>シモンチニーがんセンター
ざっと調べてみたところ、国内のWeb記事で対抗言論が引っかかるのはNATROMさんのところくらい。
癌は真菌であり、重炭酸ナトリウムで治療可能だったんだよ! - NATROMの日記
現状では批判がほとんど存在していないようなので、ちょっと資料をまとめておくことにする。
まずはこれを
Sodium Bicarbonate Therapy according to Tullio Simoncini - EsoWatch
トゥリオ・シモンチーニによって提唱された重炭酸ナトリウム療法(内部ではBICAとも呼ばれている)は、がん患者を治療すると主張している最も効果が無く不合理な方法の1つであり、ニセ医療的なガン療法である。この治療法は患者の役に立たないと同時に、同非常に高価である。
彼の「重炭酸ナトリウム療法」を適用した後にいくつかの死事例が起こったため、発明者のイタリアの元医者トゥリオ・シモンチーニは有罪判決を下され、そして医師免許を剥奪された。
ガンは菌類によって引き起こされる(真菌症としてのガン)という彼の主張は、現代医療の知見と整合性を持たない。この仮説は科学的な証拠が欠如しており、そして、この治療に少しでも正の効果を示すことができる科学的研究も現存しない。
彼の意見は、バイエルンの医者アルファンス・ウェーバー(ガンが寄生虫から始まることを確信しており、そのために、自分のがん患者を無駄に反マラリア薬で治療しようとした)の意見と比較されるだろう。彼もまた、19/20世紀の歴史的な多形性概念を信じていた。
トゥリオ・シモンチーニの主張の間違いを指摘するというのは、医学生にでもやらせてみれば良いトレーニングになるだろう。
彼の主張はこうである。
シモンチニーがんセンター | がんの原因は真菌である。
彼は、『人体が、がんに罹患するシステムは、患者の身体にカンジタなどの真菌類が感染した時、もしくは、感染後、人の免疫能力が、なんらかの原因により低下した為に真菌が動き出したとき、患者の免疫防御シテムが作動し、真菌に感染した細胞を腫瘍細胞にさせ、他への感染を防ぐのである。その為、真菌に感染し変異したがん細胞を重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する事により、がん化した細胞は正常細胞に戻らせる事が可能になる。』と言っています。
彼によれば、「あらゆるがんは真菌が原因」だそうだ。大笑いである。
がんは体細胞に生じた遺伝子の損傷によって発生する。
真菌感染による炎症の結果として遺伝子損傷が累積しがんを生じるというのはありえないことではないが、遺伝子の損傷は不可逆的なものなので、仮に細胞のがん化が起こってから真菌感染を治療したところで既に手遅れである。
がん化した細胞の遺伝子を正常な状態に治療するというのは遺伝子治療方面で現在さまざまな研究者が研究しているが、少なくとも重炭酸ナトリウムにそんな効用は無い。
100年前ならいざ知らず、現在では、
どの遺伝子が壊れたら細胞ががん化しやすいか、どの部位のがんならどの遺伝子の損傷が多いかといった知見の蓄積も進んでいる。
特定の遺伝子を壊すことで故意に細胞をがん化させることはもちろん、さまざまながんのモデル細胞の樹立も行われている。
がん細胞をモデル生物の体に移植して、体内でどのようにがんの増殖や転移が進むかをリアルタイムに観察することすらできる。
がん遺伝子 - Wikipedia
がん細胞の“振る舞い”が見えるメダカ―がん研究の新しい実験モデルの開発に成功― :プレス発表:お知らせ:独立行政法人 放射線医学総合研究所
はっきり言って、いまどきこんな主張を行う医者がいたら、正気を疑っていいレベルである。
こんな時代遅れのトンデモ理論を考案しているようでは、
あまつさえそれで何人もの患者を死なせるにいたっては、
そりゃ医師免許も剥奪されるというものである。
この程度のトンデモに引っかかるダメ学生がいたら、罰として一年くらいひたすらHeLa細胞の継代培養とヌードマウスへの移植・観察を繰り返しやらせることを提案するね。
既に医者ならQuackeryタグつけて間違ってもかからないようにするが。
HeLa細胞 - Wikipedia
彼の信者の中には陰謀論に走り、
ガンは真菌であり、治療可能だ - David Icke in Japan
当局は彼の文書を無視しただけでなく、彼は承認されていない治療法を処方したために、イタリア医療組合(Italian Medical Order)から除名された。そう、私は確かにこう言った。承認されていない治療法を処方したため、と。
彼は、情緒的なマスコミによる猛烈な嘲笑と非難のキャンペーンにさらされた。そのうえ、彼が治療にあたっていた患者を「不法死亡」させたとして三年間投獄された。あらゆる方向から、「シモンチーニを捕まえろ。」という声が聞こえてきた。
