2008年01月17日

あなたが知らない間に口にしているクローン食品

最近アメリカのFDAがクローン動物の安全宣言を出して各所で話題になっている。
<クローン家畜>米FDAが最終報告 事実上の「安全宣言」(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
体細胞クローンの牛・豚・ヤギに安全宣言…米食品医薬品局(読売新聞) - Yahoo!ニュース
アンチGMOな毎日新聞がクローン食品に対してもいつもの調子で記事を書いていて微笑ましいが、それはまた別の機会に。

ちょっと話がそれた。
さて、クローン動物はともかく、クローン食品はすでに普通に我々の食卓にのぼっているということをみなさんはご存じだろうか?
その食品は決して頻繁に口にするものではないが、少なくとも日本人の半数以上が過去1年間に一度は口にしたであろう食べ物だ。
 
 
 
もったいぶるのも何なのでさっさと答えを書くと、
我々が知らずに口にしているクローン食品とは「イチゴ」である。
今から16年前には、すでに日本で栽培されているイチゴの6割以上がクローン苗のイチゴだった。
残念ながらデータを見つけることが出来なかったが、今なら最低でも7〜8割には達しているだろう。
最新のデータが欲しいところだ。

データはこちら
植物 BT をめぐる現状と課題(PDF)
ウイルス・フリー等のクローン苗利用比率(平成3年)
1.野菜
イチゴ    61.6%
ネギ     33.2%
サツマイモ  7.6%
ニンニク   5.4%
サトイモ   2.0%
アスパラガス 1.3%

2.果樹
ブドウ  17.8%
黄桃   5.6%
ミカン  4.1%
西洋ナシ 2.6%
リンゴ  2.2%
モモ   1.3%
日本ナシ 0.1%

農水省の調査によると、平成3年(1991年)の時点で既に、一部の野菜や果物の苗生産にクローン技術が使われている。
特に利用度が高いのがイチゴやネギで、それぞれ6割と3割を記録。
サツマイモやサトイモなどの根菜類においてもクローン技術の利用が開始されている。
果樹においてもブドウを中心にクローン苗の利用が広まりつつあり、すでに農産物の種苗開発においてクローン技術が無くてはならないものとなっていることが理解できる。


農業においてクローン苗の利用が広まった理由は簡単だ。
クローン技術を使えば、高品質かつ粒ぞろいな作物を容易に得ることができる。
このエントリでは扱わないが、上で引用した資料には花のクローン苗導入率(1991年度)についても載っており、8割を超える導入率の品目がいくつもある。
見栄えを要求される果物や花には特に、クローン技術導入のメリットが大きかったということである。


最後に、このブログの読者なら大丈夫だとは思うが念のため。

植物のクローン技術は、有史以来接ぎ木、株分けなどの方法で人類が農業に利用してきた最古のバイオテクノロジー技術の一つです。
細胞一つからのクローンが可能になったのはここ数十年ほどのことですが、基本的に接ぎ木や株分けの延長線上にある技術です。別におかしなものができたりするような技術ではないのでご安心を。


<1/20誤字修正>
posted by 黒影 at 23:56 | Comment(10) | TrackBack(0) | バイオトピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. 偶然やってきました。
    非常に面白く読ませていただきました。
    勝手にリンク貼らせて頂きましたので御挨拶まで。
  2. Posted by どら。 at 2008年01月18日 00:07
  3. コメも自殖なので、クローンだとおもいます。
    閉花受粉なので、単に自殖だというだけでなく、クローン率が断然高いと思います。
  4. Posted by meineko at 2008年01月18日 13:16
  5. そいや、今日会社の雑談でクローン牛を気味悪がってるんで、米なんか昔からそうだよ〜ん、と、教えて上げましたw

    #91年時点って、そんなもんなんだ。植物組織培養なんて大昔からあるような。
  6. Posted by Cru at 2008年01月19日 00:47
  7. >どら。さん
    はじめまして。
    今後ともよろしくお願いします。

    >meinekoさん
    自殖とクローンは結構違うのでは?
    自家受粉とはいえ交配時に組み換えは起きますし。

    >Cruさん
    技術が確立したのは70年代で、そのころは主に高価な花の培養に使われていたようです。
    農作物の苗に転用できるほどコストダウンが進んだのは80年代のようで、91年はちょうど普及期の真ん中くらいじゃないかと思います。
  8. Posted by 黒影 at 2008年01月19日 01:33
  9. 結構というか全然違いますよ。
    クローンなんだったらわざわざ種籾なんか買う必要ないです。
    自家採種していてもだんだん先祖返りしていくんですよ。
    それに風媒花というくらいですから、自家受粉とは限りません。
    百合のムカゴやジャガイモなんかはクローンと言えるかもしれませんね。
    と、農家から一言。
  10. Posted by JK at 2008年01月19日 06:32
  11. >基本的に遅疑機や株分けの延長線上にある技

    「遅疑機」→接木、、、かな?

    確かにコメはクローンではないな。だからDNA鑑定で産地が判別できるのだし。

    業界人には言わずもがなではあるが、わからない人が居るかもしれないから解説しておくと、エントリーで引用されている統計の「クローン」というのは、試験管の中で培養されたものの類ですね。接木挿し木は含んでいないようです。
    そう考えないと果樹の利用率が低すぎる。果樹はほとんどが接木挿し木ですから。

    イチゴもランナー(子株?)で増やすので、元々クローンだとも言える。
  12. Posted by Sekizuka at 2008年01月20日 15:21
  13. >JKさん
    仰る通りかと。
    ご意見ありがとうございます。

    >Sekizukaさん
    >「遅疑機」→接木、、、かな?
    誤字の指摘ありがとうございます。なぜ気付かなかったんだろうorz
    あと、補足説明もありがとうございました。
  14. Posted by 黒影 at 2008年01月20日 15:47
  15. ご指摘のおり、減数分裂時に交差が起こるので、閉花自家受粉だと言っても厳密には、クローンと言い切れないないですね。
    組み変わっても、同一の染色体間なので、形質には差がでにくいですが。


    産地間差のDNA分析は、その産地では、形質が安定しているということですから、クローンで無いとは言い切れない気がします。種籾自体は、別にメリクローンで増やしている訳ではないので。
  16. Posted by meineko at 2008年01月22日 15:50
  17. コメの表現型が安定しているのは、そうなるような選抜を常にしているからですよ〜。
    例えば、コシヒカリならこういうモノと決め、それとにているモノだけを常に原原種にするんですわ。
    本来、同じ遺伝子であれば産地によって性質が変わるはずです。それが同じ物差しで選抜しているので、逆に産地によって遺伝子が変わる訳ですね。
    国のマニュアルなんて、えらく細かい所まで定めてあり、国力を注いだだけあって凄いもんだと感心した記憶があります。
  18. Posted by Sekizuka at 2008年01月25日 17:15
  19. >Sekizukaさん
    なるほど、先に「コシヒカリ」の形質が決まっていて、各環境下でその形質を示すよう育種したものをコシヒカリと呼んでいるんですね。
    他所から種もみを持ってきても、それが「コシヒカリ」になる訳ではないということですか。
    勉強になりました。
  20. Posted by 黒影 at 2008年01月25日 19:52
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。