2006年03月26日

サイエンス・パートナーシップ・プログラム(SPP)に関するあれこれ

このブログを見てくれている人ならおそらくサイエンス・パートナーシップ・プログラムというものをご存知の人もいるだろう。
今日はこれについてちょっと書いてみようと思う。 
 
 
さて、まずはサイエンス・パートナーシップをご存じない方のために簡単に説明。
公式サイトの説明によれば、サイエンス・パートナーシップとはこういう定義になっている。
SPP事業の概要〜SPPとは?〜
研究のプロと教育のプロとの連携が生み出す、新しい理数教育の試み
「連携プログラム」

文部科学省ではいま、新しいスタイルの理数教育を進めています
 
■サイエンス・パートナーシップ・プログラム(SPP)とは
 SPPとは、実験・観察・体験を通して科学技術の本質に接し、その発展に携わる研究者・技術者の姿に触れる機会を充実することにより、「科学技術創造立国」を目指す我が国の次代を担う青少年の育成を図るものです。平成14年度から「科学技術・理科大好きプラン」の一環として実施しています。

■連携プログラムとは
 SPP事業の中心として進めているのが「連携プログラム」です。「連携プログラム」では、大学や研究機関など科学技術を研究している現場と中・高等学校などの教育現場とのあいだの連携を支援します。日本の科学技術の第一線で活躍する研究者・技術者の協力を得て、実験・観察・体験を重視した連携を進め、科学技術の分野で活躍している人の熱意に触れる機会を充実することが目的です。

これだけじゃ分かりにくいのでもっとぶっちゃけて書くと、

科学技術立国の一環として「理科大好きっ子」を育てるため、
中学高校に大学や官民の研究機関の研究者を派遣して最先端の科学の面白さを伝えようと言う取り組みだ。
そしてこういう取り組みをしたいと申し込んだ学校には国から資金援助がなされると言うわけ。

SPPで行われる取り組みは大きく4つの活動に分かれる
「科学技術・理科大好きプラン」サイエンス・パートナーシップ・プログラム連携プログラム・取組事例集
1.招へい講座
 これは大学や研究機関の研究者を自分の学校に招いて実験や観察などの先端科学の体験学習をしてもらおうというもの。最近流行のサイエンススクールに近いものだ。
2.連携講座
 連携講座は逆に大学側に中学高校の生徒を連れて行き、高度な設備を利用して実験観察を行うことで先端技術に触れる機会を持とうというものだ。大都市圏の人なら小学生の頃に学校で科学センターに連れて行かれたことがある人もいるだろうが、それのもう少し高度なものと考えればいい。
3.サイエンスキャンプ
 これは春休みや夏休みなどの長期休暇を利用して、高校生や専門学校性を対象に様々な分野の専門家から直接指導を受けられる合宿形式のサイエンス教室である>>サイエンスキャンプ
4.教員研修
 教員研修は現場の理科教員に対して先端科学を伝えられるような面白い実験観察テーマとプロトコルを伝えるための勉強会である。実際問題として最先端の科学技術を常にフォローアップして自力で教材を作るだけのバイタリティがある現場の教員ではまずいない。そこでこういった研修を通じて現場教員に科学技術教育のためのプロトコールを伝達し、生かしてもらおうと言う趣旨だ。


学教連携と言う意味で非常にいいプログラムだと思う。
募集要項を見ても結構な額の補助金が支給されるようだし、
こういうのをうまく活用できれば理科好きの子供も増えるだろう。

しかしながら、始まったばかりの制度と言うことでまだ色々と欠陥もあって、
北大でも今年サイエンスパートナーシップに関してちょっとゴタゴタがあったのだ。
今日は知り合いから聞いたその話を書いてみようかと思う。


