そんなとてつもないものがあったら微生物のゲノム解読なんて1日で済んでしまうのですが。
比較されたらABI3100が塵に等しくなるような驚異的な性能だな。
言うなれば超並列シーケンサーといったところか。
予定では次はショウジョウバエの話のはずだったけど急遽変更してこちらに。
遺伝 : ずっと迅速なDNA塩基配列決定法
米国の科学者たちが、従来より100倍も速いDNAの塩基配列決定法を開発した。J Rothbergたちによれば、この新しい手法では4時間の1ランでDNAの構成単位である塩基2,500万個の配列を99パーセント以上の正確さで決定できるという。
Rothbergたちは、それぞれ異なる何十万個ものDNA分子をまず増幅し、次に60×60平方ミリメートルのプレート上の微細な反応槽を使って、すべての塩基配列を同時に決定するというやり方で、このような高速・高精度という離れ業を実現した。塩基配列決定反応の測定には光を用いている。
Rothbergたちはこの方法を使って、マイコプラズマの一種(Mycoplasma genitalium)のすでに解読されたゲノム(580,069塩基)の塩基配列を、わずか4時間の1ランで再解読した。小型化を進めてもっと多数の反応が同時に行えるようになれば、さらなる高速化も望めると著者らは述べている。
元論文を見てみたが、確かにこの方法ならいくらでも高速化が可能だろう。
Genome sequencing in microfabricated high-density picolitre reactors
The proliferation of large-scale DNA-sequencing projects in recent years has driven a search for alternative methods to reduce time and cost. Here we describe a scalable, highly parallel sequencing system with raw throughput significantly greater than that of state-of-the-art capillary electrophoresis instruments. The apparatus uses a novel fibre-optic slide of individual wells and is able to sequence 25 million bases, at 99% or better accuracy, in one four-hour run. To achieve an approximately 100-fold increase in throughput over current Sanger sequencing technology, we have developed an emulsion method for DNA amplification and an instrument for sequencing by synthesis using a pyrosequencing protocol optimized for solid support and picolitre-scale volumes. Here we show the utility, throughput, accuracy and robustness of this system by shotgun sequencing and de novo assembly of the Mycoplasma genitalium genome with 96% coverage at 99.96% accuracy in one run of the machine.
今回は面倒なんで訳は抜きで。
この画期的なシークエンス法はこんな感じに行うようだ(Fig. 1)
1.DNAを抽出、断片化して一本鎖に。
2.ビーズにDNA断片を(1フラグメント/1ビーズ)となるよう結合させる。
3.ビーズをオイルエマルジョン中のPCR反応溶液滴中に閉じ込め、反応を進行させる。(1000万コピーまで増幅)
4.DNA断片を変性させた後、Fig. 1-aの下段のような多孔のウェルにビーズを固定。
5.塩基を流す(Fig. 2)
6.CCDで発光を観測してウェルごとに配列を記録する。
あとは普通のショットガンシーケンスと同じ。
どうやら一つのウェル辺り100bp程度しか読めないようだが、
ウェルの数が膨大なので微生物ゲノムくらいなら一発で読みきることが可能というわけだ。
プレートを大きくしてウェルの数を増やしたり、方法の改良を進めて1ウェル辺りの解読可能塩基数を増やせばいくらでも性能の向上は可能なはず。
もう2〜3年もすればおそらく実用化された機械が市場に出回ることだろう。
DNAチップ技術と融合させれば他の使い道も広がる技術で応用範囲は広そうだ。