2008年01月01日

新年早々朝日の記事が面白すぎる件について

皆さん、あけましておめでとうございます。
幻影随想の黒影です。
今年も様々なニュースやトピックスを取り上げていきたいと思いますので、これからもどうかよろしくお願いします。
 
 
 
さて、本日のお題はこちら。
新年のトンデモ初めは朝日のこんな記事でした。
#29ページ生活面

超える 境界その1 健康
健康でいたい。
きれいでいたい。
長生きをしたい。
そんな目標を抱き、努力を始めた人々の願いは、尽きない。

冒頭部、こんな書き出しで始まる記事。
これ自体は万人の願いとも言うべきものであり、何もおかしなところはない。
しかし続く部分に書かれたその「努力」の中身は、明後日の方向に全力投球だ。

 磁気が体内に入るという機械、マイナスイオンが入るという機械、聞くと心身の調子が良くなるというオルゴール……
 会社役員の女性(45)が一人で住む東京都港区の築約40年の賃貸マンションには、毎日のように愛用する様々な健康機器がある。女性雑誌や本屋にあった健康関連の本で見付け、通信販売などで買ったものだ。
 家賃は月14万円。ほぼ同じ金額を、病気ではないが、クリニックやサプリメントなどに費やす。

20代半ば、バブルの幕開けのころに見合い結婚。「体力をつけたい」と思ったが、運動は大嫌い。「運動をしないで若さと健康を保ちたい」と長さ2メートルほどのドーム型の遠赤外線スチーマーを買い、2日に1度は汗を流した。
 健康・生活情報を紹介する人気の昼のテレビ番組がしばらくして始まった。
 情報はあふれ、自由な時間はたくさんあった。
 あれこれ迷い。吸い球を使って血行を良くする民間療法のグッズなどを通信販売で購入。全国から食品や水、サプリメントを取り寄せた。見つけると夫は、「またそんなもの買ったのか」と怒っていた。
 30代半ばに離婚した。体力ががくっと落ちた、と感じたのもこのころだ。更年期障害などの治療薬でヒト胎盤の成分が入った「プラセンタ」の注射に通った。
 30代後半には磁気の機械や温熱機、40歳を前にマイナスイオンが体内に入るという機械を買った。40歳ごろからは月に2,3回、酸素カプセルに通った。
 あこがれの「健康」は近づくようで、不摂生をすればまた遠ざかる――。

思わず「何このスイーツ脳」と言いたくなるほど典型的な、重症みのもんた症候群患者の症例。
テレビや健康本の悪影響をもろに受け、年を経るごとにだんだん症状が悪化していく様が、淡々と語られている。
ある意味怪談に近いものがあるな。


この記事のうまい(あるいは嫌らしい)ところは、記事に新聞自身の価値判断を直接入れずに、単にこういう事例がありますよとだけ紹介していることだ。
この記事も、やろうと思えば続編で批判に転じることが可能な程度には、記事対象から距離がとられている。
記事内容をどう受け取るかは読者に丸投げされており、どう取ろうがそれは読者の自己責任というわけだ。
自分が「健康・生活情報を紹介する人気の昼のテレビ番組」や「健康本」と同じことをしているという自覚はないらしい。


それにしても「マイナスイオン」「磁気が体内に入る機械」「高周波オルゴール」「民間療法」「サプリメント」「毒素排出」「血液クレンジング」「アンチエイジング」と、千文字程度の記事にこれだけネタをてんこ盛りにするというのは大したものだ。
新年早々笑い殺されるかと思った。
朝日新聞からのお年玉だと考えて、早速ネタにさせてもらうことにする。

シリーズ物らしいので先が楽しみだ。
万に一つくらいは先で批判的な展開になるかもしれない。

<追記>
15:00 引用部に間違いを見つけたので修正
この記事へのコメント
  1. はじめまして。
    ギャグとしか思えないほどのハマリっぷりに新年早々笑いました。

    かくいう私の身近にも軽度の擬似科学病を患ってる奴がいます。
    口をすっぱくして言っても、全く耳を貸さない。もう半ば諦め状態です。
    この女性もたぶん、周りから何言われようがこの道をつっ走るのでしょう。

    どーして、常識的な科学知識と反する事柄をすんなり受け入れられるんでしょうね?
    私にはその思考回路がさっぱり理解できません。
  2. Posted by 榊 at 2008年01月01日 18:46
  3. これを書いた記者は自分が(・∀・)ニヤニヤして、皮肉ってると思ってるんでしょうが・・・

    いや、でも楽しみです
  4. Posted by 匿名 at 2008年01月03日 17:58
  5. こんにちは。
    私もこの記事を読みましたが、「怪しい健康情報の氾濫とそれにハマった人をやんわりと批判している内容」という印象で、ビリーバー側に立ったものとは特に感じませんでしたけど…。
    記者はおそらく読者層を「この程度の内容であれば、トンデモを批判的に扱う立場だと分かってもらえる」くらいの科学リテラシーを持った人達として想定していたのではないかと思います。
  6. Posted by tokisaka006 at 2008年01月03日 23:58
  7. うーん、続き物であるならこの一回で評価するのは
    ちょっと早すぎるような気もしますが…

    それにしてもまぁそんな怪しい商品が売れて、
    まじめに考えたり研究したりしたものが受け
    入れられないってのは悲しい話です。

    もっとも、まじめに考えたり研究したものの
    説明が不足しているともいえますが…
    でも説明すればするほどドツボにorz
  8. Posted by キ〇〇シMK3 at 2008年01月06日 22:03
  9. はじめまして。
    一応、理系の者としては、(最近見かけませんが)朝日新聞でヤナギダリカオ(炎上防止のためカナ書き)を好意的に取り上げていた事が気になります。
    で調べてみたら、フジテレビなんかは理系に行こう系のイベントにリカオを呼んでいました。受験に成功、進学に失敗の人間呼んでどうすんだか。日本の科学教育に未来は?
  10. Posted by 元生態屋 at 2008年02月13日 18:43
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