2006年07月21日

記者が自分の記事を批判されるとどういう風に反応するかの一例

先日の記事のコメント欄で少し触れましたが、
毎日新聞の生活家庭部の記者で、小島氏という人がいます。
その人がちょっと面白いことを言っているので紹介してみましょう。
別に記者に限らず、正義だとか使命だとか真理だとかに酔いやすい性質の人が陥りがちな、「独善の陥穽」のよいサンプルです。

ちなみにこのブログのメインコンテンツの一つである「トンデモ」系の人材にも良く当てはまります。

 
 
さて、この講演で小島氏は「リスクを強調し読者の不安を煽る」ことに傾斜しがちなメディアの問題点を取り上げ、そこから自分の体験談に話を繋げます。
報道の実態(内幕)と対応方法 小島正美記者講演より(その1)
■記者の使命
 私もリスクの大きさよりも、問題の否定的な側面、つまり問題点を指摘するのが記者の使命だと思っていました。ですから、たとえ小さなリスクでも、問題点をどんどん書いてきました。
 たとえば、次の私の記事の例はその問題点にあたります。「組み換え大豆に未知の遺伝子配列」(2001年9月の夕刊の一面に書いた記事)。これは、いまの遺伝子組み換え技術では目的の遺伝子を正確な位置に組み込むことができないという問題点を指摘したものです。
 銃で打ち込んでも、目的の遺伝子が切れて、変なところに入ってしまうという問題点もあります。
 要するに「技術としては不完全」なので、人体に影響はないにしても、やはり問題だというふうに当時は考えていたわけです。そういう視点で組み換え作物の問題点を2〜3年くらいにわたってずっと書いていたのです。この私の記事に対して、日本のバイオ企業や外資系の企業で組織した遺伝子組み換え検証委員会がネットで盛んに批判していました。ネットでは「こういう記事を書いて、恥ずかしくないですか」とか「もっと勉強してくださいよ」とか「市民団体の機関誌にしてはだめよね」みたいな非難、中傷がよく出ていました。
 この非難には私はあまり動じませんでした。むしろ「小島さんは英雄ですね」と市民団体から言われたくらいで、むしろ名誉くらいに思っていました。
 企業の人に言いたいのですが、記者の記事を非難しても効果はありません。逆に相手を怒らせ、ますます険悪な関係になっていくだけです。ネットでしかも匿名で責めてもだめです。特に匿名による中傷は最悪でしょう。なぜなら、逆にもっと問題点を書いて困らせようかなと思っただけですからね。
 ところが、いまは私はこの遺伝子組み換え検証委員会(おそらく!)の人たちに招かれて、よく話をするようになりました。いまは険悪な関係ではありません。


これを読んで、何だかどこかで見たような構図だと思いませんか?
特にこの部分。

この私の記事に対して、日本のバイオ企業や外資系の企業で組織した遺伝子組み換え検証委員会がネットで盛んに批判していました。ネットでは「こういう記事を書いて、恥ずかしくないですか」とか「もっと勉強してくださいよ」とか「市民団体の機関誌にしてはだめよね」みたいな非難、中傷がよく出ていました。

先日のイリーナ博士の講演に対する批判を、運動の側から見たら多分こんな感じに見えるのでしょう。
「批判は中傷」という捉え方をするのは、この手の運動のお決まりのパターンです。
排他的な内向きの論理で行動しているので、外からの批判に聞く耳を持てないんですね。
それどころかむしろ批判は勲章に思えたりするようです。
ちょうどこんなふうに。

 この非難には私はあまり動じませんでした。むしろ「小島さんは英雄ですね」と市民団体から言われたくらいで、むしろ名誉くらいに思っていました。
 企業の人に言いたいのですが、記者の記事を非難しても効果はありません。逆に相手を怒らせ、ますます険悪な関係になっていくだけです。ネットでしかも匿名で責めてもだめです。特に匿名による中傷は最悪でしょう。なぜなら、逆にもっと問題点を書いて困らせようかなと思っただけですからね。

小島さんは一応「独善の陥穽」からは抜け出せた人ですが、まだ少し後遺症を引きずっているようです。
「匿名による中傷」に「もっと困らせてやろう」とは(笑)
何だかものすごいデジャ・ビュを感じます。
似たような名前で同じようなルサンチマンの行動パターンを示す人が、確か近くのブロガーにいたような…
誰だっけ?(棒読み)


