「確信というものは、知識のあるところよりも、知識のないところから生まれることが多い。あれこれの問題は科学では決して解明できないだろうなどと自信ありげに断言するのは、知識のある人ではなくて、無知な人々なのである。」
チャールズ・ダーウィン『人間の由来』
一月ぶりにMixiに行ったら、行き着けの疑似科学コミュに千島学説のトピが立ってました。
名前だけは以前目にした事があったのですが、今回改めて主張に目を通してみたところ、ステキに香ばしいのでエントリを立ててみることに。
公式ページによると千島学説とは…
『千島学説』は次の8大原理から構成されています。
第1原理 赤血球分化説 1932年発表 …畜産学粋…明文堂
(赤血球は凡ての体細胞の母体である)
第2原理 組織の可逆的分化説 1954年発表 …総合医学新書…医学書院
(飢餓・断食時には体細胞から赤血球へ逆戻りする)
第3原理 バクテリア・ウイルスの自然発生説 1954年発表 …岐阜大学新聞…
(バクテリア・ウイルスは一定条件下で自然発生する)
第4原理 細胞新生説 1950年発表 …科学…20巻10号
(細胞は分裂増殖しない。6つの形態で新生する)
第5原理 腸造血説 1954年発表 …骨髄造血学説の再検討…医学書院
(骨髄造血説は誤り。造血器官は小腸の絨毛である)
第6原理 遺伝学の盲点 1932年発表 …畜産学粋…明文堂
(生殖細胞は赤血球から。遺伝は環境を重視)
第7原理 進化論の盲点 1956年発表 …アカデミア…NO.32−34
(弱肉強食思想は行き過ぎ。進化の基盤は共存共栄である)
第8原理 生命弁証法 1959年発表 …アカデミア…NO.40
(生命現象を正しく観察するための科学方法論
『千島学説』は第1原理から第7原理まで、現代医学の「定説」を基盤から覆す超革新的理論です。
現代医学界が拒否反応を示したことは分からないではありません。しかし、余りにも盲点が多すぎる医学定説がこのまま信じ続けられるとき、人類自らが招いた環境破壊とあいまって、人類滅亡へのタイムリミットは一層短縮されることでしょう。
千島学説(新生命医学会)
前世紀の遺物であることを差し引いても、すばらしい電波具合にへそで茶が沸かせそうです。
ていうか21世紀の今ですら、この時代遅れのトンデモをまともに信じ込む人がいるから困ったものです。
どうも最近ホメオパ系あたりでまたじわじわと勢力拡大しているようなので、アラートを兼ねて取り上げておきますね。
この時代遅れのトンデモを宣伝しているのは、お茶の水クリニックの森下敬一医師ほか少数。
森下敬一(1928〜)自然医学会会長。医学博士。1950年東京医科大学卒業後、血液生理学を専攻。この過程で、千島喜久男の腸造血説の影響を受け、病気は食べものの乱れからくるという結論に達し、自然医学会を創設、自然医食による病気直し、臨床医学の道に入る。著書に、『血液とガン』、『血球の起源』、『自然医学の基礎』、『肉食亡国論』、『食事革命』、『水と生命』など多数。学術書としては、1960年に出版された『血球の起源』が主著である。
健康本の世界:森下敬一
まともな教養と神経の持ち主なら、
彼のサイトのこの文章を読んだら「決してこの病院には行きたくない」と思うこと請け合いです。
Wikipediaによると千島門下には少数ながら熱烈な信奉者がいたらしく、多分このあたりの人たちなんだと思いますが、ネットを検索すると他にも結構あちこちで引っ掛かるのでまとめてリンク。
・千島学説(間違いだらけの医者たちより)
・千島学説(間違いだらけの医者たちより)後半続き
千島門下のライターが書いた本の抜粋。素晴しい高出力電波で、これを読むだけでお腹一杯になれます。
・治療ガイドラインは免罪符?
・田辺薬品
薬剤師にすらこのトンデモにはまっている人がいる始末。一体大学で何を勉強してきたのやら?
粘る稀なガン患者: 毎日新聞もここまで落ちたか・・・
性懲りもなく毎日新聞が釣られているのはお約束と言うべきでしょうか?
