国内では昨年11月にニュースになっていたが、取り上げた記憶がないので紹介してみる。
Hitachi: Move the train with your brain - Yahoo! News
HATOYAMA, Japan - Forget the clicker: A new technology in Japan could let you control electronic devices without lifting a finger simply by reading brain activity.
The "brain-machine interface" developed by Hitachi Inc. analyzes slight changes in the brain's blood flow and translates brain motion into electric signals.
日立:脳波で電車模型を動かす
日本、鳩山の日立基礎研究所にて ― クリッカーのことは忘れよう
日本の新技術は、指を動かすことなく脳活動を読み取るだけで電子機器を制御する事を可能にした。
日立製作所が開発したブレイン・マシン・インターフェースは、脳内のわずかな血流の変化を読み取り、脳の動きを電気信号に変換する。
国内でこの手のインターフェースの研究をしているのは日立とホンダが中心で、今回紹介するのは日立の方。
日立からのニュースリリースをリンク
ニュースリリース : 2006年11月6日 : HITACHI
光トポグラフィを用いて脳活動に伴う脳内の血液量を測定し機器を操作するブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成功
株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、光トポグラフィを利用して脳活動に伴う脳内の血液量の変化を測定し、その測定信号を用いて機器を操作する無侵襲*1のブレイン・マシン・インタフェースの原理実験に成功しました。今回の実験では、被験者が暗算や暗唱を行ったときの前頭前野における血液量を測定し、被験者の暗算や暗唱とほぼ連動して小型鉄道模型を駆動、停止できることを確認しました。本成果は、身体を動かして機器を操作するのが困難な方々を支援する、福祉機器向けの新しいマン・マシン・インタフェースや脳機能のリハビリに向けた技術に道を拓くものです。
こっちには鉄道模型を動かす様子の動画も置いてあるぞ。
あんまりすごい感じはしないけど。
Watch device move a toy train with your brain
海外で主流の研究は脳内にインターフェースを埋め込むタイプのものが多いんだが、日立の装置は非侵襲型(外部装着)だというところに特徴がある。
海外の侵襲型インターフェースだと脳波でマウスカーソルを動かして絵を描いたり義手を動かしたり出来るところまで進んでいるため、少し出遅れている感があるが、装着型のメリットとして誰でも気軽に試せるというのは大きなアドバンテージになるか。
幻影随想: サイバネティクスは脳波でPCを操れるレベルに到達した!
実用化に向けて今後の課題は、複雑な操作に対応する事と信号検出の正確さを増す事かな?
少なくとも今年5月の時点では、携帯可能なサイズにまで小型化に成功しているようだし、今後の展開次第では面白いインターフェースになると思う。
ゲーム機のコントローラーとして仕えたりすると爆発的な普及は間違いないんだが。
対応アプリケーションを作れるかどうかが普及の鍵かな。
日立が“脳インタフェース”の実用化へ向け、「世界最小」の脳活動計測器を開発:ITpro
リンク先の記事中の写真を見る限り、中々いけてる感じのインターフェースだ。
これにヘッドマウントディスプレイをくっつけて、コードの先には小型PCを装着してハンズフリーで操れるPCとか作ったら売れないかな?
あとどうでもいい事かも知れないが、この手のサイバネティクス関連ニュースの取り上げ方は、海外と国内で随分と温度差がある気がする。
海外ではかなり熱く取り上げているのに国内ではそうでもないというか、主要紙があまり重要視してないというか。
メディアが科学技術の面白さを取り上げられないで科学立国も何もあったもんじゃないと思うのだが。
最後に、研究に参加している京大の櫻井先生が、最近本を出版されたので紹介しておきます。

Amazon.co.jp: ブレイン-マシン・インタフェース最前線―脳と機械をむすぶ革新技術: 本: 櫻井 芳雄