まあそれは話が逸れるので置いておいて…
さらにもう一つ、どうやら未だに小島さんが気づいていないらしいことを書いておくことにします。

こうした批判記事が書かれる目的は、何もトンデモ記事に対する批判だけではありません。無論それも目的の一つには違いないのですが、こうした批判記事が書かれる最大の狙いとは、まだそのトンデモに絡め取られていない人に対する情報提供と警告です。
(「批判」を「公開する」理由を考えれば自明の事だと思うのですが、批判の矢面になる側は案外気づかないようです)


だからトンデモ記事を書いた人間が反発しようが恨もうが、批判側にとってははっきり言ってどうでも良かったりします。そんなことよりもトンデモ言説に対するカウンターを広げることのほうが大事ですから。
更には、私のように「トンデモ言説を楽しみ」つつ、「それを批判し」、さらに「トンデモに対する警告も発し」ようという、一粒で三度味わいたい欲張りな人間になると、「もっと問題点を書いて困らせようかな」というのは単なるボーナスステージに過ぎません。むしろ願ったりかなったりだったりします。
(過去に突撃してきて下さった方々には本当にご馳走様でした。)

今回もどこかがもう一度くらい大きく取り上げてくれないかと期待していたんですが(笑)


とまあそんな感じで、あまりに美味しそうなところがあったのでついついつまみ食いしてしまいましたが、一旦はあちら側に行って戻ってきた人の講演だけになかなか面白いです。
是非一度読んでみてはいかがでしょうか?


この記事へのコメント
  1. ぶっちゃけ俺が間違ったこと言った時に、
    ネット特有の書き方で間違いを指摘されたら死にたくなるね。
    死にたいと思わないタイプなら猛然と反発するでしょうね。
    そこから指摘してくる相手の言うことを受け入れないことが目的化してしまうのもあっという間だと思う。
  2. Posted by at 2006年07月21日 02:22
  3. 小島正美記者って男だったのか。女だとばかり思ってた。
  4. Posted by at 2006年07月21日 21:49
  5. 小島さんは反GMOの記事をたくさん書いて色々な意味で話題作りをした方ですね。ま、それはそれとして、学者と言いますか物事をきちんと把握しようという立場の方々は私もそうありたいものですが、事の真実を正確に把握する努力を常に行うということですね。あたりまえすぎて面白くもなんともなくてすみません。

    これは一歩深めると、自分自身が信じていたことをも疑ってみるということや、場合によっては自分をも否定しなければならないことすらあるというコワーイ可能性すら内包している立場なんですね。それだけ真実というのは強いものだと思います。

    ちなみに、小島記者はイリーナ実験のいい加減さというものについては気がついておられるってことですか?反GMOな方々どうしではどういう議論をやっているのかどうかわかりませんが、GMOなどにこだわらない研究者っていう人々は研究室によってその厳しさは千差万別ではありますが、原則としてかなり厳しい議論をやっていて、お前の実験はコントロールがめちゃくちゃジャー!顔を洗って実験やり直して来いなんてことは日常茶飯事なんで、基本的にイリーナ実験のようないいかげんなものが世に出てくることは無いのが原則なんですね。

    逆に言えばイリーナ先生、共同研究者はおられないんだろうなという気がします。かわいそうでもありますが、餌には注意しなければなりませんと忠告する方も居ないということでしょうね。ということは、どういう設備でネズミを飼ったのかもかなり怪しげだということになりますし、となると変な微生物で汚染したマウスつかってんじゃなかろうかということも疑問になります。ともかく近年実験材料の精度を如何にあげるかということが正確な実験をするには不可欠だという考えがかなり普及しておりますから・・。

    しかし、昨今色々な実験データの捏造が新聞をにぎわせてますが、イリーナ実験などはコントロールがむちゃくちゃな悪意の実験であるとすら言えるわけです。こういうものを放置して、韓国の黄教授ばかり責めるんじゃあまりにもマスコミはセンスが悪すぎます。