相変わらず疑似科学が大好きなようで。
・ガンの秘密を解き明かし、医学界から排斥されてしまった革新の生命医学理論『千島学説』
阿修羅にも何か湧いてますが、あそこが電波の掃き溜めなのは常識です。
・よみがえれ!千島学説
ししゃ科も研の高尾センセがはまっているのはなんか納得。
「ありがとう」で元素変換という、「生体内で元素変換」と似たネタを持つだけあって"波長"が合ったんでしょう、きっと。
検索してみるとまともに信じ込んでいる人が結構いる模様。
どこがどうトンデモなのか、じっくり解説した方がいいでしょうか?
<2008/2/17 追記>
具体的なツッコミを書きました。
◆千島学説に対するツッコミ
・幻影随想: 千島学説に突っ込んでみる1
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
http://www.creative.co.jp
トンデモはトンデモを呼ぶようです。
確かに。
Google検索で上位に出てくるのに載せ忘れてました。
ご指摘ありがとうございます。
>apjさん
πウォーターって未だに生き残ってたんですか。
既に絶滅したものと思ってました。
それにしても水商売系統のトンデモは何でも節操無く取り込みますねえ。
擁護してる立場の人は、ある意味で飯の種というか。
某宗教の教義みたいに商売やら金儲けに使ってい
る感じがする。
了解。
千島学説がどれだけアホらしい代物か、一つ解説エントリを書いてみることにします。
こうなってくると、トンデモとは言えない気がいたします。
>森下敬一氏と酒向猛氏は千島学説を追試実験して千島学説が正しいことを示したと言っています。
「言っている」だけでは何の根拠にもなりません。
追試実験したのであれば、必ずそれを第三者が検証可能な形で提示する必要があります。
私は寡聞にして彼らがそのような論文をどこかのジャーナルに投稿したという話を聞かないのですが、名無しさんは彼らが千島学説を証明したという論文をご存じでしょうか?
もしご存知ならぜひ教えていただけたらと思います。
森下氏と酒向氏が千島学説の追試実験を行った、
という記述があります。
本に書いてあること、彼らがそう主張しているのは知ってます。
しかし問題は、追試実験を行ったというそのデータがどこに公開されているのかという点です。
本人たちがそう言っているだけの、第三者が検証できない主張など、それが本当なのかどうか確かめようがありません。
第三者が確かめようもない根拠を元に「千島学説は正しい」と主張すれば、それは疑似科学です。
日本癌治療学会誌の、何号の、何というタイトルの論文ですか?
>掲載されたとのこと。
という伝聞情報だけでは本当にあるのかどうかすら分かりません。
あるかどうかすら定かでない物を探すのはごめんです。
ちなみに私が現時点で把握している酒向氏の千島理論関係の論文は
http://aeam.umin.ac.jp/zassi/backno/page.htm
漢方の臨床2001年5月号(第48巻・第5号)東洋医学の古典にみる造血理論の検討
http://www.minori-kyoto.com/book-mf01.html
書籍(密教福祉Vol.1)東洋哲学と千島学説
の二本だけですね。
どちらも千島理論の追試じゃないというか科学の論文ではありませんが。
>名無し様
日本癌治療学会誌ってInternational Journal of Clinical Oncologyですよね。同誌のサイトでもPubMedでも酒向(SakouでもSakoでも)と言う名前が含まれている論文は見つからないのですが。
せめていつ頃の論文であるかという情報くらいはありませんか?
