以前私はGMOに関してこんなことを書いたのですよ。
別に特別な事じゃなくて、バイオ業界にいるちょっと詳しい人なら誰でも知っているレベルの話ですけど。
幻影随想: GM作物の栽培に罰則を科そうとする北海道
今現在主流となっているGM作物は、第一世代のGMOです。
第一世代のGM作物は、病害虫耐性や除草剤耐性など、農家側のメリットを主とした改良品種です。
手間=コスト削減による価格競争力はありますが、作物の品質としては従来のものと変わりません。
そして現在研究が進められているのが第二世代のGM作物。
これは味や形をよくしたり、栄養価を高めたりといったような
食品の高付加価値化を進めたGM作物の発展形です。
これから先数年のうちに、第一世代のGM作物は第二世代のGM作物に取って代わられて行くことになります。
そしてここ一月ほどの間に出たニュース。
Yahoo!ニュース - 時事通信 - バラの香りのトマト=遺伝子組み換えで開発−イスラエル
バラやレモンに似た香りのするトマトを遺伝子組み換え技術で開発したと、イスラエルの農業研究機関や米ミシガン大などの研究チームが25日、米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジーの電子版に発表した。微生物への抵抗力も強くなるため、店頭での日持ちも良くなるかもしれないという。
研究チームは、料理に使われるハーブ類、レモンバジルの「ゲラニオール」合成酵素遺伝子をトマトに組み込んだ。その結果、ゲラニオールからバラやレモンに似た香りのさまざまな物質が生み出された。ただ、健康に良い抗酸化作用がある赤い色素「リコピン」は減り、赤みが薄くなった。
一般の37人に普通のトマトと比べてもらったところ、7割が食べた際の香りが強いと答え、6割がより好きだと回答したという。
asahi.com: 「ワクチン米」を開発 まずは対コレラ 東大医科研 - サイエンス
東京大学医科学研究所の野地智法研究員、清野宏教授らのグループが、コレラワクチン入りの米を遺伝子組み換え技術で開発し、動物で効果を確認した。米科学アカデミー紀要電子版に今週発表する。冷蔵や注射を必要としない「次世代ワクチン」が米を利用して登場しそうだ。
グループは、腸の粘膜からワクチンを吸収させて、免疫を獲得させる方法を探ってきた。
今回、ワクチンとなるコレラ毒素の一部をつくる遺伝子をイネに組み込み、ワクチン入りの米をつくった。この米を粉末にして与えたマウスでは、コレラ毒素を与えても下痢になるなどの症状が出ず、ワクチン効果を確認できた。
大方の予想通り、順調にGMOの世代交代が進みつつあるわけで、
ブラインドテストを行ったら多数がそっちを選ぶ品質のGMOが出現しつつあります。
今はまだ試験段階ですが、そのうちさらに完成度を上げた次世代GMOが続々登場してくる事でしょう。
栽培に手間が要らず、おいしく、栄養価が高く、しかも安い次世代GMO作物が市場を席巻したとき、今のまま行くと米以外の穀物と野菜では日本の農業は海外に太刀打ちできなくなります。
だからそうなる前に対抗策を取っとけと日経バイオ辺りは盛んに警告してるんですが、こういう危機感って一般にはほとんど伝わっていないのが実情でして。
どうしたらいいんでしょうね?
アンチGMOな人達も、こんな風↓にピント外れの批判をして自己満足に浸っているだけでなく、もっと先を見ないと時代に取り残されるぞ〜
・幻影随想: 毎日新聞がまたやってくれちゃっている件について
・幻影随想: イリーナ博士東京公演レポート
なんでかというと、農地解放という社会主義革命をやったからです。
これのおかげで就農者に企業経営(営業や研究開発などを含む)という発想そのものがないんです、ソニーやトヨタのようなバイタリティのある集団がいませんから、これで自由化すれば負けるのは必然です。
当然GMOのような先端技術にも後れを取るでしょう。ソ連や東欧が新技術開発に失敗したのと同類です。
激しく同意です。
政府も最近ようやく重い腰を上げて、農業への企業参入を認めるようになりましたが、あまり役に立ってないみたいですね。
農林水産省:一般企業の農業参入ができるようになりました
http://www.maff.go.jp/soshiki/keiei/nouchi/shiensaito/shientop1.htm
別にGMOだけで問題が解決するなぞ欠片も思ってませんが、ただでさえ少ない手札をさらに減らしてどうする気やら。
なるほどやることはやってるんですね、一応。
俺らの学生の頃は農地解放でみんなウハウハというのが社会の時間で習ったことでした、でも後継者難とか自由化で今はどう教えているんでしょうね?
あとサラリーマンが田舎暮らしで成功とかいうのも良くマスコミがやりますけど、実際は死屍累々でないかいな?と思ってます。
>今はどう教えているんでしょうね?
功罪半ばというところではないでしょうか?
農地解放は時代が必要とした事ですが、現在では当時改革のために作られた法律が逆に足枷になっているといったところだと思います。
http://www.noukai.net/mouchoto.htm
>あとサラリーマンが田舎暮らしで成功とかいうのも良くマスコミがやりますけど、実際は死屍累々でないかいな?
累々とまでは行かないでしょうが、実際うまくいかなくてまた町に戻ったとかいう話なら結構転がってますよ。
日本も糖分のない塊からエタノールを作れる様になったんだ と思っていたら、最近の農業新聞は余剰ビートを使用する とある。
つまり以前は無制限に16.000/トンで購入していたが、3年ほど前からこの価格保障は58トン/haで、それ以上収穫された、およそ20から30トン/haのビートは1/5の価格の3.000/トンのになってしまった。その結果、長沼においてもビートの作付け面積は激減、十勝、網走地方においても
ビートは儲かる作物ではなくなった。
3年かけて生産者の労働意欲を失わせることに成功したのか?
以上のことを考えると農水(政府)の本流では今回のエタノールブームを予期していた?もしくは将来のラウンドアップ耐性ビートの解禁に向けた動きかも知れませんね。
みんなが知ってる長沼の生産者より
ぶっちゃけた話、バイオ燃料はエネルギー問題の解決にはあまり有効でないと思います。
ただでさえ土地が狭い日本なので、コストがペイせずこれから先もあまり伸びないでしょう。
最近国や自治体がハーメルンの笛を吹いてますが、踊らされると痛い目を見そう。
幻影随想: アメリカのエタノールフィーバーが穀物の値上がりを引き起こしている件について
http://blackshadow.seesaa.net/article/35393006.html
会場には200名以上の参加者がいたが、へ〜の字もなし。そして現実はまさにそのとうりに成りつつある。
もし来年大豆が本当にタイトになっても騒ぐ理由はなにもないのだろう。
最近アメリカ本社モンサントの役員は2030年までにコーンの収量を現在の160buから300bu/Aへおよそ2倍に上げることを目標としている と発言。
その時、黒影さんの言われるように北海道の小麦、大豆生産者としてはバイオ燃料と同じで消費者からは,何の責を問われる必要はないと信じたい。