2006年10月29日

ヴァンパイアは数学的に存在し得ない?

ハロウィンシーズンにぴったりの、素敵なネタ記事がYahooNewsに載っていたので紹介してみる。

Science bites myth of vampires, ghosts - Yahoo! News
科学が吸血鬼や幽霊の伝説につっこむ。
It may be the season for vampires, ghosts and zombies. Just remember, they're not real, warns physicist Costas Efthimiou. Obviously, you might say. But Efthimiou, a professor at the University of Central Florida, points to surveys that show American gullibility for the supernatural.

吸血鬼や幽霊、ゾンビのシーズンがやってきました。
しかし、「彼らが実在しない事は良く覚えておいてください」と物理学者Costas Efthimiouは注意します。
「当たり前だ」とあなたは言うかもしれません。
しかしフロリダ中央大学の教授であるEfthimiouは、超自然現象に対するアメリカ人の騙されやすさを示した研究を例に挙げます。

洋の東西は違えど、人間社会はどこも本質的には変わりない。
超自然現象はマイナーでも、巷に溢れるトンデモ本の数を見れば、日本人の騙されやすさもあまり変わらないだろう事が分かる。
しかしまあ今回の記事はネタ記事なので、真面目な話は置いておいて先に進もう。
ところで、この人の名前はどう発音したらいいのだろう?
 
 
 
Using science and math, Efthimiou explains why it is ghosts can't walk among us while also gliding through walls, like Patrick Swayze in the movie "Ghost." That violates Newton's law of action and reaction. If ghosts walk, their feet apply force to the floor, but if they go through walls they are without substance, the professor says.

"So which is it? Are ghosts material or material-less?" he asks.

科学と数学を使って、Efthimiouはなぜ幽霊が映画「Ghost」のパトリック・スウェイズのように、壁を通り抜けると同時に床を歩く事が出来ないかを説明します。「もし幽霊が歩けるならば、幽霊の足は床に力を加えていますが、幽霊が壁をすり抜けるならば、幽霊は物質で出来た実体を持ちません」と教授は説明します。これはニュートン力学の作用反作用の法則に反します。

「だから幽霊は実体を持つのか持たないのかどちらが正しいのだろう?」と彼は尋ねます。

幽霊が歩くのは多分自分が人間であるように見せたいからなんだよ、きっとw
足音も自分で効果音を出しているに違いないw

Zombies and vampires fare even worse under Efthimiou's skeptical microscope.

Efthimiou looked at the most prominent child-turned-zombie case that zombie aficionados cite: the 1989 case of a Haitian 17-year-old who was declared dead and then rose from the grave a day after the funeral and was considered a zombie. The boy, who never died but was paralyzed and could not communicate, had been poisoned with toxins from a relative of the deadly Japanese pufferfish, later research showed.

Efthimiouの懐疑的な顕微鏡の下では、ゾンビとヴァンパイアはさらに悪い事になります。

Efthimiouは熱狂的ゾンビファンが例に挙げるもっとも代表的な、子供がゾンビになったケースを取り上げます。1989年、死亡宣告を受けて埋葬されたハイチの17歳の少年が、葬式の翌日墓から蘇ってゾンビだと思われたケースです。決して死んでおらず、麻痺していて意思疎通も不可能な状態にあった少年は、致命的な日本のフグ毒素で毒殺されたことが、後の研究で判明しました。

死んだと思ったら実は生きていて、棺桶から出てきて周囲が腰を抜かすというのは日本でも偶にある話だ。
東欧ではこの黄泉返りがヴァンパイア伝説に、ブードゥーではゾンビ伝説につながったという説がある。
ゾンビの場合、元はブーディストが自分の力を示す為に人をフグ毒で仮死状態に落として蘇生のパフォーマンスをやったものとも、ブーディストのマインドコントロール下に置かれた人間を指すものとも言う。あいにく洗脳の方は知らないが、ゾンビパウダーを使われた人間が実在するのは引用したとおりだ。
ゾンビ - Wikipedia

さて、お次はようやくタイトルにしたヴァンパイアの話
Efthimiou takes out the calculator to prove that if a vampire sucked one person's blood each month ― turning each victim into an equally hungry vampire ― after a couple of years there would be no people left, just vampires. He started his calculations with just one vampire and 537 million humans on Jan. 1, 1600 and shows that the human population would be down to zero by July 1602.

Efthimiouは計算機を持ち出し、吸血鬼が毎月1人の人間の血を吸い、各々の犠牲者を等しく空腹の吸血鬼に変えるならば、二年と少し後には人間は一人も生き残っておらず、ヴァンパイアだけになることを証明します。ちょうど1600年1月1日に1人のヴァンパイアと5億3700万人の人間がいたとして計算を始めると、1602年7月には人間の人口が0になる事を彼は示しました。

ネズミ算式に増える吸血鬼。この仮定の下でいくと3年あれば現代の人類でも全滅だ。
さあ、みんなも2の36乗がいくらになるか計算してみよう。

無論これはネタなので吸血鬼ファンの人は過剰反応しないように。
「ヴァンパイア・ハンターの存在を考慮していないその計算式は破綻している!」
という類の誰でも出来そうなツッコミは却下します。

しかしもし吸血鬼人口が4桁以上なら、イスカリオテ機関なり埋葬機関なりの面々はかなり忙しい毎日を送る事になるな。
なんせちょっとバランスが崩れたら容易に人類全滅なんだから。

Take that Casper, Dracula and creepy friends.