    実験データの偽造は対照実験(コントロール)の歪曲でもかなりかことが可能なのですよね。イリーナ実験のように白を黒と言いくるめることすら可能なんですから。

    『GMO大豆を食べたマウスが大量死したとの実験結果は対照実験の人為的操作による捏造か』

    ロシアの著名研究者によるデータの捏造が発覚したようだ・・・・。

    ということですよね。

    ちなみに、反GMOな方々の間ではディフェンシン組み込み稲が結構な話題になってますが、これについての見解もいただけると面白いですね。どのようにおっしゃるか興味津々です。
  6. Posted by 初老学者 at 2006年07月22日 18:54
  7. 面白く読ませていただきました。
    GMOに関しては、確かに組み換え自体は組み換え後のチェックもしっかりされて正しく機能することは周知されつつ(?)あると思います。ですが、GMOも他の技術と同じで正しく利用されてこそ恩恵をもたらすもので、悪意のある利用の仕方をすることは想定されていないと思います。
    北のように、組織的に意図を持った集団が悪意のあるGMOを広めてしまえば対処のしようがないのではないでしょうか。特に、ここ数年でも産地偽装の例などがありますし…。

    小さなリスク、と思われるかもしれませんが、小さなリスクでも考慮するに越したことはないのではないかと思います。国がGMOは安全だ、と言えば言うほど、食物を輸入に頼るこの国の危険度は増える気がします。ちょっと主題から外れましたが。
  8. Posted by ただ at 2006年07月22日 21:41
  9. たださん。確かに悪意のGMOなどを広められてしまったらエライことになりますかね。でも、悪意でやられたら何をやってもどうにもならないですよ。それを心配してたら何もできないんじゃないでしょうか。産地偽装の問題は良心的だったはずの生協でも起こったことに興味を持ちます。所詮人間なんてみな同じよ・・・と。問題は『貴方が悪意で悪さをするかと心配する』んじゃなくて、『私が悪意の偽装をしないこと』に誇りを持つことなんじゃないかと思います。

    国はGMOが安全だと言うのではなくて、嘘の無いデータを示す=情報を提供することに徹するべきなのです。国には情報が集まっているからです。とすると、国に所属する研究機関の職員がどれほど嘘の無いデータを真面目に提供しているかということが問題になるのではないでしょうか。

  10. Posted by 初老学者 at 2006年07月22日 21:59
  11. 報道の実態(内幕)と対応方法 小島正美記者講演より(その1) 拝見致しました。

    いわゆるジャーナリストの本質がよくでていますね。

    「ジャーナリストの使命は」などと仰々しく述べておられますが、結局のところ、彼らのモチベーションの大きな部分が、「なぜなら、逆にもっと問題点を書いて困らせようかなと思っただけですからね。」という極めて個人的な感情であることをあからさまに告白しているのですから。

    「へへ、ワシ新聞記者じゃもんね。ワシを怒らせんほうがよかよ。ワシの気分害したら、新聞紙上で”正義の鉄拳”くだしちゃるもんね」てなもんでしょうか。

    二重に問題なのは、この記者さんがそれをこんなタイトルで公にしていることです。記者も人間ですから、自分の記事に非難じみたことを書かれればいい気分がしないのは当然です。でもね、こんな書き方したら毎日新聞の記事は、記者の個人的趣味を優先するのが当たり前ということを認めることになるでしょうに。

    「ジャーナリズムの正義」なんてそんな程度の軽薄なものということを自ら認めていることに気がつかないのでしょうか。



  12. Posted by 荒鬼三太 at 2006年07月24日 00:17
  13. これと似たような話ですが……

    某国の遺跡修復のODAに数年間参加しておりましたが、
    取材に来る新聞記者も、どの社も例外なく、
    「オレ樣を気持ち良く接待しろ!でないと税金の無駄遣いだと叩くぞ!」
    という感じでした。

    #場所が場所(東南アジア)でしたらから、接待といえばそれは下半s(ry

    というわけで、どこかのODAが新聞で叩かれてると、その度に「接待に失敗したんだなぁ」と思う次第です。
  14. Posted by 無休建築士 at 2006年08月01日 21:52
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Weblog: クダラナイヒビノザレゴト
Tracked: 2006-07-25 06:57
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