2006年08月11日

バイオニューラルデバイスは電気チーズの夢を見るか?

久しぶりにWiredNewsから。
Gooが翻訳記事掲載を今年の三月で切り上げてから
このブログで取り上げることもめっきり減ったWiredNewsですが
時々Coolな記事が載っているから目が離せないんだよなぁ。

というわけで今日のネタはバイオニューラルデバイスです。
(このネタ覚えている人いるかなぁ)
以下翻訳記事。
 
 
 
It's Alive (ish)それは生きている(らしい)
ルネ・デカルトが「我思う、ゆえに我在り」と言った時、かの有名な哲学者は、皿の中で成長し、コンピュータにつながれた切手サイズのネズミ神経細胞の塊のことなど想像だにしなかったでしょう。(写真参照

科学者は長年にわたり実験室上で育った脳細胞の発火パターンを観察することによって、脳の発達について学んできました。しかしつい最近まで、培養皿で育てられた脳細胞は情報を受けることができませんでした。実際の灰白質とは異なり、この脳細胞は信号を送ることができるだけだったのです。

そこでジョージア工科大学の科学者達は、より本物の脳に近い振る舞いを示す神経細胞塊からならばより多くのことを学ぶことが出来るだろうと考え、"neurally controlled animats" 「神経的に制御される人工生命"―電極グリッドの上に成長させた数千のラット神経細胞―を作り出し、これをロボット本体やコンピューターシミュレーションの仮想環境に接続しました。

理論的には、この人工脳はただの細胞の塊にとどまらず、臨界点を超えて自律的な脳に発展するようです。しかし、スティーヴ・ポッター(人工脳がつくられたジョージア工科大学研究室の主任で神経科学者)は、この神経細胞塊がすぐにでもフランスの哲学者の言葉を復唱するわけではないと語りました。

「我々のゴールは人のような意識を得ることではありません。我々は、学習と記憶の基本的なメカニズムを研究しています」と彼は語りました。研究者らは、個々の細胞からなるグループが刺激を受けたときにどのように相互作用し、変化するかに注目しています。

ポッターと共に人工脳の研究を行っているカリフォルニア工科大学の神経科学者ダニエル・ワーヘナールによると、この研究の目標は意思を持つ何かを作り出すことではなく、人間の初期の脳発達について学ぶことだといいます。

「人が生まれるとき、我々はまだ自分のふるまいの大部分を制御することができません」とワーヘナールは言います。「脳のシステムは何とかして体を制御することを学ばなければなりません。その機能の一部は、環境との相互作用から来ます。我々はこの非常に単純なレベルの小さな神経系から、脳が学習を起こす方法の何らかの洞察が得られることを期待しています」

生きた人間の脳細胞のリアルタイムの活動を観察することが出来るモデルは他に存在しないため、科学者達はこれらのモデルに期待しています。

ポッターのチームは、神経発火パターンを行動と結びつけるようにプログラムしたロボットを用意しました。ある神経発火のパターンは、人工脳を表すマウスアイコンを上に動かすようコンピューターに信号を送ります。「マウス」が仮想上の壁にぶつかったときは、コンピュータは信号を人工脳に送り返し、それ以上進むことができないと伝えます。

ワーヘナールは言います「研究者は培養皿内の培養組織と外部の物理環境間の相互作用システムを得ました。これは、実際の生物で起こる現象の非常に単純なモデルです。」

人工脳の最初の世代は、単純な仕事を果たしまバーチャルマウスは、1つの方向(右)に動く傾向がありました。培養皿の脳に制御されたロボットは、なんとか動き回る目標物から離れていることができました。おそらく重要そうな動きですが、特に複雑ではありませんでした。一組のペンを保持していて、ペンのセットを持たされ、人工脳に接続されたロボットアームは―見る人によってはですが―芸術的な作品をこしらえました。
した。
研究者は研究室で育てられたニューロン培養組織が、異様に同期する培養皿全体に広がる波、アルツハイマー病に良く見られる神経パターンの無意味な繰り返しを発火する傾向があることに気づきました。

「これが発育不全の状態である可能性があり得ます」と、ポッターは言いました。「または、目覚ましにつかわれる部分が失われているためにネットワークが眠っている状態にある可能性もあります。ネットワークがある種のてんかん状態にあることもまたあり得ます。」

繰り返される発火は人工脳の記憶を消し去ったかもしれません、とポッターは続けます。彼のグループはその後電気刺激(人工脳のストレスを軽減するマッサージとして機能する)によって発火の爆発を減らす方法を学びました。

ポッターはフランケンシュタイン博士とのどんな比較も即座に否定しますが、彼は自分の神経細胞塊にある程度の認識能力があると認めています。

「我々の洗練されたネットワークが強く相互接続するため、彼らは自身に起こっていることに対する若干の感覚があります」と、ポッターは言います。「我々は人工脳の活動を人工脳にフィードバックすることで、人工脳の『自我』を強化することもできます」

