2005年04月02日

沖ノ鳥島のサンゴ

毎日新聞からこんな記事が出ていました。

サンゴ 手付かずの美しい自然 日本最南端の島、沖ノ鳥島(毎日新聞)
サンゴを映し出すエメラルドグリーンの海に魚が舞うように泳ぐ−−。国内唯一、熱帯気候に属する日本最南端の島、沖ノ鳥島(東京都小笠原村)。28日、民間調査団に同行して同島周囲のサンゴ環礁内の海に潜ると、手付かずの美しい自然が目に飛び込んできた。
 サンゴ環礁の内海は濁っておらず浅瀬で、海上から水深5〜6メートルでも底まではっきり見通せる。黄緑色で半球形、赤茶色で火山岩のような形をしたサンゴが目を引き、周囲にはブダイの仲間が集まっていた。
 死滅したサンゴも目立つ。砂浜の形成に必要な有孔虫が見当たらないなど、生態系がアンバランスになっているという。研究者は「人間がほんの少し手を貸してやらないと、サンゴは滅びてしまう」と危ぶんでいる。【田中義宏】

最近すっかり記事の裏を読む習慣が身に付いて、この記事も今のタイミングで出るのは何故かとか色々考えるのですが
それはひとまず置いておいて、まずサンゴの話でも軽く書いてみます。 
 
 
◆サンゴについて
サンゴには大きく分けて宝石サンゴ、造礁サンゴと軟質サンゴ(ソフトコーラル)の3種類があります。
宝石サンゴは深海で生育する石灰質の硬い骨格を持つ枝状のサンゴで名前通り宝石として扱われています。
造礁サンゴはサンゴ礁を形成するサンゴの事。サンゴと聞いて普通の人が思い浮かべる物はおそらくこれです。
軟質サンゴは名前通り硬い骨格を持たないサンゴです。ウミトサカやヤギなどがこれにあたります。

サンゴはクラゲやイソギンチャクと同じ刺胞動物というグループに分類される生物です。
サンゴの骨格に空いた穴の一つ一つにイソギンチャクをそのまま小さくしたような固体が入っており
全体で一つの群体を形成しています。
サンゴは肉食で、触手で捕らえたプランクトンなどを食べて生活していますが
造礁サンゴは褐虫藻という藻類を体内に共生させており、そこから得られる養分も利用しています。
褐虫藻はまたサンゴ礁の成長にも重要で、サンゴの体内をアルカリに保ち石灰の沈着に寄与しているといわれます。
この藻類がいなくなってしまうとサンゴ礁は白化を起こし、いずれは死滅してしまいます。
サンゴ - Wikipedia


◆サンゴによる島の形成
さて、ここから本題。
サンゴ礁は長い年月をかけて自然環境まで変化させます。
オーストラリアのグレートバリアリーフなど、サンゴ礁によって島が形成された例は数多くあります。
そして最近の研究によって、島嶼形成には有孔虫が関わっている事が明らかになってきました。

話は変わりますが、沖ノ鳥島は中国などからただの岩で島だとは認められないと難癖を付けられています。
そこで現在、「ならば誰にも文句を言われないような立派な島にしてしまえ」と
サンゴを利用して沖ノ鳥島を立派な島に成長させようと大真面目に取り組んでいる人たちがいます。
人為的にサンゴによる造島プロセスを加速させてやろうという取り組みは世界初ではないでしょうか。
加速させると言っても間違いなく数百年はかかるなんとも壮大な計画です。
日本財団の報告書へのリンク

ようやく記事と話が繋がりましたね。
この記事で触れられている研究者とはおそらくこの計画に関わっている人です。
だからこそサンゴの成育自体には関係の無い有孔虫にまで言及しているのでしょう。
記事内ではまったく触れていませんが、この記事は沖ノ鳥島のサンゴ養成計画のさり気ないバックアップですね。
毎日新聞はこの計画に協力するのかな?それともうまいこと研究者に乗せられているだけなのかな?

いずれにせよ学術的にも大きな意義があり、日本にとっても大きなメリットを持つ計画です。
私もこの計画を応援したいと思います。


posted by 黒影 at 16:53 | Comment(5) | TrackBack(2) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. これって温暖化で水没危機の国々にも使えるんでしょうか?もうやってるのかもしれないけど。
    ま、実際に島が作れるかどうかはちょっと?ですが、二酸化炭素の吸収には大きな期待が持てます。それに加えて、珊瑚が成育できるほどにはキレイな水環境の保護にもつながり、まさしく一粒で2度おいしい研究ですね。
    私はこういった分野とはぜ〜んぜん違うところに身を置いてますけど、この研究には国家予算つけてほしいですね。
  2. Posted by はりぼで at 2005年04月02日 17:32
  3. >はりぼでさん
    熱帯地方でなら広く応用が可能だと思います。
    水没しそうな島で元はサンゴ礁のところって結構多いですから。
    ツバルやモルジブ、キリバスなんかはまさにそれですよね。
    http://tuvalu.site.ne.jp/about/constitution/

    海面の上昇速度以上にサンゴの成長を早める事が出来たら水没を免れ得るかもしれません。
    沖ノ鳥島の権益を抜きにしても、実用化されれば色々と可能性が広がる技術ですね。
  4. Posted by 黒影 at 2005年04月02日 20:02
  5. これかな? <裏

    ■沖ノ鳥島に観測用レーダー、6月設置…接近船舶も把握
    http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050327i201.htm
  6. Posted by JSF at 2005年04月02日 23:51
  7. 以前WSJが掲載していた話題にも関連してますね。

    ttp://www.doblog.com/weblog/myblog/15765/1030256#1030256
  8. Posted by e_r_i_c_t at 2005年04月03日 00:40
  9. 以前、WSJに掲載されていた沖ノ鳥島の話題にも関連してますね。
  10. Posted by e_r_i_c_t at 2005年04月03日 01:08
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Weblog: 不可視型探照灯
Tracked: 2005-04-03 01:11

沖ノ鳥島(島じゃなくて岩なのに)
Excerpt: 再生プロジェクトだのなんだの知らないけど、最近頭の中が●●な石原慎太郎知事がこんな事して来て話題沸騰の沖ノ鳥島さんです。 高さ1m弱の岩が二つあるだけの島。もちろん経済水域40万平方kmにハァハァだ..
Weblog: そしてあなたのお腹は出ている(´Д`)y-
Tracked: 2005-06-16 13:50
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