2005年03月25日

ここが変だよブログ時評(3)

とりあえずこれでラスト。
その2で言ったように、今回はウェブ上の情報へのアクセシビリティ関係の話。
ブログ時評での関連エントリはこの二つ。
ネット右翼的な思考回路は限界〜若隠居さんへのお答え
ブログの現状はそれほど素晴らしいか

文のまとまりが悪く、「ブログなんて大したことが無い。現状ではマスコミの方が上だ。ブロガーはマスコミに影響力を持てるようにならなければならない。」以外に強い主張がうかがえない。
脱力感が先に立ってもたもたしているうちに他の人に先を越されてしまった。

総論的には「議論の交差点」のブロガー批判なんて的はずれにほぼ同意。
各論的な部分では「ひたすら無題」のサスケット氏の考察が優れていると思う。
本当にブログの隆盛でインターネットの質は落ちたか? (1)
本当にブログの隆盛で検索結果の質は落ちたか?その2
さて、これらの記事内容で既にかなりの部分をカバーされてしまっているわけだが
それでも突っ込みどころには事欠かないのがブログ時評クオリティ。 
 

とりあえず順番に突っ込んでいこう。
まずは「ネット右翼的な思考回路は限界〜若隠居さんへのお答え」の後半部分から。
 ネットの議論は現状でもマスメディアの水準を凌駕していると豪語する方が多数います。本当でしょうか。そういう質の議論があることは事実ですが、広く一般市民が容易に接することが出来なければ存在しないのと同じです。「十個は秀でたものが混じっています」と千個の文書を渡されて読む人がいるでしょうか。

「ネット上にマスメディアの水準を越える議論が存在することは認める。
しかし広く一般市民が容易に接することが出来ない以上存在しないのと同じだ。」と言う主張。
はっはっは、のっけからすごい屁理屈をかましてくれますな。
その論法でいくと肝心のマスメディア(新聞)の議論の存在まで否定されてしまうのだが。
―各新聞の世帯普及率―
もっとも高い読売新聞で全国平均20.13%(1000万部)、朝日だと16.45%(820万部)
複数の新聞を購読している世帯となると数%程度しか存在せず、、
どの新聞(マスメディア)も"広く"一般市民が接していると言えるのかどうか疑問である。
どれか一つの新聞の社説にいい事が書いてあったとしても、8割以上の人間はそれを知る機会すらなく終わるわけだ。

さらに…
―普段の閲覧記事ジャンル―
 テレビ番組表  :78.3%
 社会・事件・事故 :67.1%
 国内政治    :47.6%
 経済      :26.8%
 国際・外交    :25.7%
 社説・オピニオン :17.4%
新聞を読む主目的はテレビ欄だと言う動かしがたい現実がここに。
社説などまじめに読んでいる人間は各新聞の普及率と掛け合わせれば調査対象全体の数パーセントまで減ってしまう。
「"広く"一般市民が接する事が出来ない議論は存在しないも同じ」ならば
新聞というマスメディアの議論も存在しないことになるのではないのか?
それとも一部の人間のみを相手にした自己満足の議論だと解釈してもいいのか?
新聞広告データアーカイブより)

あらかじめ釘を刺しておくならば、他紙でもその気さえあれば簡単に読む事が出来るだとか
それでもネット上の議論を知る人間よりは多いとかそういう屁理屈は認めない。
なぜなら大多数の人間がその言論の存在を知らないという点ではなんの変わりも無いからだ。
そもそもレベルの高い議論が存在するか否かと、それが広く知られているかどうかは別次元の問題だ。
団藤氏の論の問題点はこの二つを混同したところにある。
だからあえて一旦団藤氏の土俵に乗ってこの論のおかしさを指摘して見せた。

端的に言って、言論が広がるか否かはアクセシビリティよりもその存在が知られているか否かによる。
どんなに優れた議論が存在しようとも「その存在を知らない者にとって」は存在しないも同じだ。
しかし存在を知ってさえいれば、そこに辿り着くのは大したことではない。
団藤氏もそれが分かっているからこそ「私が97年から続けている「インターネットで読み解く!」は、ネット上の知のピークを広く利用可能にする仕事だとも言えます。」と述べているのではないのか?
はっきり言って本論と関係の無い脱線が多すぎる。もう少し論旨の明確な記事を書いていただきたい。


