Yahoo!ニュース - 読売新聞 - 免疫抑制剤なしの腎臓移植、サルで成功…順大
臓器移植で起きる拒絶反応を、免疫抑制剤を使わずに3年以上抑えることに、順天堂大医学部の奥村康教授(免疫学)らのグループが、サルの実験で成功した。
免疫抑制剤の使用を大幅に減らす新しい移植医療の道を開く可能性がある。米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版に10日、掲載された。
体細胞の表面には免疫機構が自他を区別するためのマーカーが存在する。
このマーカーはHLAと呼ばれる組織適合抗原遺伝子で
HLA-A、B、C、DR、DQ、DPという6種類が存在し、更にそれぞれ数十個近い種類の型が存在する。
・HLA
この6種類の型の組み合わせは数万通り以上に上り、更に両親からそれぞれ受け継ぐ2コピーの染色体で別々のパターンを受け継ぐため兄弟姉妹や親子間でも一致しないことが多々ある。
HLAのパターンが異なる細胞が体の中に入ってくると免疫系はこれを敵として認識し、攻撃する。
そのため臓器移植の際には完全にHLAの型が一致する場合など特殊な例を除けば免疫抑制剤の使用を欠かすことが出来ない。しかし免疫抑制剤の問題点として感染症への抵抗力が落ちるという作用機構上不可避な副作用があり、臓器移植を難しくする原因となっている。
で、この研究はその拒絶反応をいかに抑えるかという話。
臓器提供側と移植される側の双方のサルから、免疫に関係する「リンパ球」という細胞を採取。これに同大で開発した特殊なたんぱく質を混ぜて13日間反応させ、双方のリンパ球を移植される側のサルに戻した。移植した6頭のサルは、リンパ球を体に戻してから免疫抑制剤が不要になり、拒絶反応で死んだのは1頭だけ。残りの5頭に拒絶反応は表れなかった。そのうち2頭は、移植後3年以上生存し、移植腎臓も正常に働いている。
ドナーとレシピエントのリンパ球を混ぜて反応させ、レシピエントに戻してやると免疫寛容が起きると。
これは獲得免疫寛容の応用なのかな?
臓器移植の事例の中には、マイクロキメリズムが起こって移植された臓器に対する拒否反応が起きなくなるものがある。
マイクロキメリズムとは細胞レベルで体内に異種細胞が存在すること。
例え異種細胞であっても免疫系から非自己として認識されることさえしなくなれば排除されなくなるようだ。
実は他人の細胞が体の中に存在しても拒絶反応が起こらないケースというのは多々あって、
例えばこんな報告がある。
日本では、成人の60%以上に母由来細胞の検出が可能であり、出産経験のある女性の80%以上に子由来細胞のマイクロキメリズムが認められた、と報告されています。
母児免疫寛容を利用したNIMA相補的血縁者間移植
現在では臓器移植の際にこのような母子間免疫寛容も考慮するようになってきているとか。
臓器移植の場合も要はマイクロキメリズムと同じように、
免疫系に「この細胞は異物じゃない」と認識させることが出来ればいいわけだ。
その免疫寛容を得る手段としてこの研究では双方のリンパ球を混ぜ合わせたと。
サルでは6頭中1頭が拒絶反応で死んでいるのでまだ完璧とは言えないようだが
免疫抑制剤と組み合わせて使えば現状でもかなり効果的な方法には見える。
免疫系はそこまで詳しくないので何でこれで免疫寛容が得られるのか仕組みがよく分からんけど。
ちょっと勉強してみようかな。
直しておきました。
どうぞお気になさらず。