ちょっと書いてみようと思う。
まずは直近のエントリをいくつか並べてみる。
・公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13]
・ネット右翼的な思考回路は限界〜若隠居さんへのお答え
・ブログの現状はそれほど素晴らしいか
私が違和感を憶えるのはとりあえずこの3つだ。
他の記事に対しても色々と思うことはあるが、あまり的を広げすぎても話がまとまらなくなるので
この3つについて考えたことを書いてみようと思う。
まずはこれだ。
公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13]
ブログ時評がくすぶり始めたきっかけのエントリだ。
タイトルからしていかにもな感じだが、出だしだけはちょっといいことを書いている。
「小さな目で見る大きな世界」の「リベラルの不在、保守の不在」が「何を重視するかということで違ってくるのだろうけれども、保守の人たちはずいぶん取り上げていない問題があるよなあと感じている」と指摘する思いに近い。
若隠居氏も言及しているが、私もこの部分には同意できる。
生活に即した政策では左翼政党のほうが明らかに積極的であり、評価に値する。
右翼政党がこの点で遅れをとっているのは事実だ。
問題はこちらだろうな。
ブログの世界を中心に時事問題への議論を収集して3ヶ月余り、ネットに右翼的言辞が氾濫しているのに、個別政策的な課題では右からの発言がほとんど無い。
これは特に政治に興味を持たない人間がマスコミの煽動的な報道に煽られている結果だからではないのか?
竹島問題にせよ人権擁護法にせよ、朝日も含めて世論がそっちに流れるような報道が続いている。
だから結果としてネットにもそういう世論が流れ込む。
そして普段は特に政治を意識しない人間の行動だから、その時々の刺激に反応するだけで具体的政策論まで踏み込む者が出ない。
ただそれだけの事ではないかと思うのだが。
この視点から見れば、「ネット右翼」なる言葉に多くのブロガが懐疑的な理由も分かるのではないだろうか。
当人達の大多数は自分が右翼であるなどという意識を持っていない。
だからこそ小倉氏の呼びかけにもほとんど反応がなかったし、「自分は真ん中」という意識を持っている。
(この「真ん中」は「右翼勢力にも左翼勢力にも属していない」程度の意味だとは思うが)
私はむしろ、左翼的観点から「ネット右翼」という言葉の安易な使用を戒める声があまり出ないことに驚いている。
「ネット右翼」という言葉が使われる時、大抵は対象に対する否定的な意味合いが込められている。
そしてその言葉が向けられる先は本来の意味での右翼ではなく、状況次第でどちらにも流れる流動層だ。
本来の意味での右翼は少数しか混じっていない。
戦う必要のない人間まで悪し様に罵って敵に回してどうするのか。
敵戦力の分断と中間勢力の取り込みはどんな局面だろうと当たり前の戦術だというのに、
自ら好んで中間層まで敵に回していては世話はない。
あえて言おう、ろくに考えもせずに「ネット右翼」などという言葉を使うのは馬鹿のやることだと。
◆関連エントリ
ここが変だよブログ時評(2)
ここが変だよブログ時評(3)
現状こうなっております。
ネット右翼はないけれど、「その他大勢」はありますよ。この辺をもうちょっと考えるべきだと思う。
ただ、まだ言葉にできないのですがね。
「その他大勢」は確かにありますね。
私はそれを仮に中間層と呼びましたが、
左翼でも右翼でもないけれど、自身の政治主張を持たないわけではない人達は確かにいますね。
これをどう表現するかというのは面白いテーマだと思います。
団藤さんは今日も相変わらずですか。
なんか理系によくいるプライド星人なんじゃないかと思えてきました。
あんなのと一緒にしないでほしいニダ!…ちょっと興奮してしまいましたが質問がひとつ。
最近右翼に比べて左翼は個別政策的な発言が多いと言われてますが、それってどうでしょう?
彼らは基本的には権力を叩ければいいわけで、その結果として議論が個別政策に言及しているだけなので、
情報としては弾道氏が言うところのゴミの山。大事なのは発言の量じゃなくて質でしょう。
黒影さんの言われるとおり、この話題と右翼の話題の狭さは全く関係ないですよね。例えるなら、
「オイおやじ。このラーメン味おかしくね?」
「何だとこのガキ!!じゃあてめえはチャーハン作れんのか?チャーハンも作れねえ奴が味に文句言ってんじゃねぇ!」
…おかしいですよね、これって。
まあ、右派っぽいブログにも個別政策的なことをきっちり書く人もいますし(このブログも含めて)、
トータルで見ればどっこいどっこいかと。
あ、右派じゃなかったらごめんなさい。
団藤さんにしても小倉氏にしても、「その他大勢」の近年の変貌を見抜けずに「新たな勢力=ネット右翼」という図式で捉えてしまっているんじゃないっすかね。
>「オイおやじ。このラーメン味おかしくね?」
>「何だとこのガキ!!じゃあてめえはチャーハン作れんのか?チャーハンも作れねえ奴が味に文句言ってんじゃねぇ!」
ぐぅ、その2でやろうとしていた内容をあっさりとまとめられてしまった_| ̄|○
仰るとおりです。要点を突いた非常にいい例えだと思います。
>最近右翼に比べて左翼は個別政策的な発言が多いと言われてますが、それってどうでしょう?
これは別に最近に限らないと思いますが、支持層の違いが政策の方向性に影響しているのではないかと思います。
左翼政党の支持基盤は都市の労働者層。
この層の政策ニーズが福祉政策などの具体的なものとして出てくるからじゃないかと。
ところで私は前回の衆院選で民主党に淡い期待を抱いて票を投じ、今に到るまで後悔すること頻りなんですが、こんな私は右派なんでしょうか?
>J2さん
確かにその他大勢の民度というのは非常に重要ですね。
今の韓国なんかを見ているとつくづくそう思わされます。
団藤氏にしろ小倉氏にしろ、穴のある論理で「その他大勢」を敵認定してしまったのが炎上の原因でしょう。
初めからけんか腰では話にもならないと思います。
「右翼」もなにも思想なんてきちんと持ちえてるのかしら、なんて思ってみたりね。
「すでにネットが公共性を宿した言論空間じゃない」
なんてジャーナリストに云われたことがあるわん。
そうそう、おばかなワタクシのコメンツを暖かい目でみてくださって
ありがとですわ。
>敵戦力の分断と中間勢力の取り込みはどんな局面だろうと当たり前の戦術だというのに、
>自ら好んで中間層まで敵に回していては世話はない。
あ〜、この指摘は・・・迂闊、もっと早く気付くべきでした。反省。
ようこそSeesaaへ。うちのブログの影響だなんて恐縮です。
この指摘、小倉氏の参戦あたりからずっと温めてきたのですが今回ようやく陽の目を見ました(笑)
>もともと匿名性の高いネット内の事だけに
>「右翼」もなにも思想なんてきちんと持ちえてるのかしら、なんて思ってみたりね。
思想は個々人の内に帰属するものなので確実に「在る」とは思いますが
匿名性の高いネットでは当人の自己申告があるならともかく、
他人が外から判断することは容易ではないはずなんですけどね。
結局一部の人たちが自分の気に入らない行動を示すものをデモナイズしただけで、
実態があるわけではない言葉が増えていると私は感じました。
>「すでにネットが公共性を宿した言論空間じゃない」
現実逃避する人は放っておいてあげましょう。
魁!清谷防衛経済研究所 ブログ分室 http://kiyotani.at.webry.info/