今回もやはり生温い笑みがこぼれましたよ、と。
今回の動きの概要としては児童小銃 .456さんのところの記事が分かりやすいかな。
要約すると「問題となった中西氏の文章は学問的な批判とは言えない」として、以下のような理由を挙げたのです。
・会議の場には中西氏もいたのだからその場で批判するべきだったのではないか。
・それなのに松井氏はホームページ上で反論の場も与えられず一方的に批判された。
・松井氏の抗議のメールをなぜ公開しなかったのか。一方的な批判である。
中下氏は「反論の場が与えられない」「ホームページ上で一方的に批判」に類似したフレーズを度々使い、そのたびに傍聴席にはビミョーな空気が流れたのでした。正直言って僕自身も笑いをこらえるのに必死でした。
…中下弁護士正気か?
傍聴席には発言のたびに微妙な空気が流れたというが、さもありなん。
私がその場にいたとしても、やはり笑いをこらえるために腹筋を総動員しなければならなかったろう。
それにしても、「おまえの物でないものは俺の物メソッド」をトンデモさんではなく弁護士の口から聞く日がこようとは。
あんたのやるべきことは名誉毀損を立証することであって科学的議論をどうこうすることじゃないだろうに。
科学的議論をどうこうしても名誉毀損は立証できんぞ。
これはトンデモの世界なら"God of the Gaps"と呼ばれる似非論理で、これが出たら即トンデモ判定していい代物なんだが
中下弁護士はどこまでそれを理解していることやら。
きくちさんもこの問題に関していい事を言っている。
例の訴訟と陰謀と敵味方とについて
それにしても、市民運動(特に環境や安全問題の)と科学者の関係は難しい。○○反対派の市民運動家は、「○○は危険だ」と唱える科学者を味方とみなし、「○○は危険ではない」と唱える科学者を敵とみなす傾向がある。本来、これは敵味方の問題ではないはずなのだが・・・・。
産業界におもねる学者も市民団体におもねる学者も、利やイデオロギーのために科学をゆがめるという点では何も変わらないわけだ。
彼等が「自分達と違う主張をするものは敵」という了見の狭い考え方を捨てない限り、
運動ごと自滅の道をたどるだけだと思うのだが…。
<追記>
この件に関して水商売ウォッチングの天羽さんがブログでコメントしてるのに気がついたのでリンク。
事象の地平線::---Event Horizon--- :: 主戦場はマスコミではなく、裁判自体を正面から扱えるネットだ
早々とプレスリリースを出した割には、その後の情報のコントロールがまるでできておらず、戦略性も感じられない原告側の動きを見ていると、どうも、時代の流れに取り残されているのではないかという気がしてきた。多分、原告の考え方や運動のやり方は、1970年代なら通用したのだろう。だけど、今となっては、多分古すぎる。
という部分に激しく同意。
ネット上の名誉毀損ネタを扱おうというのにネットを主戦場として想定していないというのははっきり言って寒すぎる。
ネットというものをまるで理解していないとしか思えない。
◆関連記事
・環境ホルモン濫訴事件
・環境ホルモン濫訴事件 経過観察
・環境ホルモン濫訴事件の進展があったわけだが
・環境ホルモン問題
・環境ホルモン問題―哺乳類への影響無し
◆関連リンク
・雑感324-2005.11.15「しかけられた名誉毀損訴訟の当事者的考察(その1)−マスコミでの断罪を期待した提訴−」:J. Nakanisi Home Page
・環境ホルモン濫訴事件(1) 松井講演に関する見解(総論):農薬のお話
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=505
http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?kiji=509
それにしても、(今回は敢えて触れなかった)中西氏が主張している「マスコミが裁くことを期待した裁判」を起こしたというのが事実ならば、これによって失われた研究への時間、論争に注がれる時間というのは取り返しがつかないものだと思います。(録音物によって事実関係が判明したなら、なおさら・・・)
さらに、掲示板情報で申し訳ないですが
