今回は日本のバイオインフォマティクス産業の企業紹介を行ってみます。
こういうまとまった情報はほとんど無いので、多少はお役に立てるのではないかと思います。
私も就活しているときに大分苦労しましたから。
それでは一挙にご紹介。
◆日本の主要バイオインフォマティクス企業
1.日立ソフトウェアエンジニアリング
2.三井情報開発
3.インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス
4.富士通
5.伊藤忠テクノソリューションズ
6.インフォコム
7.三菱スペース・ソフトウェア
8.日鉄日立システムエンジニアリング株式会社
9.NEC
10.ダイナコム
11.菱化システム
12.メイズ
13.ワールドフュージョン
14.サイエンス・テクノロジー・システムズ
現在日本のバイオインフォマティクス市場で力を持っているところは、大体こんなところだと思います。
大手ITベンダーがバイオインフォマティクスにも進出したところが多いですが、近年はバイオインフォ一本槍のところも出てきました。
無論これが全てではありませんし、他にもベンチャーが結構あります。
バイオ機器メーカーでも解析ソフトの自社開発をしているところがありますね。
後はHP、Sun、IBMあたりがサーバー供給元として関わって来て、総研系の会社もコンサルという形で関わってくることがあります。
他に「ここも是非」とか「ここを忘れちゃいけない」という企業があれば紹介してくださると助かります。
それでは順番に見ていきますか。
1.日立ソフトウェアエンジニアリング
日立グループのITベンダーで、IT業界でもかなりの大手です。
日立ソフトと三井情報開発は国内バイオインフォ市場の二強と呼んで差し支えないかと思います。
強みを持っているのは配列解析とその周辺技術で、SI事業とソフトウェア開発・販売事業が主な事業内容です。
主力商品であるDNASISを中心に手広く扱っています。
最近親会社にあたる日立製作所のライフサイエンス事業部閉鎖があったので、どう響いてくるのか、ちょっと注目しています。
2.三井情報開発
三井グループのITベンダー。
日立ソフトと並び、国内のバイオインフォ市場ではかなりの老舗です。
事業内容はやはりSI事業とソフトウェア開発・販売事業。
マイクロアレイ解析やネットワーク解析に強いです。
色々とソフトの自社開発もしており、実績も高いです。
ただ傘下のXanagenが解散したり、E-CELL開発撤退の話が聞こえてきたりと、最近あまりぱっとしません。
なんか色々とゴタゴタがあるみたいなんですが、誰か詳しい人いませんか?
3.インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス
独立系ITベンダーであるインテックグループの企業。
医療・製薬系の研究支援ソフト、統計解析に強みを持っています。
主要事業内容はSIおよびソフトウェア開発ですね。
4.富士通
富士通グループのITベンダー。
医療支援システムに強いところで、主力商品はe-Clinicalソリューション。
主要事業内容はSIおよびソフトウェア開発です。
5.伊藤忠テクノソリューションズ
伊藤忠グループのITベンダー。
バイオインフォ部門の事業内容はSI事業で、海外のパッケージの輸入販売をしているようです。
メインは製薬、ケミカル向けのソリューション。
ソフトの自社開発はおそらく無い模様。
6.インフォコム
外資系ITベンダー。
主要事業内容はSIおよびソフトウェア開発。
ここも医療支援システムの開発がメインです。
7.三菱スペース・ソフトウェア
三菱電機系列のITベンダー。
主要事業内容はSIおよびソフトウェア開発。
研究支援・ナレッジマネジメントソフトを中心に、自社開発パッケージを展開しています。
<追記>
2009年度からバイオの名のつく部署が無くなりました。
バイオインフォ事業そのものは続いているようですが。
8.日鉄日立システムエンジニアリング株式会社
これも日立系列のITベンダー。
主要事業内容はSIおよびソフトウェア開発。
ナレッジマネジメント中心にパッケージ展開をしています。
9.NEC
言わずと知れたNEC。
あまり名前が出ませんが、バイオ事業にも手を出しています。
SI、ソフトウェアの開発から、解析受託サービスまで行っています。
プロテオームや製薬向けサービスがメインです。
微妙にドラゴンに近い事をやっているのかなあ。
10.菱化システム
三菱化学系列のITベンダー。
業務内容はSI事業がメイン。
化学解析ソフトベンダーの大手で、分子シミュレーションやタンパク質の立体構造予測などの分子解析に強いところです。
自社開発パッケージもあるようですが、大部分の取り扱いソフトは海外のソフトです。
11.ダイナコム
日立ソフト系列の、バイオインフォマティクス専門ベンダー。
バイオ研究者支援サイトバイオウェブ-BIOWEB-の運営母体でもあります。
主要事業内容は、自社開発パッケージソフトの販売と受託開発。
配列解析から遺伝子機能予測、プロテオームまで幅広くやっています。
12.メイズ
独立系バイオインフォマティクスベンダー。
主要事業内容は、自社開発パッケージソフトの販売と受託解析。
研究支援ソフト開発やプロテオミクスなんかもやっているみたいですね。
13.ワールドフュージョン
独立系バイオインフォマティクス専門ベンダー。
三菱スペースソフトウェアと提携関係にあります。
主要事業はパッケージソフトの開発と販売。
パスウェイ解析、文献解析等に強みを持っています。
14.サイエンス・テクノロジー・システムズ
北海道に本拠を構える、SGIから独立したバイオインフォマティクス専門ベンダーです。
主要事業はSIおよびコンサルティング。
強みは海外の有名解析ソフトの国内販売権をいくつも押さえている点で、ソリューションの提案、納入というコンサル的な業務が中心のようです。
製品の自社開発を行っているかどうかは分かりません。
大まかな情報しか書いていませんが、一応これである程度の規模の国内バイオインフォマティクス企業は一通り押さえているはずです。
バイオインフォマティクス企業への就職を考えている人は、企業研究の参考にして下さい。
◆関連記事
・幻影随想: BioInformaticianを目指す人の為に〜1.方向性を決めよう〜
・幻影随想: BioInformaticianを目指す人の為に〜3.バイオインフォマティクス業界の人余り問題を考える
バイオインフォマティクス企業に就職される方ってどのようなバックグラウンドなんでしょうか?
