九州大学教授の白畑実隆という人が出て来る。
例の「還元水」にお墨付きを与えた困ったさんで、水商売ウォッチングでも捕捉されているから名前は知っていた。
しかし今日読み返していてちょっと気になったことがあったので調べてみたのだ。
そうしたら出てきたのが表題のネタで、もう大笑いした。
さて、気になった事というのは、この人が現役の「国立大教授」だという事だ。
つまり自分の研究室を持ち、学生を学生を採って研究指導を行う立場の人間なわけで…
公費をトンデモ研究につぎ込まれたり肩書きを利用されるのもそうだが、
前途有望な若者がトンデモに染められるというのは社会の損失だ。
今回調べていてはじめて知ったんだが、この人はバイオ畑の人だったらしい。
今まで九大の人としか知らなかったが、ご同輩かよorz
研究室には学部や院の学生もかなりいるようで、染められていないか心配だ。
九州大学大学院 生物資源環境科学府 遺伝子資源工学専攻 遺伝子機能制御学講座 細胞制御工学分野
同じバイオ分野の出身者としては身内の恥を晒すようで恐縮だが、バイオ分野には−それも応用生物工学学分野には−決して少なくない頻度で「ト」な研究が転がっている。
確信犯、狂信者クラスはさすがに少ないが、ちょっと自分に都合がいい実験結果が出たら、ろくに検証も行わず突っ走る人が結構いるのだ。
白畑センセの場合、どのケースか判断を下すには情報が足りないが、今までそれなりに批判を受けてきているにも関わらず、未だにこういう↓主張を続けているのを見る限りでは、前二者のどちらかの可能性が高いか。
還元水の抗酸化作用の解明と医療・食品・農業への応用
ツッコミどころ満載というか、それ以前に明らかに日本語としておかしい文章があちらこちらにある。
せめて誤字脱字のチェックぐらい誰かにやらせなかったんだろうか?
そしてこのページの最後の部分−表題にした部分でもあるが−を読んだ瞬間、私は腹筋がよじれそうになった。
7)還元水は生命を発生させる。ミネラル含有水に紫外線を照射しながら、窒素ガスと炭酸ガスを吹き込むと数週間でアミノ酸をはじめ様々な有機物が生成し、さらに細胞らしき物体が発生することが判明した。水は生命そのものとも言えるような不思議な物質である。今後、さらに詳細な解析を行い、水と生命の謎を解き明かす基礎研究を行う予定である。
同じ九大で以前、「水に声かけで元素変換」というステキな境地に達しちゃった人がいたが、白畑センセも同レベルだな。
まさか21世紀にもなってスパランツァーニやパスツールの論敵と同レベルの主張を行う人がいようとは思わなかった。
#スパランツァーニとパスツールは、微生物の自然発生説を実験によって否定した18〜19世紀の科学者。
まあマジメな話をするなら、そんなアホな事を言い出す前に徹底的に実験系の再検証を行うべきだ。
元微生物屋から見れば、その実験結果は120%細菌のコンタミによるものだから。
なんせ微生物の中には、純水中でも空気中から溶け込むわずかな有機物を餌にして増殖するつわものや、二酸化炭素を還元して有機物を作り出す連中が当たり前のように存在するからな。













このURLのyebisu500さんの疑問に対するレス
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/bbs01/msg.php?mid=23730&form=tree
> これって、ミラーの実験のことを言ってるだけってことはないですか?
>ここだけ、「ミネラル含有水」で、「還元水」じゃないし。アミノ酸だけじゃなくて、
>脂質膜のようなものができたという実験もありませんでしたっけ?脂質膜のことを
>「細胞らしき物体」というのであれば、あながち間違いとも言えないのでは?
ミネラル含有水の前に明白に「還元水は生命を発生させる。」と太字で書いてありますから、ミネラル含有の還元水という意味なんだと思いますよ。
それと、こういう論文も出てますし、紫外線でアミノ酸生成までは理解できるんですよ。
Long-Wavelength Ultraviolet Photoproduction of Amino Acids on the Primitive Earth -- Sagan and Khare 173 (3995): 417 -- Science
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/173/3995/417
ただしガスの成分に大いに問題ありです。N源がNH3あたりならまだ分かるんですがN2では無理。
どこからN2還元するだけの還元エネルギーを持って来たのかと。
その後の「細胞らしき物体が〜」という部分も同様です。
二酸化炭素という酸化的な分子から脂質を合成しようとすると大量の還元エネルギー+高性能の触媒が必要なわけで、文章から読み取れる実験系とミネラルウォーターのミネラル分程度じゃ全然足りません。
ゆえに脂質膜は無理→なのに細胞らしき物体→ダウト!
と論理展開可能なわけでして。
#ミラーの実験も還元的環境で行ったものです。
何を参考に行った実験か知りませんが、書いてあるとおりなら無茶苦茶ですよあれ。
ひょっとしたら「還元水だから還元力が(ry」
という斜め上論理展開が待っている可能性もありますけどね。
たかが少しpHを上げた程度の水にそんなもんがあってたまるかっての。
もしも白畑センセの主張する現象がマジに起こっていたのだとしたら、
そこには酸化環境下での謎の窒素固定&炭酸固定etc.という、まともな化学者が聞いたら耳を疑うような事態が起こり、ポコポコと酸素の泡が発生していたはずですw
>あちらのどなたか
もしこれを読まれたら誘導を入れるなりコピペするなりしておいていただけると助かります。