まあせっかく色々調べたので書き上げてしまおう。
サイエンスやネイチャーにも数多くの論文を投稿している東大の多比良先生の研究室から
論文データの捏造疑惑が起こったというのがそもそもの始まり。
海外のある研究者が論文中で再現性が取れねえぞと書き、
更に別の研究者は問題の論文を否定する研究結果を発表。
それによって一気に論文データの信憑性が疑われるようになった。
論文の信頼性に問題、遺伝子研究で生データなし…東大
東京大学は13日、遺伝子研究で有名な同大教授らが2002年から04年にかけ、海外の権威ある科学誌で発表した4本の論文について、「実験結果の信頼性に問題がある」とする調査結果を発表した。
論文はいずれも、研究の裏付けに不可欠な実験データや実験計画案などを記した書類がなく、同大は「実験が行われなかった可能性も否定できない」として、同教授に年度内に追試実験を提出するよう要請した。
疑惑の論文の筆頭著者は全て川崎氏という人物。
実験の生データが全部PCにしか入れてなく実験ノートが残っていないというのも大概だが、
PC廃棄したのでデータも残っていないというのはそりゃ嘘だろ。
最近は実験装置からPCへ直でデータを送ることも普通だから、生データをノートに記載していなかったというところまではまだ許せるとしても、そのデータをバックアップも取らずに捨てるというのは研究者としてありえない。
つかBTJのメルマガに書いてあった研究ノートに実験プロトコルすら記載されていなかったというのは本当か?
柳田先生の所他、数箇所のブログを巡ってみると、前からこの研究室の論文、
特にリボザイム関連の論文は疑わしいという話が流れていたようだ。
柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida:ふたつの論文の撤回
2003年の論文についてはすくなくとも二人の研究者が、結論とうまくあわない実験結果をもつにいたって、ひとりはメールでおかしいではないかと、質問をしていること、もうひとりは自分の論文のなかで2003年の論文の結論を支持できない結果があることを明記していたことでした。そうなると、2005年の続報はこのあたりをどのように踏まえたものだったのか。2005年の論文が出てからは多数の研究者が追試関係の実験をしたい旨の依頼をしたが、受け取ったものがまったく別物であることが判明してきたとのことでした。
ある大学院生の日記: ついに来たか
川崎さんですね。ついに来たかって感じ
続報を待つって感じなんだけど、発表したってことは限りなく黒って事だよな
あのHes1のNatureリトラクションで焦ったのか、一年後にNatureに怪しい論文を送ったのが決め手か
結果そのものは考えられていたストーリー通りで怪しくないんだけど、初歩的なマテメソのミスで訂正
で、Nature Geneticsで強力な反論論文の掲載と
他にも関係筋の話を聞く限り昔から助手さんの方は灰色だった模様で
5号館のつぶやき:ボスは論文ねつ造の共同責任者
しかし、どんな理由があったにせよ、共同研究者としてあるいはもっと責任のある指導教員として共著になった論文にねつ造があったら共同正犯です。100歩譲って、ねつ造を見抜けなかったのだとしても、そのことはその分野の研究者としては失格を意味しますから、研究の世界からお引き取り願うしかありません。結果は同じだと思います。
*この先生のことについては、興味深い「チクリ」のコメントがここにあります。
東大の委員会の調査の結果「生データを詳しく記した実験ノートがなく、調査委は『実験結果を裏付ける明確な生データの存在を確認できなかった』『実験結果の信頼性を確認するに至らない』と結論づけた」のなら、その時点で有罪確定で速やかに処分へと進むべきではないでしょうか。
日経バイオテクノロジーがまとめている東大側の調査報告書がこれ
・東京大学工学系研究科調査委員会による記者会見資料(これまでの調査経過)
・多比良和誠教授の公表したコメント
・日本RNA学会会長から実験結果の再現性に関して調査依頼があった論文12編
・今回の調査対象とした論文4編の内容の概略と日本RNA学会会長からの指摘事項の要約
ファーストオーサーの川崎氏の処分は間違いないとして、
ラボの責任者である多比良氏もまた監督責任と捏造を見抜けなかった責任を問われることは避けられないだろう。
日本のRNAi研究の第一人者の研究室がこんなしょうもない事件を起こすとはね…
この事件は日本のRNA研究全体の信用に関わる話だからRNA学会は必死になっているらしい。
何とか海外からやられる前に自分たちの手で片をつけようと頑張っているようだ。
まったくご愁傷様である。
RNA学会のみならず他の日本の研究者の信用を取り戻すためにも、
早急に白黒つけてもらいたいものだ。
で、この事件の関係者が作っているベンチャー会社が存在するんだが
株式会社iGENE(アイジーン):RNAiによる遺伝子機能の解明と創薬への挑戦
GenoFunction,inc
もろに多比良研の技術を使っているみたいだけど、これなんて今後どうするんだろうね。
特許は出願日の関係でしかたがなく.....
