2005年03月23日

ここが変だよブログ時評(1)

団藤氏が最近語るネットの現状やマスメディアとの対比にすごく違和感を感じるので
ちょっと書いてみようと思う。

まずは直近のエントリをいくつか並べてみる。
公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13]
ネット右翼的な思考回路は限界〜若隠居さんへのお答え
ブログの現状はそれほど素晴らしいか

私が違和感を憶えるのはとりあえずこの3つだ。
他の記事に対しても色々と思うことはあるが、あまり的を広げすぎても話がまとまらなくなるので
この3つについて考えたことを書いてみようと思う。 
 
 
まずはこれだ。
公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13]
ブログ時評がくすぶり始めたきっかけのエントリだ。
タイトルからしていかにもな感じだが、出だしだけはちょっといいことを書いている。
「小さな目で見る大きな世界」の「リベラルの不在、保守の不在」が「何を重視するかということで違ってくるのだろうけれども、保守の人たちはずいぶん取り上げていない問題があるよなあと感じている」と指摘する思いに近い。

若隠居氏も言及しているが、私もこの部分には同意できる。
生活に即した政策では左翼政党のほうが明らかに積極的であり、評価に値する。
右翼政党がこの点で遅れをとっているのは事実だ。

問題はこちらだろうな。
ブログの世界を中心に時事問題への議論を収集して3ヶ月余り、ネットに右翼的言辞が氾濫しているのに、個別政策的な課題では右からの発言がほとんど無い。

これは特に政治に興味を持たない人間がマスコミの煽動的な報道に煽られている結果だからではないのか?
竹島問題にせよ人権擁護法にせよ、朝日も含めて世論がそっちに流れるような報道が続いている。
だから結果としてネットにもそういう世論が流れ込む。
そして普段は特に政治を意識しない人間の行動だから、その時々の刺激に反応するだけで具体的政策論まで踏み込む者が出ない。
ただそれだけの事ではないかと思うのだが。

この視点から見れば、「ネット右翼」なる言葉に多くのブロガが懐疑的な理由も分かるのではないだろうか。
当人達の大多数は自分が右翼であるなどという意識を持っていない。
だからこそ小倉氏の呼びかけにもほとんど反応がなかったし、「自分は真ん中」という意識を持っている。
(この「真ん中」は「右翼勢力にも左翼勢力にも属していない」程度の意味だとは思うが)

私はむしろ、左翼的観点から「ネット右翼」という言葉の安易な使用を戒める声があまり出ないことに驚いている。
「ネット右翼」という言葉が使われる時、大抵は対象に対する否定的な意味合いが込められている。
そしてその言葉が向けられる先は本来の意味での右翼ではなく、状況次第でどちらにも流れる流動層だ。
本来の意味での右翼は少数しか混じっていない。
戦う必要のない人間まで悪し様に罵って敵に回してどうするのか。
敵戦力の分断と中間勢力の取り込みはどんな局面だろうと当たり前の戦術だというのに、
自ら好んで中間層まで敵に回していては世話はない。
あえて言おう、ろくに考えもせずに「ネット右翼」などという言葉を使うのは馬鹿のやることだと。


◆関連エントリ
ここが変だよブログ時評(2)
ここが変だよブログ時評(3)
posted by 黒影 at 18:50 | Comment(12) | TrackBack(11) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. TBありがとうございます。
    現状こうなっております。
  2. Posted by 猫手企画@新聞屋 at 2005年03月23日 20:57
  3. 最近ちょっと考えているのは、「その他大勢」なんです。これはある。でしょ?

    ネット右翼はないけれど、「その他大勢」はありますよ。この辺をもうちょっと考えるべきだと思う。

    ただ、まだ言葉にできないのですがね。
  4. Posted by 若隠居 at 2005年03月23日 23:11
  5. >若隠居さん
    「その他大勢」は確かにありますね。
    私はそれを仮に中間層と呼びましたが、
    左翼でも右翼でもないけれど、自身の政治主張を持たないわけではない人達は確かにいますね。
    これをどう表現するかというのは面白いテーマだと思います。
  6. Posted by 黒影 at 2005年03月23日 23:48
  7. >猫手企画@新聞屋さん
    団藤さんは今日も相変わらずですか。
    なんか理系によくいるプライド星人なんじゃないかと思えてきました。
  8. Posted by 黒影 at 2005年03月24日 00:00
  9. >なんか理系によくいるプライド星人