「日本癌治療学会雑誌に投稿すると、受理され論文が雑誌に掲載される運びになりました。」
具体的に雑誌の名前までは不明です。お役に立てずにすみません。
そうですか。情報提供ありがとうございます。
少なくとも『癌を克服するために』刊行の時点で論文は出ていなかったと分かるので、これはこれで一つの有意義な情報です。
出版からずいぶん経った現在でもその論文の存在の真偽すら明らかになっていないという点も合わせてですが。
なお、「千島学説がトンデモ学説であると言う文献」は、現在私が文献集めやまとめにあまり時間を取れないため、週末あたりまでお待ち下さい。
#
>mobanamaさん
いや、そっちじゃなくて日本癌治療学会は"Japan Society of Clinical Oncology"の方だと思います。
日本癌治療学会 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%99%8C%E6%B2%BB%E7%99%82%E5%AD%A6%E4%BC%9A
日本癌治療学会
http://jsco.umin.ac.jp/index-j.html
会員以外は論文検索すら出来ないので、ブログで呼び掛けて誰か会員のお医者さん有志でも募りますかね。
大学図書館にでも行けば多分置いてあると思いますが、最低限ある程度範囲を絞り込めないと探す気すら起きません。
赤血球の細胞増殖促進作用についての研究(癌性貧血との関係より)(原著論文/抄録あり),
Author:酒向猛(名古屋大学 第2外科), 市橋秀仁, 中尾昭公, 他,
Source:日本癌治療学会誌(0021-4671)22巻6号 Page1217-1224(1987.07)
内容も読んでみましたが、案の定、ぜんぜん千島学説を追試している内容じゃありません。そもそも、タイトルからして「細胞増殖」とあります。千島学説では細胞が増殖することは否定しています。近いうちブログでネタにします。
ところでJSCOのサイトhttp://jsco.umin.ac.jp/index-j.html
にも「IJCO誌について」というところに「これまでIJCOに掲載されたすべての論文を検索できます」とあり、wikipediaにも機関紙として「International Journal of Clinical Oncology」とあるんですが、それ以外にも日本語の学会誌か何かがあったんでしょうか?参考までに。(まだ何か勘違いしている?)
上記サイトから検索を改めて辿ると、要はIJCO誌になった(?)のが1996年5月号(Vol.1, No.1)からなのですね。
1987年当時の記事が引っかかってこないはずです。納得しました。
おお、医中誌で見つかりましたか。
おかげで探す手間が省けました。
どうもありがとうございます。
あまりの内容に目眩がしましたが、公に放送されている事に寒気がしました。
2008/5/6 <千島学説と山中教授/トムソン教授のiPS細胞 >
皮膚の細胞から万能細胞を作った京都大学の山中伸弥(しんや)教授の業績の紹介が、雑誌「ニュートン」の6月号(2008)
に出ている。千島学説と関連する部分をみつけたので紹介したい。
雑誌には、山中教授のライバルである米国ウィスコンシン大学のトムソン教授の業績も掲載されている。
トムソン教授は、人の胚(はい)を用いてES細胞(万能細胞)をはじめて作ったことでも有名だが、トムソン教授は山中教授
らとは独立にiPS細胞の研究も行っていた。山中教授は色々倫理的な問題もあるES細胞とは違って、皮膚の細胞に”ある
人工的な操作”を加えることで(受精卵などを経由せずに)一挙に万能細胞iPS細胞へと到達したのである。
ES細胞=iPS細胞
と考えられている。
途中経路は違っても到達したものは同じというわけである。
山中教授はマウスでiPS細胞をはじめてつくり、ヒトのiPS細胞「作成成功」は山中教授とトムソン教授が同時に発表した。
受精卵から細胞は徐々に専門的な状態へと分化していく。細胞が成長して皮膚になった細胞は皮膚のまま、肝臓の
細胞はその後は肝臓細胞のまま・・と考えられていた。このように細胞が進化し専門的になっていくことを分化という。
受精卵がすこし成長した状態の胚には、どんな細胞にもなることができる万能細胞がある。もし、なんらかの方法で、専門
的になった細胞を万能細胞の状態へと戻すことができれば、そこから異なった種類の細胞へと作り変える希望が出てくる。
時計の針の逆戻し(逆分化)である。そんなことが可能なのだろうか?
分化した細胞を、初期の万能細胞へと逆分化させることを”初期化”と呼ぶ。色のついていない真っ白な状態へと戻す
ことが初期化だ。それに見事成功したのが、山中教授とトムソン教授なのであった。
手法の詳細は雑誌にゆずる。
ここでは千島学説との関連を急ぐ。
千島学説は、医学の世界で封印された学説である。それは教科書を完全に書き換えることのものであるために、学会
からは黙殺の憂き目をみた。しかし、その正しさは千島喜久男博士の研究により実証されており、学説のファンは多い。
千島学説のファンの一人で、学説を世にひろめるべく努力されているジャーナリスト・稲田芳弘氏が、サイトで次のように
述べていたのが頭にひっかかっていた。
http://www.creative.co.jp/top/main3447.html
千島学説は、血液と細胞に決定的に関わっている。一方の山中-トムソンも細胞の本質に関わる研究である。とすれば、
二つの間になんらかの関係があるのではないか?と思った。
注意して「ニュートン」を読んだ。あった!