技術はもらってみたが使えないので、社内で開発し直しということ?
その続きのこの部分が本当かどうかどうも怪しいなと
>「ある遺伝子の働きを止めようと従来技術で1年かかって試みても難しかったのが2週間でできた。何度試みてもだめだった疾患モデルマウスも作れた」と野沢厳(のざわ・いわお)社長は威力を話す。
自分の記事で紹介させていただきたかったのですが。。。逆になってしまいました。
柳田ブログで述べられている「ふたつの論文」の話は、多比良研の話ではないと思います。
(このブログでは「A博士から論文撤回のメールをもらった」と書いていますが、柳田氏が多比良氏からメールをもらうということがあり得ないのではないでしょうか。)
http://www.nature.com/nature/journal/v437/n7061/full/nature04181.html
A博士というのは、こちらに出てくるラストオーサーのことでしょう。筆頭著者が論文の撤回に同意しなかったという話も、このページに書いてありますね。
それにしても、RNAiというのは捏造が起きやすい分野なんでしょうか。。
柳田Blogの話がどこのものなのか謎だったのですが、これでよくわかりました。少なくとも文脈からして多比良研のものではないことが自明でしたから。
笑うのは、月間FACTAという雑誌の編集長の阿部重夫氏が、柳田Blogの「ふたつの論文」=多比良研、A氏=多比良教授、撤回に応じない筆頭著者=川崎氏と断定してコメントと書いていますね。
http://facta.co.jp/blog/archives/20060115000048.html
今回の事件のあまりのひどさとは別に、マスコミが確認もせずBlog情報をそのまま信用し、かつ自分の都合のいいように間違って解釈する構図が見える好例だと思います。捏造の二重構造というのがツボにはまりました。
話が横道にそれて失敬。
どうも勘違いしていたみたいですね。
ご指摘ありがとうございます。
RNAiに限らず最先端の分野というのは検証が難しいので、
韓国の幹細胞騒動のようにどこでも起きうるということだと思います。
した仕事でCELLに出ているようですが・・・。
http://nanasisan.com/0nanasi/src/up4774.gif
http://nanasisan.com/0nanasi/src/up4773.gif
http://nanasisan.com/0nanasi/src/up4784.gif
http://nanasisan.com/0nanasi/src/up4783.gif
計10本の論文が捏造であることが明らかとなる。
三重大学大学院生物資源学研究科と、名古屋大学大学院生命農学研究科における論文捏造事件
東京大学 分子細胞生物学研究所の論文不正・捏造・改ざん・コピペ疑惑問題
http://blog.goo.ne.jp/bnsikato
http://katolab-imagefraud.blogspot.com
進化が現在進行形で行われているって^^いやしくも現役の分子生物学者にこんなお馬鹿な主張をされては、ため息を付くしかないよね。何度このお馬鹿なセンテンスに肩をすくめたことか^^