2005年09月10日

科学に対する共和党の闘い−The Republican War on Science−

ブッシュがインテリジェントデザインを支持するという馬鹿な声明を出して
科学界から大ひんしゅくを買ったのは、確か一月ほど前のことだったか。
このブログでも記事に取り上げた記憶がある。
直接関係ない我々日本人からすると「馬鹿じゃねーの?」で済む話なんだが米国人にとっては由々しき事態だ。

さらに笑い事で済まないのが、ブッシュだけでなく共和党内の宗教右派勢力が
こぞって米国の科学教育内容、科学研究内容に干渉しようと画策し続けていることだ。
その辺の裏事情をまとめた本を、HotWiredの記事で紹介していた。
 
 
 
文中ではまずこの夏のブッシュのID理論に関する妄言を取り上げ、こう書いている。
 笑って済ませられる話ではない。ブッシュ大統領は「デウス・エクス・マキナ」[都合よくすべてを解決してくれる神]と書物による知識とを対比する発言をしばしばしており、今回のID説の件も単なる一度きりの馬鹿話ではないからだ。彼らの発言の数々は、サイエンス・ライターのクリス・ムーニー氏の新著のタイトルである『科学に対する共和党の闘い』(The Republican War on Science)の一環と言えるのものなのだ(1つお断りしておくと、ムーニー氏がこの本を出した米ベーシック・ブックス社からは私も本を出したことがある。さらに言わせてもらうと、私の出した本はほんのわずかしか売れなかった。よって、私がお金に釣られてこんなことを書いているのではないと断言できる)。
「ブッシュ政権による科学の歪曲」を暴く本


ムーニー氏のサイトを訪れれば『科学に対する共和党の闘い』のイントロ部分を読むことが出来る。
少し引用させてもらおう
Before too long, the big picture had emerged. With the ascent of the modern conservative movement and its political domination of the Republican Party, two powerful forces had fused. On issues ranging from the health risks of smoking to global climate change, the GOP had consistently humored private industry's attempts to undermine science so as to stave off unwelcome government regulation. Meanwhile, on issues ranging from evolution to embryonic stem cell research, the party had also propped up the Christian right's attacks on science in the service of moral and ideological objectives.

共和党の科学攻撃の裏には二つの勢力が関わっているとここには書かれている。
一つはタバコの健康リスクや環境問題などから来る産業規制を避けるために科学をのけ者にしたい産業界。
もう一つは進化から幹細胞利用まで、宗教的なイデオロギーから科学を攻撃するキリスト教右翼勢力。

科学を歪曲してきたのは何も宗教右翼や金儲け至上主義の企業経営者ばかりではない。
左派勢力もまた、自らのイデオロギーの為には情報を捻じ曲げてきた。
 ムーニー氏はまず、科学への不信感を作り出し、ごく少数の警告にしか耳を貸さないというブッシュ政権の態度によって引き起こされた危険な事態を概観するところから始める。実際、「共和党の闘い」というのは必ずしも正しい表現ではない。共和党員が全員揃って科学に挑んでいるわけではない。科学に反感を持っているのは、キリスト教原理主義者や企業のトップ経営者たち、狂信的な反エコロジー主義者といった、一見共通点がなさそうだが、党内の選挙戦略を支配している極右の結びつきなのだ。反トラストの環境保全論者、セオドア・ルーズベルト大統領は共和党員だったのだ。

 いっぽう、左派もやはり科学の歪曲に一役買ってきた。『動物の倫理的扱いを求める人々の会』(PETA)やグリーンピースは、自分たちのイデオロギーに関する戦いに勝つためなら、どのような発言でもするし、あらゆる行動をとる。遺伝子組み換え食品が「フランケン食品」と呼ばたことを覚えているだろうか?
「ブッシュ政権による科学の歪曲」を暴く本

要するに右でも左でも自分たちの都合のいいよう政治的に科学を押さえつけようとしているわけだ。
ムーニー氏はアメリカの科学界を巻き込んでいるこの嵐の発生源を丹念な調査と取材で明らかにしている。

アメリカ科学界で現在起こっていることを把握するにはこういうのをちゃんと読んだ方がいいんだろうが、
正直私はムーニー氏のサイトに公開されている『The Republican War on Science』の抜粋を読んだだけでもかなりおなか一杯になってしまった。
明日は気を取り直して抜粋の翻訳でもしてみようか。


…なにはともあれ
かなり重たい内容の本ですが、科学リテラシーについて勉強しているという人には自信を持ってお薦めできます。
私は抜粋だけでも苦虫を噛み潰したような気分になりましたが、良薬口に苦しともいいますので。
とりあえずまずは抜粋だけでも読んでみることをお薦めします。


◆推薦図書
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The Republican War on Science
著者: Chris Mooney; 新品 Y 2,471


posted by 黒影 at 01:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンストピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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