◆SPPを巡る北大のゴタゴタ事例
募集要項を見れば分かるが、SPPの申請主体は基本的に中学高校側である。
大学や研究機関は場所や人を提供するがアドバイザー的な立場である。
そして申請を出すには申請書にアドバイザーの名前を載せておかないといけないのだ。
ここで最初の問題が生じる。「名義貸し」の問題である。
SPPの申請はネット上で申請書類をメールするだけで行う事が出来る上、申請者本人にしか確認が行かないので
極論すれば「本人の知らないうちに誰かが勝手に人の名前を使って申請していた」なんてことも起こりうるのだ。
そこまで行かなくとも、知り合いの教員に頼まれて良く分からないまま名前を使うことを許諾すると、今回北大で起きたゴタゴタのように後で面倒に巻き込まれることになる場合がある。

二つ目の問題は「SPPの申請枠」の問題だ。
SPPは無制限に申請を受け付けているわけではなく、当然ある程度の枠内の件数でしか受諾されない。
そしてこの枠は地域ごと、学校ごと、大学ごとにある程度決まっている。
それを考慮せずに大量の申請を出してもはねられるだけなのである。
一部地域、一部学校に枠が偏ってはならないからだ。

三つ目の問題は二つ目とも絡む申請経路の問題。
公式ページにはこのように書いてあるが、これは国側で経路を把握するためであると共に申請する側で自主的に枠を調整するためでもある。
企画書の提出経路は、以下の通りとしてください。
・国立の学校の場合  設置者たる国立大学法人の以降を踏まえ、直接又は当該国立大学法人を通じて提出してください。
・公立の学校の場合  各都道府県・政令指定都市教育委員会で取りまとめの上、提出してください。
・私立の学校の場合  所管の都道府県私立学校担当部署の意向を踏まえ、直接又は当該部署を通じて提出してください。
・その他の機関の場合  直接提出してください。



前置きが長くなったがいよいよ北大で起きたゴタゴタについて。

さて、今回北大では二人の教授がそれぞれ別件の申請に絡んでいた。
仮にこの二人の教授をA教授、B教授としよう。
A教授は知り合いの学校からSPPへの協力を頼まれ、大学の事務局にきちんと話を通した上でSPPの申請を行った。
一方でB教授は同様に別の学校からSPPへの協力を頼まれて名義を貸したのだが、その際に大学側に話を通す必要性をきちんと認識していなかった。
大学側では関わる案件がA教授の一つだけという風に認識しており、受かる気満々でいたわけだ。
ひょっとすると相手校にもそう説明しちゃっていたかもしれない。
しかし実はB教授の案件という伏兵がいた。

これでA、B両教授の案件共に通るかA教授の案件だけが通っていればまだ良かったのだが、
物事は往々にして都合の悪いほうに動くもので、B教授の案件だけが申請を通ってしまったのだ。
A教授の関わる案件しか認識しておらず、申請結果を見てはじめて事の次第を知った大学側は面子を潰されたと激怒した。
結果としてB教授の申請は上記3つの問題点に触れることになったわけだ。
B教授は謝罪文を書かされるわ分厚い始末書を書かされるわとえらい目に遭ったそうな。

今回のゴタゴタの原因は北大内でSPPへの取り組みに関するきちんとしたコンセンサスが出来ておらず、
申請の際のルールがきちんと周知されていなかったことによるものだ。
こういう話は容易に他所でも起こりうる話だと思うので載せてみる事にした。
サイエンス・パートナーシップへの取り組みを考える人にとって参考になれば幸いである。


posted by 黒影 at 14:25 | Comment(3) | TrackBack(0) | サイエンストピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. 実につまらんことですが、

    国立の学校の場合  設置者たる国立大学法人の以降を踏まえ

    意向ではないかと・・・。
  2. Posted by 無知 at 2006年03月26日 20:59
  3. >無知さん
    ええ、そうですね。
    引用元が誤変換していたのでそのままにしてあります。
  4. Posted by 黒影 at 2006年03月26日 21:16
  5. そうでしたか。
    失礼しました。
  6. Posted by 無知 at 2006年03月26日 21:24
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。