http://www.i-foe.org/bbs/treebbs.php?mode=one&no=385&page=1
にある、原告側弁護人の「プレスリリースは新聞記者に対する説明のために出したもので、本件訴訟の目的にはあたらない」発言が本物であるならば、「訴状で言う『(報道について)中にはオーバーランしたものも見受けられるが、総じて客観的事実に基づき公平性に留意した報道がなされているといえるのである。』の語りは、結局何なんだよ!情報源そのものが欠陥じゃねえか!」という心境でもあります。
あ、あと黒影さんのまとめはエントリの書き上げに大きく役に立ちました。黒影さんや中西氏の支援者に限らず、こういう地道な資料・材料集めをされる方がいらっしゃるというのは、その方々の労力によって、報われる方がどこかで現れるというのになるのでしょうね。
実は私は今回の件に関してはそれほどマスコミの悪影響を心配していません。
もともと大した記事の扱いでなかったというのもありますが、
ネットを見ていても中西氏支援者の反応ばかりで松井氏の支援者はどうしたのだろうといった感じですし、
問題記事でこの一件を知った人でもちょっと調べれば情報はいくらでもあるわけです。
不勉強なマスコミ人が今後再びおかしなことを言ったところで環境ホルモン信者の人達にしか通じないでしょう。
まあこういった面でも情報格差は深刻だと思いますけどね。
>あ、あと黒影さんのまとめはエントリの書き上げに大きく役に立ちました。
非常に力の湧くコメントありがとうございますw
>こういう地道な資料・材料集めをされる方がいらっしゃるというのは、その方々の労力によって、報われる方がどこかで現れるというのになるのでしょうね。
それを意識の片隅においてこの手のテキストを書く人間は結構多いと思います。
どこかのだれかの未来のためにってやつですね。
http://www.google.com/search?hl=ja&lr=&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E4%B8%AD%E4%B8%8B%E8%A3%95%E5%AD%90&num=50
http://www.env.go.jp/chemi/entaku/kaigi01/shiryo/shiryo1/2.html
>中下 裕子 (なかした ゆうこ)
>ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議事務局長
反訴が仕事に差し支えるとか言ってたのはこの立場のせいか。
まあこのままじゃ散々煽っていた身の置き場が無いもんな。
http://www.kokumin-kaigi.org/
http://www.natureinterface.com/j/ni05/P70-71/
しかしこの訴訟が薮蛇になってむしろダイオキシン問題に止めがさされそうな勢いだが。
彼等は万事戦略センスが無さすぎる。
僕も天羽さんや黒影さんと同様、松井氏側の(というより、中下弁護士の)あまりの戦略のなさに呆然としています。マスコミが大々的に取り上げることを期待したのに、空振りに終わり、次の手を考えていなかったということなんでしょうか。現時点では、「結局何がしたかったのか、まったくわからない」、というのが率直な印象です。まさか、本当に勝てる訴訟だと思っていたわけではないでしょうが・・・
反訴もあり、今回の件で最大のダメージを受けるのは松井氏ということになりそうですね。訴訟をしかけた以上、反訴は覚悟の上のはずですが、本当に覚悟があったのかどうか、ご本人に訊いてみたいところです。
こちらこそいつもブログを参考にさせていただいています。
>現時点では、「結局何がしたかったのか、まったくわからない」、というのが率直な印象です。
私も全く同感です。
お二方とも一体どういう目算で訴訟を考えたんでしょうね?
そういえば、マスコミはまったく取り上げてないんでしょうか。
反訴のプレスリリースは出さないというようなことがどこかに書かれていた気が(ちょっと自信ありませんが)
それにこの訴訟自体マスコミの注目はほとんど集めていないので、反訴もインパクトが小さいのかも。
マスコミが取り上げないのはその辺が理由かもしれません。
>apjさん
ご紹介ありがとうございます。