みたいなことを口にする人間もいるようだが、それは違う。
彼がまともに相手にされないのは、彼の理論があまりにも馬鹿馬鹿しすぎる一方で、彼が自説を証明するような根拠をまるで示すことができていないせいだ。
(ビデオ?HPの記述?そんなものは何の証拠にもなりはしない。彼は自分の治療法について一切の論文を提出していない。世の中にはどんな論文でも無審査で投稿できるジャーナルがいくらでもあるにもかかわらず)
そして彼が医師免許を剥奪されたのは、家族を殺された患者の遺族によって彼が訴えられ、詐欺罪と過失致死罪で有罪判決を受けたからだ。
(この事件でイタリアの政府機関は、むしろ死者が複数人に上るまで何もしていなかったことを責められる立場だった。)
物事の因果を逆転させて陰謀論を主張するのはこの手の人たちには珍しくないけれど、医学や生物学に対して理解の欠片もないのがダメ過ぎる。
◆Tullio Simontineの足跡
日本語圏には彼の経歴についてまとまった情報が無いので、簡単にまとめておく。
Il cancro è un fungo - Wikipedia
1999年以降、イタリアの元腫瘍医トゥリオ・シモンチーニは、様々な医学会、代替医療学会で自分の仮説を提示するようになったが、彼の提案は決して科学的な実験に基づくものではなかった。実験データの欠如および、彼の理論の信憑性に欠ける根拠のため、イタリアNIHも彼このプロトコルを認めなかった。
トンデモ方面の人にありがちな傾向だが、今に至るまで一本の論文も出ていない現実が示すように、彼は科学におけるデータの重要性を理解していないもしくは軽視しているようだ。
しかしルール破りのスタンドプレーが許されるのは、結果が成功に終わったときだけだ。
何人もの患者を死に追いやったことで、彼はイタリアの医学会を追われることになる。
それにもかかわらず、シモンチーニは同様に医師である弟と一緒に、何人かの彼の患者を対象にその根拠の無い治療プロトコルを実施した。(2003年のイタリアの法律では、人間の患者の治療のために科学的根拠の無い治療を行い患者から金銭的報酬を受け取るこのような”人体実験”は懲戒手続きの対象となる。)[1]
裁判所は、炭酸水素ナトリウムががんを治す化膿性があるという主張により虚偽の希望を生み出したこと、直接殺害したわけではないことを考慮して、不必要な治療を受けたために悪化死亡したと考えられる4人のがん患者のうち、2件を詐欺認定してシモンチーニに有罪を宣告し、他2件で無罪を宣告した。[2]
シモンチーニのサイトの動画を見れば分かるが、彼の「大腸癌治療」は大腸内に内視鏡付のチューブを突っ込んで、直接患部に炭酸水素ナトリウムを吹き付けるというものだ。
そしてこの件で死亡した患者は、いずれも腸の裂傷や穿孔を負って死亡している。
これは当たり前だが医療事故であり、彼の「治療法」が安全上の欠陥を抱えている事を示すものである。
シモンチーニはその後過失致死罪でも有罪判決を受け、イタリア国内におけるこの治療法の実施は禁じられた。
まとめると、彼が医師免許を剥奪されたのは、
・法で定められた手続きに沿ったデータ収集や安全性の確認を怠ったまま、
・認可も行われず効果も確認されていない「欠陥品」の治療法で、
・患者に"人体実験"を行い、死亡事故を起こしたこと
を理由とするものである。
イタリアを追われたシモンチーニが次に本拠としたのはオランダである。
もちろんオランダでもすぐに死亡事故を起こして早々に追い出されることになったが。
こちらは上の腸裂傷とは異なり、炭酸水素ナトリウム水溶液の大量点滴による代謝異常から心停止に陥った事例である。
重曹の大量投与は危険な場合もあるのに、まんまとやらかしたらしい。
Familie overleden patiënte wil vervolging kliniek Berg en Bosch | Netwerk
Kankerbehandeling Bilthoven moet stoppen, zegt Inspectie - Binnenland - de Volkskrant
犠牲者の名前はSylvia Trachsler。58歳の女性で乳がんを患っていた。
治療が行われたのはビルトーヴェンの"Kliniek voor Preventieve Geneeskunde Berg en Bosch (KPG) "という代替医療クリニック。
2007年10月、彼女は毎日4.2%炭酸水素ナトリウム水溶液500mlを3セット、6日間連続で点滴された後に心停止で異常死した。
重曹はいかに日用品といえど、医薬品として使用するときには結構な数の禁忌が存在する。
そしてこれは健康な人間でも高ナトリウム血症なりアルカローシスなりを起こしてもおかしくない量だ。
治療を行った代替医療クリニックの人間がその辺のことをちゃんと分かっていたのかどうか気になるな。
