現在アメリカでは再生可能エネルギーに大きな注目が集まっている。
中でも特にホットなのがバイオエタノールで、去年の半ばあたりから原料となるコーンの大幅な値上がりが始まっているほどである。
何しろ再生可能資源として近年注目を集めているバイオエタノールは、ここ数年に渡り飛躍的に生産量を増やしている。2006年度には燃料エタノール生産のためのトウモロコシ消費が5000万トンにもおよび、約50億ガロンのエタノールが生産されている。
これはトウモロコシ全米生産量の20%に当たるとてつもない消費量である。
news @ nature.com?-?Ethanol grants come through ?-?Blueprints for cellulose plants get US funding.

U.S. Corn Production and Use for Fuel Ethanol and for Export, 1980-2006
これは穀物市場からしてみるとまったく新規な、しかも底無しの胃袋を持つ消費者が現れたようなもので、トウモロコシ市場は瞬く間に急騰、食用コーンや飼料用コーンにも波及してあちこちの企業の市場担当者の頭を抱えさせる新たな問題となっている。
なにせこの間供給の方は大して増えていないのだから。
しかしブッシュ政権はここに来てさらにとんでもない目標を掲げてしまった。
2017年までに、つまり後10年で再生可能燃料の生産量を350億ガロンにまで引き上げるというのである。
同時にバイオ燃料に対して様々な助成制度を設けているが、はっきり言ってかなり無茶な計画である。
仮にエタノールだけでこれをまかなうとしたら、全米のトウモロコシを全てエタノール生産にまわしたとしてもまだ足りない。
U.S. seen short of Bush's ethanol plan - Yahoo! News
例え生産余力があるトウモロコシ産のエタノールでも、トウモロコシの生産量を増やさない事には100億ガロン程度が限度であろう。
無理やりエタノール生産にトウモロコシをまわしたら他への余波がえらい事になる。
この程度↓じゃ焼け石に水だろうし。
Yahoo!ニュース - フジサンケイ ビジネスアイ - 植物性廃棄物バイオ燃料 米、年間1億3000万ガロンへ
一体どうする気なんだろうと見ていたら、先日こんなニュースが出た。
どうやら「GMOで緑の革命再び」というシナリオを描いているようだ。
Dupont sees key GMO role in ethanol corn challenge - Yahoo! News
まあ1エーカーあたり現在150ブッシェルの収量が400ブッシェルまで増やせるなら、350億ガロンの生産も難しくないのかもしれない。
そういえば最近は、手間がかかる上に低収量なNON-GMOなトウモロコシを作りたがる農家も減って、アンチGMOな人たちはトウモロコシを手に入れるのに苦労しているそうな。
彼らも気苦労が多くて大変だ。
鶏鳴新聞 -高付加価値穀物でシンポ トウモロコシの80〜85%がGMO品種に アメリカ穀物協会-
最近のニュースを見るに、この動きは近いうちに日本にも波及してくるだろうから、関連業界の人はアンテナ張っといたほうがいいのではないだろうか?
#単位説明
#1ガロン=3.8リットル
#1エーカー=4平方メートル
#1ブッシェル=35リットル
ハイブリッドや燃料電池じゃ日本メーカーに勝てないけど、
エタノール車ならまだアドバンテージありますから。
必ずしも環境のためじゃなくて、国内産業のためってのがバレバレってのがアメリカらしいというか何というか。
ホンダが確か雑草からエタノール作る技術を開発してましたけど、
サトウキビとかトウモロコシは食料としての需要も高いですから、
増産だけじゃなくて代替物を確保することもこの先必要になるんでしょうね。
それから、トウモロコシの高騰は既に日本にも影響あるみたいですよ。
数日前の日経で明治製菓が「カール」を値上げしないといけないかもってぼやいてましたw
GMOがらみではトウモロコシだけじゃなくて大豆も値上がりしてますよね。
中国でも遺伝子組み換えでない大豆の需要が大きくてバイヤーがやたら高値をつけて買うので、
日本の味噌とか醤油とかのメーカーが値段で対抗できないとか。
日本ってつくづくこういう外的要因に左右されやすい国ですなぁ。
GMOに対する変なえり好みしなければいいのに。
ああ、もう十分影響出てるんですね。
今日もこんなニュースが出てました。
As biofuels boom, will more go hungry? - Yahoo! News
http://fe60.news.sp1.yahoo.com/s/nm/20070307/sc_nm/renewable_energy_hunger_dc
>LONDON (Reuters) - Using plants to feed our fuel needs may be a great idea, and the biofuel goldrush could be a moneyspinner for several poor countries, but some experts warn people may go hungry as food prices rise.
糖質は食料としてもエネルギー源としても重要ですし、今後さらに争奪戦が激化するでしょう。
食料の値上がりは正直ありがたくないですね。
>サトウキビとかトウモロコシは食料としての需要も高いですから
アブラヤシを使う向きもありますけど、あれも環境破壊ですしね。アブラヤーシ
こんな怪しい?ファンドまででてきてますから、それなりに注目度は高まっているようです。
http://www.wetech.sg/jp/index-3.html
ニュース記事によるとプラントを作っても二年で元が取れるそうです。
現在建造中のプラントが40箇所もあり、来年には100億ガロンのエタノール生産が可能になるとか。
350億ガロンの生産量を達成するまでまだまだプラントへの投資は続くでしょう。
そういう点では手堅い投資と言えるのかもしれません。
ただし肝心の原料の方があっさり供給不足におちいりそうな予感。
ウォール街の禿鷹も投機チャンスを狙っているとかで、今後数年は穀物相場が荒れそうです。
畜酪対策 飼料高騰対策が焦点/3月上旬短期決戦 生乳需給安定も
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin1/article.php?storyid=244
アメリカのこの記事と同じ構造です。
エタノールブームでトウモロコシ高騰、養豚農家が悲鳴
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200701160044a.nwc
あとコーンスターチは、工業製品の製造にも案外使うので凄いことになりそうです。
確か1〜2月ごろのニュースでしたっけ?
ちょっと探してみてこんなのを見つけました。
http://www.news24.jp/75550.html
今年はアメリカのトウモロコシの半分がエタノール生産に持っていかれるので、さらに大きな騒ぎになるかも。
>yingzeさん
既に畜産にもかなり影響が出てるんですね。
もう少し先になるかと甘く見てました。
もともとアメリカ、ブラジルのエタノール生産って
農作物の値段を下支えするためにやっていた、との
ことですわ。
余剰分をエタノール生産にまわしていたうちはそれでよかったんでしょうけどねえ。
今となってはどうやって生産量を増やすか頭を抱えている事でしょう。
アグリバイオ各社はここぞと自社のGMO品種を売り込んでいるようです。
こうなってくるとむしろ温暖化でカナダやロシアの高緯度地域で収穫量を増やす、もちろん遺伝子組み換え前提で、というのも悪くないように思えます。
反遺伝子組み換え陣営もそういう理由なら納得するんじゃないかな・・・甘いですかねw
今年はトウモロコシに釣られていろんな物が値上がりしそうですね。
>反遺伝子組み換え陣営もそういう理由なら納得するんじゃないかな・・・甘いですかねw
彼らなら『エタノールフィーバーはアグリバイオ企業が有機農業を潰しGMOを広めるために仕組んだ陰謀だ。その証拠にブッシュには奴等からの多額の献金が(ry』くらいは言ってくれるんじゃないでしょうか。