トムソン教授のインタビューを引用する。p.52
*****************************************
「方法」はわかった。だが「しくみ」はわからない。
Newton-トムソン教授は2007年までに、ヒトiPS細胞をつくる4個の初期化因子を割り出すことに成功されましたね。どのよ
うな戦略でしぼりこんだのですか?
トムソン-1970年代の話にさかのぼりますが、当時はまだマウスでもES細胞がつくられていませんでした。そのかわりに、
よく似た「EC細胞(embryonic carcinoma cell:胚性がん細胞)」という細胞が知られてました。そして、EC細胞と血球細胞
を融合させると、現在知られているES細胞のような特性を示すことがわかっていたのです。そこで私たちは、ヒトES細胞で
同じことを試しました。ヒトES細胞からつくった血球細胞を、あらためてES細胞と融合させたところ、血球細胞がES細胞のよう
に初期化されたのです。
Newton-ES細胞の中にある何かが、血球細胞を初期化させたということですね。
トムソン-そういうことです。それを知るために、・・(以下略)
*****************************************
ここは決定的な箇所である。
どうして初期化がおこるのか、まだ原因がわかっていないのであるが、しかしこのことが関係するとしてトムソン教授が
述べたのが上であり、雑誌で最も重要な箇所と思われる。その箇所で、血球細胞に言及しているのである!
これは千島喜久男博士(1899-1978、岐阜大学教授、名古屋商科大学教授)が50年も前に提唱していた赤血球->細胞
への分化、また細胞->赤血球への逆分化との関連をおもわせるものである。
細胞はその細胞のままあるのではなく赤血球へと逆分化するし、また赤血球は自在にあらゆる細胞へと分化していく。
細胞は分化・逆分化を自由に行っているのである(現代医学では、細胞は細胞のまま、赤血球は赤血球のままとする)。
トムソンの回答は非常に興味深い。千島学説との深い関連をにおわせる。
同時に、血液の不思議を思わざるを得ない。
今後は千島学説と山中-トムソンの関係を追求することが重要になってくると思う。
2010/11/13 < 千島学説に近づく現代医学 >
先日、11/8の産経新聞に「皮膚から”血液のもと” カナダの大学 iPS細胞使わず」という記事が載った。これは
カナダのマクマスター大学がiPS細胞を経ずに皮膚細胞から直接血液をつくることに成功したことを報告したものであった。
サイトを検索すると、次のように大きく報じられている。
http://medical55.seesaa.net/article/168676093.html
naturenews(英文)
http://www.nature.com/news/2010/101107/full/news.2010.588.html
http://yebo-blog.blogspot.com/2010/11/blog-post_09.html
優れた研究といえるが、これは当サイトでも何度も取り上げてきた千島学説を再確認しているにすぎないものともいえる。
なぜなら赤血球から各種細胞への分化、あるいは各種細胞から赤血球への逆分化は50年以上前に千島喜久男博士が
発見、主張していたものだからである。簡単に書けば
赤血球<-->各種の細胞
となる。
赤血球は途中白血球などを経由して筋肉細胞、肝細胞、皮膚細胞、生殖細胞、ガン細胞など様々な細胞に自由に変わっ
ていき、また逆も可能なのである(逆は飢餓状態などで起こる)。この驚異的な発見を半世紀以上前に証明していた。それ
は千島学説の中の第一原理、第二原理としてつとに有名である。途中で万能細胞(iPS細胞等の)を経由するというややこ
しいことをせずとも(そんな遠回りをせずとも)、直接的に赤血球から色々な細胞に変化できるのだ。ちなみに現代医学では
赤血球はいつまでも赤血球のまま!としている。
赤血球こそ万能細胞といえる。血液の神秘にまだ現代医学は気づていない。
これからもどんどんと千島喜博士の研究を追確認する発見がなされていくはずだが、今回のマクマスター大学の発見は
その一つといえる。
現代医学はどんどんと千島学説に近づいている。半世紀遅れで。
現代医療は患者をロボットのように捉え薬漬けにしかしていない間違いだらけの殺人医療。
あなたにはなにも理解できていないみたいですね。
もっと勉強してください。
そんな事ばかり言っているあなたは可哀想な人ですね。
千島学説は正しい事を言っています。
こんなの未だに信じてる人は変な宗教でもやってるのですか