北京ゲノムセンターがGA2の5倍の解読性能を持つイルミナの新型シーケンサーを128台もまとめて導入するそうな。
BGI to Install 128 Illumina HiSeq 2000 Sequencers Over 2010 | In Sequence | Sequencing | GenomeWeb
BGI Purchases 128 Illumina HiSeq™ 2000 Sequencing Systems
SAN DIEGO--(EON: Enhanced Online News)--Illumina, Inc. (NASDAQ:ILMN) announced today that the BGI (formerly known as the Beijing Genomics Institute) has purchased 128 HiSeq 2000 sequencing systems, representing the largest single order for next-generation sequencing systems to date. Most of the units will be installed in BGI’s new state-of-the-art genome center in Hong Kong.
1000ゲノムプロジェクトの頃からその意思がはっきり見えていたとはいえ、北京は本気で世界のゲノムセンターの座を取りに来たね。
責任者の言うことには、1サンプルあたり5000ドルで世界のゲノム解読需要を一手に引き受ける体制を整えるつもりがあるんだそうな。
アメリカやヨーロッパの側でも対抗するだろうから、このアドバルーンはゲノムビジネスに良い刺激になる。
さて、今年のこの業界の動きだが、
1000人のゲノムを解読する1000ゲノムプロジェクトも既に完了。
各所の動きをみるに、今年中にヒトゲノムの蓄積は1万を越えるだろう。
解析コストがマイクロアレイ並みになってきたので、遺伝子がどう壊れると癌になるかという癌ゲノムの研究も最近活発に行われるようになってきた。
脊椎動物のゲノムを網羅する10Kゲノムプロジェクトも既に1000種を越えていて、16000種をターゲットに現在進行中。
#現時点でNCBIのTaxonomy Browserに脊椎動物門だけで1296種登録済み。
今年はLong Readの解読が可能な新型シーケンサーが複数登場する予定なのでそちらも楽しみだ。
ゲノム情報を医療や健康ビジネスに生かす事に対する技術的、金銭的障害はもはや無いと考えてよい。
後は社会的な側面だが、「知ることへの反発」はとりあえず置いておいて、アメリカなんかは2008年の時点で既に遺伝子差別禁止法案を可決しているため、ゲノムビジネスに対する法的準備は既にある程度整っていたりする。
泥縄ではあるがいずれ各国も同様の法案を用意するだろう。
ゲノム情報をどう使うかというアプリケーションはまだまだ貧弱なのだが、これでようやく扉が開くなあ。
個人的には国内の医療系ビジネスを行っている会社がこれでバイオインフォへの新規投資を増やしてくれると嬉しいんだが。
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バイオニュースを中心にいつも拝見しています。
2007年3〜7月に「BioInformaticianを目指す人の為に」と題して、日本の主要バイオインフォマティクス企業や、バイオインフォマティクスを活かせる企業で働く事の厳しさなどについて記事をお書きになっていましたが、第2、第3世代のシークエンサーが発達していく中で、業界の動向の変化などはございますでしょうか?
もしよろしければ、分かる範囲でお答えいただけると助かります。