Ancient DNA solves milk mystery?-?Analysis of fossilized bones suggests milk-drinking mutations emerged after dairy c.
古代のDNAが牛乳の謎を説く
−化石人骨の解析は、牛乳を飲む変異が牧畜開始後に広まった事を示す−When did ancient populations learn that drinking milk 'does a body good'? A team of scientists in Germany has tried to answer this question by studying ancient DNA extracted from skeletons thousands of years old.古代の住人が牛乳を飲む事が体にいい事を知ったのはいつ頃だったのだろうか?
ドイツの科学者チームが、数千年前の人骨から抽出された古代のDNAを解析する事により、
この疑問に答える事に挑戦する。
日本人には牛乳を飲むと下痢をする人が多いが、
それは日本人の成人のほとんどが牛乳に含まれる乳糖を分解できないからである。
その一方で、大抵のヨーロッパ人は大人になっても乳糖を分解できる。
この違いはヨーロッパ人がある遺伝子を持っている事による。
詳しい内容は下記リンク先に譲るとして、この遺伝子を乳糖耐性遺伝子と呼ぶ。
・成人期でも乳を消化可能にした突然変異は牧畜により急速に普及した
東洋人の多くがこの遺伝子を持っていない事から明らかなように、
乳糖耐性遺伝子が人類の遺伝子プールに出現したのはごく最近である。
そしてこの研究では、化石人骨から抽出したDNAを元に、この乳糖耐性遺伝子がどう広がって行ったかを調べている。
研究内容によると、乳糖耐性遺伝子が広がりだしたのはちょうど農耕牧畜が始まった頃、
7000〜3000年前の東部アフリカが起源であるらしい。
それにやや遅れてヨーロッパにも広がったと。
牛乳を飲む習慣と耐性遺伝子のどちらが先にあったのかは不明だが、農耕牧畜を基本とする生活スタイルにおいては、牛乳を効率的に栄養に変えられる遺伝子というのは相当に適応度が高かったのだろう。
あいにく牛乳を飲む生活習慣の無かった東洋にまでは波及しなかったようだが、この遺伝子は数千年のうちにヨーロッパとアフリカの一部を席巻した。
進化のタイムスケールから見ると瞬く間といってよいほどのスピードである。
この解析手法は非常に応用範囲の広い技術で、様々な遺伝子の変化や広がりを可視化できる。
タイムスケールを伸ばしてサンプル数を増やせば、いずれは人類の進化の道筋も明らかにできるはずだ。
記事の最後にコメントしている人が言っているように"Excellent"な研究成果だね。