All this may seem obvious, but to Efthimiou and other scientists, the public often isn't as skeptical as you might think. Efthimiou points to National Science Foundation reports showing widespread belief in pseudosciences ― such as vampires, astrology and ESP.

そのおばけのキャスパーとドラキュラと気味の悪い友人達をあっちへ連れて行ってください。

こういうことは当たり前のことに見えるかも知れません。しかしEfthimiouと他の科学者にとって、市民はしばしば、あなたが考えるかもしれないほど懐疑的ではありません。Efthimiouは広範囲に広がった疑似科学 ―例えば吸血鬼、占星術、― に対する信仰を示す全米科学財団のレポートを挙げます。

うんうん、このブログ向きの話になってきた。
日本でもこの手の大規模調査って無いかな?

More than 1 in 3 Americans believe houses can be haunted, a 2005 Gallup poll showed. More than 20 percent of Americans believe in witches and that people can communicate with the dead. TV shows such as "Medium" and "Ghost Whisperer" are popular.

2005年のギャラップの調査によると、3分の1以上のアメリカ人が家に幽霊が憑くことがあると考えています。20%以上のアメリカ人が魔女の存在と、魔女が死者と交信できることを信じています。"Medium"や"Ghost Whisperer"のようなテレビ番組は非常に人気があります。

どうでもいいが私の母はアメリカのコメディドラマ「奥様は魔女」が大好きだ。
だからといって別に魔女や魔法の存在を信じているわけではないのだが、こういった番組が一般人に与える影響というのは結構侮れないのかも知れない。

"We're talking about a large fraction of the public that believes in subjects that scientists believe are out of the question," said Efthimiou. His paper is in an archive awaiting publication either in the journal Physics Education or the magazine Skeptical Inquirer, he said.

University of Maryland physics professor Bob Park, author of the book "Voodoo Science," said scientists have to keep telling the public what seems all-too-obvious.

"There are things that we need to point out that are crap," Park said.

「我々は、科学者が問題外であると思っている題材を信じる多くの一般人について話しています」と、Efthimiouは言います。彼の文書はジャーナル"Physics Education"または雑誌"Skeptical Inquirer"で出版を待っているアーカイブにあります。

"わたしたちはなぜ科学にだまされるのか―インチキ!ブードゥー・サイエンス"(Amazon)の著者である、メリーランド大学の物理学科教授ボブ・パークは、科学者は一般の人々に語りかけ続けなければならないと言います。

「我々がくだらないと指摘する必要があるものが、あります」と、パークは語ります。

こういった科学と一般人とをつなぐ取り組みというのは非常に重要で、欧米では一学問分野にもなっているが、日本ではかなり取り組みが遅れている。
最近話題になっているサイエンスコミュニケーターには、是非こういう取り組みも行って欲しいな、というのが私の希望。

It's gotten so bad, Park has a hard time watching movies these days. Not Efthimiou, who liked the horror movie "The Ring."

"I have nothing against movies," he said. "I have nothing against people who like them, as long as they don't mix reality with fiction."

「あまりにひどい」パークは最近映画を見るのにひどく苦労します。ホラー映画"リング"が好きなEfthimiouはそうでもないようですが。

「私は、映画に対して何の反感も持ちません」とパークは言います。「彼らが現実とフィクションを混同しない限り、私はそれらの映画が好きな人々に対して何の反感も持ちません。」

自分の専門分野に関してずっこけるような描写が出てきて映画や小説なんかに幻滅するという経験は、何かしらの専門分野を持つ人なら一度や二度はあるのではないかと思う。
バイオの分野は特にそういうのが多いのだ。困った事に。

And Halloween? Both physicists will suspend disbelief when vampires, ghosts and zombies come to their doors.

"I give them candy and I feign fright," Park said. "They enjoy it, what the hell. The problem is the ones that never get over it."

そしてハロウィンには?
両物理学者はヴァンパイアや幽霊、ゾンビ達が自分の家のドアを訪れるとき、懐疑を一時棚上げにします。
「私は彼らにキャンディーをあげ、恐がる振りをします。」とパークは言います。「彼らはそれを楽しみます、仕方がない。問題はそれを乗り越えられない者だけです。」

ハロウィンは10月の最終月曜日。つまり来週の月曜日。
疑似科学に眉をしかめる物理学者もイベントを楽しみにする子供達には勝てないかw
将来的にきちんと自分で考えられるようになるならば、子供の楽しみを奪う必要はあるまい。
問題は、少なくとも米国では(無論日本でも)全員が全員そうならないってことだよな。
日本の新聞にもこの手の記事が普通に載るようになって欲しいものだ。


この記事へのコメント
  1. どうでもいいことへの反応だけですみませんが、Efthimiouは多分「エフシミウ」みたいな発音になるのだと思います。(英語的にはむしろイフシミウか)。シはthinkのthi。ギリシャ系ですね。
  2. Posted by TAKIN at 2006年10月29日 01:18
  3. 名前のことしか考えられませんでした。
    TAKINさんが言うようにギリシャ正教ということでしたらエフシミオとかでどうでしょうか。

    多分アメリカ人もスペルみてびっくりすると思います、レベル高杉
  4. Posted by SLEEP at 2006年10月29日 09:20
  5. 埋葬機関やイスカリオテ機関という名前がすらっとこのblogで出てきたことに驚きを覚えました。
    そちら方面へのアンテナも張っていらっしゃるのですか?びっくりです。
  6. Posted by 葱 at 2006年12月15日 03:22
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