炭酸水素ナトリウム.OI 医薬品情報・検索 イーファーマ
あちらのQuackウォッチャーの活躍によってイタリアでシモンチーニがやらかしたことの情報がある程度流通していたことに加え、この一件が結局オランダにおけるシモンチーニの活動への止めとなった。
めでたくオランダでもシモンチーニの治療法は禁止となり、彼はまた新たな拠点を必要とする事になった訳だ。
シモンチーニは「Controversialな(議論の余地がある)代替医療」とかそういう話以前の問題の、もっと低次元な部分で何度も事故を起こしてるんだよな。
ついでに、シモンチーニは最近デーヴィッド・アイクに宣伝記事を書かせている点といい、どうも陰謀論者たちを標的として狙いだしているふしがある。
2009年には、とある陰謀論者のサイトで宣伝動画を流し、その動画で元患者の女性に「通常医療はダメ、炭酸水素ナトリウムで治る」と語らせていたりする。
もっとも速攻でイタリアのQuackウォッチャーに検証されて、実はただのやらせCMでその患者は通常医療を受けていたことを暴露されたりと脇が甘いところもあるが。
Simoncini: Lorna NON è guarita con il bicarbonato
◆日本での活動
シモンチーニは2009年後半から、日本に拠点を構えるべく活動を開始している。
活動の拠点は先にも取り上げたシモンチニーがんセンターだが、住所がホテルということを鑑みると、まだ本格的な活動拠点を構えるには至っていないようだ。
彼は医師免許を既に剥奪されているため、自分で医療行為を行うことができない(それをやったら医師法違反で即逮捕)。
ゆえに彼が日本で活動を行うためには、自分に代わって診療を行う日本人の医師を必要とする。
そこで現在、彼は医師向けにシモンチーニ・プロトコール研修コースなるものを開催して医師集めに取り組んでいるようだ。
彼が日本で実際に「治療行為」を始めるかどうかは、これに引っかかる医者がどれだけいるかにかかっている。
◆シモンチーニと彼の信者がやるべきこと
たぶんこの記事はGoogle検索で上位に位置することになり、彼の信者も大勢やってくることになるだろうからもう少し書いておく。
シモンチーニの「がんの原因は真菌」という主張はアホらし過ぎて頭痛を覚えるくらいにナンセンスだが、
それとはまったく無関係に、シモンチーニ・プロトコルの中で「がんの患部に直接薬液を吹き付ける」という方法論だけは、何らかの有効性を見出し得る可能性は残っている。
彼と彼の信者がとるべき行動は、
1.さっさと「がんと真菌」の妄想を捨てること
2.シモンチーニ・プロトコルのきちんとした臨床試験を行って、本当に有効なのか、有効だとしたらどのようながんに効果があるのか、どんな薬剤を使用すれば効果があるのかについて、きちんと比較検討したデータを論文に出すこと。
(もし有効なら、炭酸水素ナトリウムみたいな中途半端な消毒剤よりもきちんとした薬剤を使用したほうが効果は上がるだろう)
3.いくつも死亡事例が起きている事実が示すように安全性に問題があるので、徹底的な安全性の見直しを行うこと
最低限これだけ行ってはじめて、その有効性を議論の俎上に載せる資格が生まれる。
逆に言えば現状では「なんちゃって医療」に過ぎないわけで、
仮にシモンチーニプロトコルに何かがあるとしても、彼らが正規の手続きを踏まない限り、有象無象の似非療法の一つとして彼の妄想ごと葬られることになるだろう。
なお、私は患部に直接吹き付ける方はともかく、点滴の方は有害無益だと思っている。
pH云々の戯言も、がん細胞のpHが低いのは、エネルギー消費が高くより多くの酸素を消費するせいであったり、腫瘍内部が低酸素状態になりpHが下がるためであって、pHが正常域や多少アルカリ寄りになったところで別にがん細胞だけ死ぬわけではない。
人が健康を保てる血液内至適pHは非常に狭い領域なので、下手にそれをいじろうとしたらオランダの件のように死人が出る。
サイト上で有効性を示す証拠と称して出してくるものも、大腸がんのビデオばかりだしね。
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
それそうと、僕の足は真菌に感染しています。先日症状に気づきました。
このままではガンで死んでしまうのですね。怖いですw
スリッパや足ふきマットの管理を徹底しないと家族にもガンを広めてしまうんですね。
シモンチーニのサイトの日本語ページはまともに更新されていないのか、
彼が日本を避難所とすることが出来るかどうかを左右するであろう講演会の情報もブレているようですね。
協力してくれる医師の前に、機械翻訳をちゃんと修正してくれるバイトを探すべきなのかも。
重炭酸ナトリウム療法は、そこらかしこで、これ以上は無いと言っていいほど明瞭に否定されていますが。
どこの誰が広告活動に貢献していると感じられたのですか?