実際に研究室などでバイオインフォマティクスに触ってないと、なかなかバイオと情報を両方本格的にやる機会がないと思うんですが、黒影さんは学生時代にやってらっしゃったんですか?
周囲の人の話を聞く限りでは、バックグラウンドはかなり多彩です。
やはり大学で情報やバイオをメインにやっていた人が多いですが、数学系や化学系の人もいますし、営業畑から入ってくるような人もいます。
プログラミングのノウハウまったく無しで入ってくる人も多く、「院でバイオインフォやってました」とかいう人はまだかなり少ないです。
#これはバイオインフォの市場が出来てまだ歴史が浅いせいもあります。
#バイオインフォは元々はバイオの研究者が自分の実験のためにこしらえた解析ツールから始まってますので、今も大学でウェットと二足の草鞋の人が少なくありません。
#逆に企業では、ITベンダーが参入してきたところがほとんどなので、IT系の人が多いのです。
#今後は企業にもバイオインフォ系出身の人が増えてくるでしょう。
私の場合は院で系統解析の研究をしていたので、自分のPCで毎日BLASTを走らせてました。
サポート用のスクリプトを書いたりもしてましたね。
ただ大学でバイオインフォを学んだのかと言われれば答えはNOで、ほぼ独学です。
最近はそうでもないのですが、ちょっと前まではウェット系のバイオの学部でバイオインフォをきちんと教えられるところなんて数える程でしたから。
興味から、そして必要にかられて学んだというところでしょうか。
あと実は私はちょっと特殊なケースで、大学でバイオを学ぶ傍ら、自主的に第二専攻として情報系の勉強もしていました。
元々高校の頃から自分でPCを自作したりプログラムを組んだりしていた人間なので、自分でもこっちの方面に適性があると理解していましたから。
そんなわけで、少なくとも私に関しては相応のバックグラウンドがあり、今は納まるべきところに納まったという感じでしょうか。
バイオインフォマティクスやってたりします。
NEC本体よりも組織規模小さい分、狙ったとこいけるかもしれませんね
こんな感じです。
http://www.it.waseda.ac.jp/project/itpj04.htm内部の発表会ではけっこう評価高いたんぱく質系の研究やってるんだよーみたいなことでした
アドレスのl落としてしまったようで・・。
ご紹介頂きありがとうございます。
分散コンピューティングによるタンパク質構造解析ですか。
確かNECさんの方でも似たような事をされていたと思いますが、NECソフトさんも分散コンピューティングに強いんでしょうか?
あと、どうやら御社のサイトにバイオインフォの文字が無かったために私のチェック範囲から漏れたらしい事が分かりました。
バイオ研究支援ソリューション | 研究開発活動 | NECソフト
http://www.necsoft.com/vtc/rd_bio_1.html
コメントを頂いたおかげで、企業情報を集める際に使用するキーワードに気をつける必要があると分かり、大変参考になりました。どうもありがとうございます。
この分だとまだまだ取りもらしがありそうです(汗
基本的には、NECとNECソフトのソフトウェア面での傾向は同じだと
思ってもらっていいのではないでしょうか?
NECが得意といわれる分野はNECソフトも得意だろうし、その逆もしかり。
NECで請け負ってもある一定以上の、ソフトウェア、SI案件だと、NECソフトもその一部を請け負ってることが多いです。
なお、VTCの実力はそもそもバイオ系の知識が薄いのでわかりませんが、
スタッフは優秀な人材を社内から集めてる事実はあります。
一時期は、NECソフト内どころかNECグループ全体でも、トップクラスのLinux、UNIX系の技術者とかがVTCに異動してましたし。
>微妙にドラゴンに近い事をやっているのかなあ
どういう意味でしょうか?
私は現在大学院生で、来年度からここで紹介されている
会社のバイオインフォ事業部に所属出来る事になりました。
就活時には、こちらの情報も参考にさせて頂きました。
バイオインフォでの募集がない会社や、全体で人員募集しているために
バイオインフォ事業部に所属出来る保証がない会社は多く、厳しい就活でしたが、
最終的には希望の就職する事が出来て嬉しく思っております。
こちらの情報のお陰で就職できた人間としてお礼を言わせて下さい。
どうもありがとうございました。
はじめまして。
私の記事がengramさんの就活に少しでもお役に立てたのであれば幸いです。
書かれている内容から見てどうやら私とは別の会社に入られたようですが、同じ業界で働く者としてこれからもよろしくお願いします。
http://www.necsoft.com/press/2008/080728.html
>「BIOPRISM」の価格は、標準機能構成にて1セット400万円
はっきりいって、高いのか安いのかも見当もつかないですが、こんなもんなんでしょうか?
こういう移管があるなら、タンパク系のバイオインフォは、NECよりもNECソフトが中心になってくのかも
情報提供ありがとうございます。
3年で50セットというのはちょっと厳しいんじゃないかなあと思いますけど、その機能で400万というのは、まあ標準的な価格なのではないでしょうか。