    あんなのと一緒にしないでほしいニダ!…ちょっと興奮してしまいましたが質問がひとつ。

    最近右翼に比べて左翼は個別政策的な発言が多いと言われてますが、それってどうでしょう?
    彼らは基本的には権力を叩ければいいわけで、その結果として議論が個別政策に言及しているだけなので、
    情報としては弾道氏が言うところのゴミの山。大事なのは発言の量じゃなくて質でしょう。

    黒影さんの言われるとおり、この話題と右翼の話題の狭さは全く関係ないですよね。例えるなら、
    「オイおやじ。このラーメン味おかしくね?」
    「何だとこのガキ!!じゃあてめえはチャーハン作れんのか?チャーハンも作れねえ奴が味に文句言ってんじゃねぇ!」
    …おかしいですよね、これって。

    まあ、右派っぽいブログにも個別政策的なことをきっちり書く人もいますし(このブログも含めて)、
    トータルで見ればどっこいどっこいかと。
    あ、右派じゃなかったらごめんなさい。
  10. Posted by はりぼで at 2005年03月24日 01:03
  11. その他大勢って、場合によってはすごく危険な存在だとつくづく感じます。その他大勢の成熟度がそのまま民度に繋がるような。
    団藤さんにしても小倉氏にしても、「その他大勢」の近年の変貌を見抜けずに「新たな勢力=ネット右翼」という図式で捉えてしまっているんじゃないっすかね。
  12. Posted by J2 at 2005年03月24日 01:13
  13. >はりぼでさん
    >「オイおやじ。このラーメン味おかしくね?」
    >「何だとこのガキ!!じゃあてめえはチャーハン作れんのか?チャーハンも作れねえ奴が味に文句言ってんじゃねぇ!」
    ぐぅ、その2でやろうとしていた内容をあっさりとまとめられてしまった_| ̄|○
    仰るとおりです。要点を突いた非常にいい例えだと思います。

    >最近右翼に比べて左翼は個別政策的な発言が多いと言われてますが、それってどうでしょう?
    これは別に最近に限らないと思いますが、支持層の違いが政策の方向性に影響しているのではないかと思います。
    左翼政党の支持基盤は都市の労働者層。
    この層の政策ニーズが福祉政策などの具体的なものとして出てくるからじゃないかと。

    ところで私は前回の衆院選で民主党に淡い期待を抱いて票を投じ、今に到るまで後悔すること頻りなんですが、こんな私は右派なんでしょうか?

    >J2さん
    確かにその他大勢の民度というのは非常に重要ですね。
    今の韓国なんかを見ているとつくづくそう思わされます。

    団藤氏にしろ小倉氏にしろ、穴のある論理で「その他大勢」を敵認定してしまったのが炎上の原因でしょう。
    初めからけんか腰では話にもならないと思います。
  14. Posted by 黒影 at 2005年03月24日 01:52
  15. もともと匿名性の高いネット内の事だけに
    「右翼」もなにも思想なんてきちんと持ちえてるのかしら、なんて思ってみたりね。

    「すでにネットが公共性を宿した言論空間じゃない」

    なんてジャーナリストに云われたことがあるわん。

    そうそう、おばかなワタクシのコメンツを暖かい目でみてくださって
    ありがとですわ。

  16. Posted by るっか at 2005年03月24日 03:26
  17. この度Seesaaに移転してきたJSFです。Seesaaに決めたのはこのサイトの影響が大きかったりします。(黒くて画面幅一杯に使えてたから)

    >敵戦力の分断と中間勢力の取り込みはどんな局面だろうと当たり前の戦術だというのに、
    >自ら好んで中間層まで敵に回していては世話はない。

    あ〜、この指摘は・・・迂闊、もっと早く気付くべきでした。反省。
  18. Posted by JSF at 2005年03月24日 19:00
  19. >JSFさん
    ようこそSeesaaへ。うちのブログの影響だなんて恐縮です。
    この指摘、小倉氏の参戦あたりからずっと温めてきたのですが今回ようやく陽の目を見ました(笑)
  20. Posted by 黒影 at 2005年03月24日 20:19
  21. >るっかさん
    >もともと匿名性の高いネット内の事だけに
    >「右翼」もなにも思想なんてきちんと持ちえてるのかしら、なんて思ってみたりね。
    思想は個々人の内に帰属するものなので確実に「在る」とは思いますが
    匿名性の高いネットでは当人の自己申告があるならともかく、
    他人が外から判断することは容易ではないはずなんですけどね。
    結局一部の人たちが自分の気に入らない行動を示すものをデモナイズしただけで、
    実態があるわけではない言葉が増えていると私は感じました。