次の段階の人工脳には、おそらくより鋭い個性の自覚さえあります。

「次の段階では、我々は連鎖的な振る舞いを期待しています。1つのふるまいから生じる感覚の入力は、次の適切なふるまいを誘発します」と、ポッターは語りました。別の言葉を使うならば、彼は人工脳が学習することを望んでいます。

そして、もし意識が複雑さによってもたらされる機能であるならば、培養皿の脳を全て一緒に接続したら何が起こるでしょうか?目下のところ、この挑戦への最大の障害は一つのデバイスあたりにかかる60,000ドルの値段だとポッターは語っています。

ポッターは言います。「金銭的な問題が現在の制約です。もし我々に金持ちの後援者がいるならば、私は喜んでより多くの装備を整え、『社会的ネットワーク』の実験を行うでしょう」

ポッターは彼の研究が最終的により良い人工神経学に至ることを望んでおり、さらに神経病理学や果ては人工知能のよりよい理解につながる事を望んでいます。また、意識の問題に関しては彼はこう言っています。
「私は、この研究がそこまで解決できるとは考えていません。ですが私は自分の考えが間違っていると証明されて欲しいです」


サイバネティクスやバイオデバイス技術の発達は生命と機械の境界をどんどんあいまいにしていく。私はSFっ子なのでこういう話にも別段拒絶感はないのだが、思想信条によっては恐怖したり反発したりする人も少なくないであろう類のニュースだ。
このデバイスに使われているラット神経細胞は果たして電気チーズの夢を見るのだろうか?


それにしても、小さい頃にSFとして読んだ類の話がもうすぐ手に届きそうなところまで来ているというのは感無量。
いずれはバイオニューラルデバイスが産業利用されたりする日が来たりするのだろうか?
まあでもヒト脳使用のB型デバイスは勘弁な。
ああ、無性にFRONTMISSION1stを引っ張り出したくなってきた。
あれくらい深みのあるシナリオのゲーム最近見ないよなあ。


posted by 黒影 at 02:37 | Comment(8) | TrackBack(0) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. はじめまして。拝読しながら私もFRONTMISSION1stを思い出しました。あれは良いゲームでしたね。
  2. Posted by g-hop at 2006年08月11日 09:34
  3. Dream of electric cheese

    That's a funny-once, Man.
  4. Posted by tygrysojciec at 2006年08月11日 10:59
  5. この手の話題でFRONT MISSIONが挙げられていることに長年のファンとしてちょっと感激しました.

    SFC版第1作からやってる身としては
    バイオニューラルデバイスじゃなくてブレインデバイスの方が響くものがあります.
  6. Posted by McCoy at 2006年08月11日 11:58
  7. こんにちわ。
    ちょっと話題がずれますが
    FARK.com: (2218151) The coolest picture of wake turbulance you will see today
    http://forums.fark.com/cgi/fark/comments.pl?IDLink=2218151
    こんな画像ネタですぐにあのお方の画像が出てくるんだから、信徒は増大の一途をたどっているに違いないです
  8. Posted by 鳥籠 at 2006年08月11日 16:30
  9. >g-hopさん
    FrontMissionは小坊の頃に散々やり込みました。
    あれはSFC終盤の最高傑作の一つだと思ってます。

    >tygrysojciec
    if it's funny once it's funny every time. :-)

    >McCoyさん
    私もSFCの頃からやっていますが、個人的にこっちの言葉の方が好きなのです。>バイオニューラルデバイス
    あのシナリオは小学生には衝撃的でした。

    >鳥籠さん
    ちとエントリ違いではありますが、
    FSM教団のますますの発展を祈って、ラーメン。
  10. Posted by 黒影 at 2006年08月12日 17:47
  11. 時折拝読させていただいてます。
    内容あり文才ありで勉強になります。
    攻殻機動隊一巻の最初をイメージしつつ
    FRONTMISSION1stに落としていくとは…
    リアルな世界でサカタインダストリーのような暴走は有り得ないでしょうが
    その修羅場に立会ってみたくなる
    そんなゲームでした。
    あぁそんなデバイスが研究されてるなんて…
    久しぶりに1st起動させようかな。
  12. Posted by うつるき at 2006年09月08日 07:08
  13. 一風かわった脳内構造のホームページがあるのですが、よろしければ、ご批評願えないでしょうか?
  14. Posted by ノース at 2007年07月02日 14:10
  15. >ノースさん
    特に興味を引かれるような情報がありませんでした。
    失礼ながら「中身が薄っぺらいな」という印象です。
  16. Posted by 黒影 at 2007年07月03日 21:37
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