ヒトでの研究は、ここでは、できませんが、どなたか、研究してみませんか?シモンチーニが既に発表していますが、論文は提出されていませんから、もし、癌が本当に治れば、ノーベル賞どころではないですよ。やってみる価値は有るのではないでしょうか?
今迄の抗癌剤の数%という僅かな効果は、同時に使用する重炭酸ナトリウムの効果のみだったのではないかとも言われているようですよ。
又、真菌に感染したマウスの遺伝子が子孫に受け継がれる時に、免疫組織が抵抗するために、次第に、遺伝子発現が制御されることにより、いわゆる、エピジェネティクス変化を起こすことは、1983年に元WHOの所長だった方が論文を出されていますし、マウスレベルでは、僕自身もそして多くの研究者が確認しています。
重炭酸ナトリウムの化合物で研究開発を始めた医薬品会社もあると聞いています。
いちがいに、シモンチーニさんの療法を否定するのではなく、多くの方が、研究してみたらよいのではないでしょうか?
ヒトでの研究を、やってみるべき価値はあると思いますが、、、、、。
このWHOの所長だった方は、癌の原因は真菌だったという論文を書かれています。まさか、WHOが、嘘の論文を書くとは思えませんが?論文に詳しい方でしたら、すぐに調べられると思いますよ。ご参考まで。
権威付けのための用語のみが先行しているように感じられます.もし本気で実験・周知の価値があると思われるのであれば,ぜひとも典拠を明確にされることをお勧めします.ここに追加情報がなければ,単なるガセネタであると判断されても仕方ないでしょう.
効果があって困るのは癌医療業界・保険業界だからな!
ガンが治療可能になったら製薬会社も世界の人口を減らしている奴らも困りますもんね!
あんたら医者は人を殺して楽しいか?
上の二人みたいに、医学が発展すると困る連中はよく見られるが、彼らの目的は増えすぎた人類を減らすことだろうか?
気の毒なことに、世界の人口も先進国の平均寿命も右肩上がりだが。
でもどこかのジイサン歯医者が、カンジダ菌が原因だと言い出し、今では当たり前になっています。
この治療を受けられる歯科はたくさんあります。
でも昔はトンデモナイ論理で、頭のおかしい歯科医だったわけです。
当時では
"「歯周病の原因は真菌」という主張はアホらし過ぎて頭痛を覚えるくらいにナンセンス"だったことでしょう。
未だにこのじいいさんは歯科医師会から邪道扱いされていますが、実際私は10年近く出血し、抜くしかないと言われた歯槽膿漏が、一発でなおりました。
なので、ガン=菌?天地がひっくり返ってもそんなことはないと言い、ここまで徹底的にバカにするのはどうなのかと。
勝手にねじまげた記事書くなよ。
それでな、このクソサイトは少しはきちんとソース見ろよ。大腸ガン以外にも気管支に発生した
ガンらしきものに直接、治療してる動画もあるだろ。
ただそらはこっちに判断する材料も知識もないというだけのことだ。
(大多数の人間がそうだろう)
ただ一つだけ言えるのは、
自慢げにヒステリックな嘲笑、非難を浴びせてくるような
高名な著名人、その尻馬にのっかる輩、あるいは人を侮辱したいだけの連中は間違いなくろくでもない人間だという事だけだ。
言い返すコメントがテンプレかという程人格攻撃や罵りばかりで、どこの業者か狂信者か知りませんけど、芸がなさすぎです。
しかし、点滴でpH4やpH5の
輸液が使われている事をご存知か?
調べると良いですね。
頬の内側に異常を感じて 口腔外科を受診した。
診断は黴が生えてます。薬はイトコナゾール
胃腸外科のナースは うがいした後で飲み込んでも良いと言いましたが、調べたらうがいして吐き出せと書いてありました。口腔外科の医者はカンジタ゛とは言いませんでしたが、私はカンジダだと認識していました。大勢接触するナースの誰かの膣カンジダが感染したと思っていたら、口中常在菌が 免疫の落ちた時や 抗生物質投与の時などに発症すると判り、ナースの膣カンジダの疑いは解けた。その中でのイタリヤの医師シモンチーニの重曹で癌が治る話でした。内視鏡での 重曹吹き付けなら 急にそれで患者が死ぬことは無いので、術前検査で試して見るのも 良いのではありませんか。今は爪の中の水虫なのかカンジダなのか、足の爪の異常に悩んでいるので はじめ醸造酢を試み夕べから カンジダで貰ったうがい薬の残りを付けはじめました。なんだか良くなった感じがします。手の届く大腸癌が重曹で治れば
こんなに 人助けな事はありません。