2005年06月08日

石油生産量は今後10年で頭打ちになる?

イラク戦争や世界各地でのテロリスク上昇、中国での消費の急増など様々な要因もあって
一昨年あたりから急上昇している原油価格だが、このまま高止まりして再び落ちることは無いかもしれない。

そう思わせる材料となったのが以下の記事
 
 
 
WiredNews - 石油生産量が来年から減少? 「オイルピーク」論争(上)
WiredNews - 石油生産量が来年から減少? 「オイルピーク」論争(下)
 安くて豊富な石油は、長年、アクセルをふかしエアコンを回し、世界経済の原動力になってきた。そんな石油の使い放題の時代は終わりに近づきつつあるかもしれない――少なくとも石油業界に詳しい一部の専門家はそう考えている。そうした専門家の予測によると、1世紀以上にわたって増加の一途をたどってきた世界の石油生産量が、今年、おそらくは来年――ほぼ確実なところでここ10年以内――にはピークを迎え、下り坂に転ずるという。


世界の確認石油埋蔵量が数年のうちにピークを迎え頭打ちになるのはほぼ確実と。
しかし現在も増え続けている石油消費量はそう簡単に減らすことが出来ないだろう。
多くの人が石油を使える残り年数をカウントするようになれば、
石油価格は上昇することはあっても下がることは無いだろうと言う雑感。

石油埋蔵量が減少に転じた年が一つの転機になるだろうな。


そういえば最近極東ブログでも同じ話題を扱っていたことを思い出した。
極東ブログ: 原油高騰の背後にある石油枯渇の与太話
 年明け以降、なんとなく気になっていた石油枯渇論だが、率直に言うと、これって壮大な電波というか与太話ではないかという印象をもっているので、どう触れていいのかためらっていた。それでも、このところの原油価格の動きを見ていると、それが与太話であれ、なんらかの影響をもっていそうだなという感じも受ける。

finalvent氏が書くように、結局世の中への影響はある理論が正しいかどうかよりも
その理論が『正しいと信じるに足る』と思った人がどれだけ多いかで決まるんだなと。



石油埋蔵量に関する議論では現在悲観論と楽観論とが争っている。
(finalvent氏の場合は非悲観論?)
悲観論者の言い分は、大規模油田のほとんどは既に発見され尽くしており、今後小規模油田の発見や技術革新による可採量の増加があっても石油消費の増加をカバーできるほどにはならないためいずれ破局が来ると言うもの。
一方で楽観論者の意見は技術革新と新規油田の発見で新エネルギーへの移行が済むまでは石油が余裕で持つというようなもの。
どちらの意見も一理ある。

現状では悲観論者の意見を後押しするようないくつかの根拠が出てきたことにより
WiredNewsで上のような記事が出るように悲観論優勢という感じ。


中東産油国の石油埋蔵量評価と 生産増大への課題(PDF)
この辺で具体的な数値を上げて議論しているので、興味がある人は是非目を通してみて欲しい。
米国で1970年をピークに石油生産量が減少に向かったのと同様に、各地の油田で既に石油生産量減少の兆しが出ていると言うのがまず一つ。
ここ10年ほど超大型油田の発見が無く、既に大規模油田は発見し尽くされたという見解があること
最大の産油地域であるアラブ諸国でも現在高圧水などを用いた増進回収法(EOR)を行う油田が増えてきており既にピークを超えていると見る向きがあることなどから
悲観論者の代表であるCampbell氏はアラブの石油生産量のピークが2008年頃にやってくるという予測を立てている。



問題は悲観論が正しいかどうかではなく、悲観論に説得力を与えるだけの材料が揃ってしまっていること。
これで実際にOPECが減産し出したりしようものならオイルショック再びだな。
日本はともかく最近原油輸入量が急増中の中国や自動車王国のアメリカ辺りは確かに結構でかい影響を受けることになりそうな気がする。



posted by 黒影 at 18:23 | Comment(4) | TrackBack(0) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. 日本(というかアジア一帯)の場合、石油だけでなく他のモノも最近高騰してますからね。
    個人的にはプロピレンの高騰による化成品の値上がりが結構な頭痛の種です。
    (まぁ今までが異常に安すぎた、というのもあるんですが・・・)

    また、日本の原油1リットル当たりの域内生産総額は10.5$、中国はまだ0.7$と15倍もの開きがあるそうです。
    http://forum.searchina.ne.jp/2005/0325/beijing_0325_001.shtml
    産業全般に於けるエネルギー効率が、せめて日本の半分まで追いつけば、国際的なエネルギー消費動向も少しは違うかもしれませんね。

    あ、でも中国は石炭も多いか。
  2. Posted by 佐倉河 at 2005年06月08日 21:12
  3. http://cruel.org/other/oil/lotofoil.html
    ここを一度読むと、面白いです。
  4. Posted by ゆきち at 2005年06月08日 22:48
  5. >佐倉河さん
    石油が値上がりすれば重化学工業系の産業は結構ダメージ大きいですね。

    中国は現在エネルギー需要の半分を石炭でまかなっているらしいです。
    http://www.tepco.co.jp/custom/LapLearn/world/chn01-j.html
    数年前に四川に行ったときは街中石炭を燃やした硫黄臭い煙が立ち込めていて大気汚染のひどさを実感しました。
    エネルギー効率の悪さと共に、環境汚染もかなり深刻になっているようですね。

    >ゆきちさん
    ご紹介ありがとうございます。
    その文章は確か石油関係の本だか雑誌だかにも収録されてましたよね。
    楽観論の典型として一度何かで読んだ記憶があります。

    http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Mid_e/pdf/2004_01_tateisi.pdf
    文中で紹介したこの資料では、悲観論だけでなく楽観論の立場からも分析を行っているのでよろしければご一読ください。
    結構ボリュームはありますがよく分析されていると思います。
  6. Posted by 黒影 at 2005年06月09日 00:30
  7. ピークオイルは切実な問題です。地球温暖化と石油の枯渇は因果関係の最も大きな要因ですね。とまぁいろいろブログしています。トラックバックさせて頂きました。
  8. Posted by わたなべ はるみ at 2005年11月09日 01:08
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。