当ブログでも何度か紹介したことがある環境リスク評価学の中西準子氏が名誉毀損で訴えられているそうな。
酔うぞの遠めがね: ネット評論と濫訴を考える会スタート
原告は京大の松井三郎氏。
中西氏がホームページに記載したある文章が気に入らなかったらしい。
現在支援者の集まり(環境ホルモン濫訴事件:中西応援団)も出来ているようだが、
何とも不毛感の強い裁判だ。これなどを読むにつけ強くそう思う。
松井氏を支援する環境団体の掲示板に張られた松井氏側の主張らしいが、
松井氏の代理人曰く、中西氏の問題の文章は「碌に他者の発言も聞かず、事実も確認せず、一方的に他者の名誉を毀損するような決めつけを行う」ものだそうだ。
まあそれはどうでもいい。
どうでもよくないのは後半部分のこの下り。
(2)さらに、中西氏は、「環境ホルモン問題は終わった」と考えておられるようであるが、これは大変な間違いである。松井氏らの研究成果からも、環境ホルモン問題は、複雑ではあるが、人の健康や生態系にとって、決して看過できない重大な問題であることが明らかになっている。したがって、今後も、ますます精力的に研究を進め、有効な対策を講じることが求められている。中西氏のように、国の科学技術のあり方を決定する立場の人が、そのような誤った認識を持ち、その結果、国が政策決定を誤ることになれば、国民の健康や生態系に取り返しのつかない事態も招来しかねない。特に、次世代の子どもたちの発達や健康への悪影響が懸念される。近年、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害やアトピー、喘息などのアレルギー児が増加しているが、その原因のひとつに環境中の化学物質の影響が懸念されているのである。松井氏は、研究者として、国民の一人として、中西氏のこのような誤りを断じて見過ごすことはできないものと考え、貴重な研究時間を割いて、敢えて本件提訴に踏み切ったのである。
名誉毀損の部分までは別に構わない。それは個人の主観の問題だからだ。
その妥当性の判断は裁判所に委ねればいい。
しかしこれはちょっといただけない。
松井氏は、研究者として、国民の一人として、中西氏のこのような誤りを断じて見過ごすことはできないものと考え、貴重な研究時間を割いて、敢えて本件提訴に踏み切ったのである。
これは弁護士の書いた文章らしいが、中西氏の見解が気に入らないからといってデータと論理を元に反論するのではなく裁判沙汰に持ち込もうというような考えが松井氏の本意であるならば、私は彼を科学者とは認めない。
願わくばこれが弁護士が筆を滑らせただけであって欲しいものだ。
(まあそれはそれで問題だとは思うが)
◆続編エントリ
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・環境ホルモン濫訴事件の進展があったわけだが
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