この後で検索エンジンのノイズ云々に再び脱線しているが、
これについては上記サスケット氏の二本の記事が詳しいのでそちらに譲って簡単に。

ニュースを見た後にネットで情報を検索するという行動パターンは既に明白に確立している。
それはなぜか?
マスコミだけで必要な情報をまかなえるのであれば、
あるいはネットにマスコミ以上の情報が存在しなければ誰もそんな行動は起こさない。
マスコミだけでは得られない情報があるから、
あるいはマスコミからよりも簡単に情報を得られるからこそ人はネットを利用するのだと思うがいかがか?
ある意味それはマスコミの情報に物足らない人間の行動ともいえる。
情報のアクセシビリティのみを考えた時、ネット上の情報はマスコミの情報に比べてはるかに入手しやすい。
求める情報の概要さえわかっていれば大抵は検索一発で見付かる。
検索結果に目的の情報が得られないならば、それは検索の仕方が悪いのだろう。

結論から言えば、突っ込みどころを間違っているという程度の話に落ち着く。
というかメディアリテラシーを語る人間がネット上の情報リテラシーを無視するのはどうなのか。
メディアリテラシーをブロガーに求めながら他のネット利用者には情報リテラシーを求めないのは間違っているだろう。
結局前半部も含めて酒の愚痴レベルを出ていないということだろうか。 
残りの部分はその2で触れているので省略。


ようやく最後の記事に到達。
ブログの現状はそれほど素晴らしいか
ブログなんて大した事が無いという主旨には同意。というかどっちが上かなんてどうでもいいことだ。
重要なのはどちらからだろうと有用な情報を得られるかどうかだと思うが。
その意味ではまだまだマスコミの果たす役割は大きい。(主にニュース源として)
しかし「本はニュースを伝えてくれない。だから新聞は本より上だ。」なんて主張する人間がいるだろうか?
ネットとマスコミの関係もこれと同じようなものだ。
求められる役割が違うものを比較することに何の意味があるのかと思うのだが。
そもそも「ブログは現状でマスメディアのレベルを凌駕しているという幻想に酔いしれている方たち」なんて本当にいるのか?
私はそんな方を見た事がないので是非教えていただきたい。

「マスコミも別に大した事が無い」というのが最近いよいよ露になってしまい、
それをブロガーに「王様は裸だ!」と指摘されて「裸じゃない!」と叫んでさらに醜態を晒す。
当人達は本当に裸のつもりが無いのかもしれないが、だからこそなお笑いを誘う。
そこのところを分かっていないから
「「新たに生まれたブログの世界は素晴らしい」と新参者が賛美しないのが、お気に召さないと見える。」
なんて頓珍漢なことを言ってさらに失笑を集めることになる。
結局「ブログが素晴らしい」のではなくて、単に「マスコミの虚像が崩れた」だけなんだろう。


> 「BSEはメディアリテラシー力を問う [ブログ時評15]」の分析では、中身の濃いと見られるブログでも多くがミスリードしている実態が浮かんでいる。
色々な事象について間違った情報を垂れ流すブロガがいるのは確かに困ったことだが、
これは正確な情報の流通という点ではそれほどクリティカルな要因にはならないと思う。
ブログというシステムは誤情報の修正が非常に容易という点で普通のテキストサイトよりも数段上だ。
おかしなことを言っているエントリがあったら端からトラックバックで突っ込みを入れればいい。
同様に情報に疑いを持った人間からも正確な情報を探しやすい。
過度に教導的な姿勢を押し付けるのは無用な反発を買うだけで何の解決にもならない。


>言論は自由。だからこそ、ネットの書き手は考えねばならない。プロだと言っている人なら、もっと考えねばなるまい。
激しく同感だ。
プロを名乗る以上、せめて最近のエントリのおかしなところくらいは早急に何とかしていただきたい。
はっきり言って、あなたの最近のエントリはブログの知のピークの5合目にも達していない。


そういえばブログでマスコミへ影響を与えようとしたがるブロガーにもう1人心当たりがいた。
週刊!木村剛の木村氏だ。
彼の場合はマスコミへのカウンターパワー形成が目的のようなので、
世論形成を目論む団藤氏とはかなり趣旨が違うだろうが、一度話でもしてみてはどうか?案外気が合うかもしれない。


◆関連エントリ
ここが変だよブログ時評(1)
ここが変だよブログ時評(2)
posted by 黒影 at 16:42 | Comment(0) | TrackBack(3) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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