    >「すでにネットが公共性を宿した言論空間じゃない」
    現実逃避する人は放っておいてあげましょう。
  22. Posted by 黒影 at 2005年03月24日 20:31
  23.    朝日新聞記者、 団藤保晴氏への「ネット右翼および朝日新聞の体質に関する意見と、公開質問状
    魁!清谷防衛経済研究所 ブログ分室 http://kiyotani.at.webry.info/

  24. Posted by 清谷信一 at 2005年10月06日 13:58
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

雑誌『世界』で団藤保晴氏連載開始。
Excerpt: 岩波書店の雑誌「世界」で団藤保晴氏(新聞記者/ネット・ジャーナリスト)が新連載を始める模様。 連載タイトルは「ネット言論はいま――ブログ時評on SEKAI」だそうで。 第1回は「ライブドアPJに..
Weblog: 愛と妄想の日々。
Tracked: 2005-03-23 19:11

団藤さん…それはちょっと…。
Excerpt: いくらなんでもこのエントリーは釣りだと信じたい。 公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13] ネット右翼なんてものは存在しない。 そんな当たり前のことを理解した上で「ネット..
Weblog: 愛と妄想の日々。
Tracked: 2005-03-23 19:34

アカちゃんとミギーちゃん
Excerpt:  最近、「ネット右翼」って単語をよく見かけます。  まぁ流行の言葉の意味ぐらいは知っておいたほうがいいかしら、と思い、そのネタを取り上げているブログを見たのですが、よく分かりませんでした。  よく..
Weblog: シイタケの「一人サークル仏壇王国」
Tracked: 2005-03-23 19:53

ICBM vs 猫パンチ
Excerpt: たかが猫1匹のためにICBM(大陸間弾道ミサイル)が着弾してからはや10日。世界が身近になった事を感謝すべきか、瀕死で繰り出した右アッパーの猫パンチ。そもそも大国の前ではあまりに非力かつ相手の戦力は非..
Weblog: 猫手企画@新聞屋
Tracked: 2005-03-23 20:55

ジャーナリストは教師なのか?
Excerpt: 団藤さんはなんとも愉快な人だ。 ご自分で絵を書いて、その絵に対して真剣に怒ってらっしゃる。 「もしかして、ギャグでやってるのか?」といぶかってしまうけれど、どうやら本気も本気、大真面目のようだ。 下手..
Weblog: 玄倉川の岸辺
Tracked: 2005-03-24 01:37

検索結果とネット世論
Excerpt: ・・・迂闊だった、普段から戦略的思考を心掛けようとしているのに、何故この指摘を私がもっと早く出来なかったのか。
Weblog: 週刊オブイェクト
Tracked: 2005-03-24 03:57

保守、リベラル、そして中間層
Excerpt: 目から鱗が落ち、かつ、自分でもドキッ(◎-◎;)とした意見が黒影様の 「幻影随想」でエントリーされてました。
Weblog: Absenteの酔いどれBlog
Tracked: 2005-03-25 13:06

ゲリラと正規兵:状況はどちらに味方するか
Excerpt:  「踊る新聞屋??。」さんが忙しさの合間を縫って精力的にエントリーを書いてくれています。これは踊る新聞やさんの今日のエントリー「正規兵はゲリラにはなれない」に刺激されて書いているトラックバック・エント..
Weblog: 5号館のつぶやき
Tracked: 2005-03-27 09:55

ブログの現状をマジメに考えてみた
Excerpt: ブログ時評のエントリー『ブログの現状はそれほど素晴らしいか』で団藤保晴氏の主張が...
Weblog: 音極道茶室
Tracked: 2005-03-27 10:03

ネット右翼
Excerpt: TBありがとうございます。 まだ「ブログ時評」を見始めたばかりなんですが。(*^.^*)  以前通っていた掲示板で、右的発言をする若者のことを「プチ右翼」とレッテル貼りして、ものすごく怒られていた..
Weblog: otona blog
Tracked: 2005-03-27 17:22

レッテル貼りは思考停止
Excerpt:  あちこちのブログを浮遊していたら、有名な「ブログ時評」において、ネット右翼をめぐる議論が盛り上がっていた。 「公論の場を貧しくするネット右翼の病理 [ブログ時評13]」 「ネット右翼的な思考回路..
Weblog: 札幌から  ニュースの現場で考えること
Tracked: 2005-04-08 02:18
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。