている。
全部で48本のビームラインがあるが、生化学関連の研究で使えるのは一部だけだ。
そのため予約を取るのが結構大変なんだそうな。

SPring-8の個人研究者への一回の割り当て時間は24時間。
その割り当て時間でちょっとでも多くデータを取らなければならない。
宿泊施設も借りることが出来るけれど、大抵は徹夜でデータ収集に当たるんだとか。


今回新しい施設が造られることでタンパク解析の精度が更に上がる。
ついでに予約の混雑具合も少しは緩和されるだろう。
タンパク質の研究者にとっては朗報といえる。

◆関連リンク
大型放射光施設(SPring-8)
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2005年08月26日

ロンドン動物園でホモ・サピエンスの展示中

ロンドン動物園で本日から28日までホモ・サピエンスが展示されている。
ホモ・サピエンスは地球上で最も繁栄している霊長類であるにもかかわらず、
動物園に展示されるのはこれが初めての試みである。
そのため一目見ようと初日から大勢の客が押し寄せているという。
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posted by 黒影 at 15:37 | Comment(1) | TrackBack(2) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月23日

News Clips

私は日経サイエンスを購読しているが、この雑誌は実はサイエンス関連の翻訳記事がかなりの部分を占めており、原文がネット上にも存在する記事も多い。
そこで備忘録を兼ねて面白そうな記事の原文をいくつかピックアップしてみることにした。

◆科学全般
Buying Time in Suspended Animation
生命の時間を止める
―仮死状態の医療応用―

Inconstant Constants
物理定数は変化する?

The Morning of the Modern Mind
人類の文化の夜明け
―早かった象徴表現の起源―


◆幹細胞関連
Mother of All Cells
「母なる細胞」の可能性

The Stem Cell Challenge
幹細胞の挑戦

Repair Workers Within
成体の修復細胞を活用する


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2005年06月24日

琵琶湖東岸の遺跡からマグロの骨が出土

Yahoo!ニュース - 京都新聞 - 縄文人は豊かな食生活、マグロも食す 米原・入江内湖遺跡から骨
 滋賀県教委は23日、米原市入江の「入江内湖遺跡」から、縄文時代のマグロの骨や球根、シカの角製釣り針などが出土したと発表した。同時代の内陸部の遺跡からマグロの骨が出土したのは西日本で初めて。淡水魚や木の実に加え、マグロも食卓にのったとみられ、多様で豊かな食生活を送っていた縄文人の姿が浮かび上がる。

まさか琵琶湖でマグロが取れるわけもないし
福井か伊勢辺りで水揚げした物が米原まで運ばれていたということになるのかな?続きを読む
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2005年06月12日

欧州中部で発見された最古の文明

Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 150以上の神殿跡、欧州最古の文明か…英紙報道
 【ロンドン=土生修一】11日付の英紙インデペンデントは、ドイツ、オーストリア、スロバキアなどの欧州大陸中央部の広い地域で、紀元前4600年から4800年にかけて建てられた150以上の神殿跡が発掘されたと報じた。

 事実なら、巨石文化を示す英国のストーンヘンジよりも2500年以上も前になり、同紙は「欧州最古の文明の発見であり、欧州の先史時代研究を書き換える意義を持つ」としている。

マスターキートンのドナウ文明理論を思い出すなあ。続きを読む
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2005年06月08日

石油生産量は今後10年で頭打ちになる?

イラク戦争や世界各地でのテロリスク上昇、中国での消費の急増など様々な要因もあって
一昨年あたりから急上昇している原油価格だが、このまま高止まりして再び落ちることは無いかもしれない。

そう思わせる材料となったのが以下の記事
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2005年06月03日

サイエンスコミュニケーター

就活が一段落したので久々にこちらの更新

『5号館のつぶやき』
仙台から (科学技術コミュニケーター養成ユニット採択)という記事にTB。

北海道大学で面白い事を始めるようです。
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2005年05月24日

日本のアカデミックな領域、あるいは象牙の塔の住人

時間がないのでメモ程度だが、阪大医学部で起こった論文捏造事件について
アメリカ学研究所さんが詳しく取り上げているので紹介してみる。

阪大捏造事件の怪(1)-アメリカ学研究所
阪大捏造事件の怪(2)-アメリカ学研究所

捏造に関する話はリンク先を読んで頂くとして、主題とは離れるのだが
私は日本のアカデミックな領域が抱える問題についてのwatoro氏の記述にすごい勢いで頷いてしまった。
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2005年05月15日

Science誌が選ぶ2004年の科学的進歩ベストテン

Science誌が選ぶ2004年の科学的進歩ベストテン

1位 火星の生命を支えていた塩分濃度の高い酸性の水

 堂々の一位に輝いたのは、火星探査機によって発見された火星の水の証拠だ。
かつて火星に塩濃度の高い酸性の海が存在したことはもはや疑いようがなく、
大気中にホルムアルデヒドの存在が確認されたり地下水や地熱の存在が示唆される証拠が発見されたりと生命が現在も存在する可能性を示唆する発見が最近相次いでおり最もホットな領域の一つだ。

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posted by 黒影 at 21:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする