きくちさんの話によると、元々150人くらいの定員を想定していたのが蓋を開けたらあっという間に定員オーバーで、会場の収容人数限界の190人まで定員を増やしてもなお、12日の時点で既に定員オーバーになってしまったとか。
会場は溢れんばかりの人でした。
ちなみにフォーラムの様子は、どこの番組か忘れましたがテレビで流れたらしいです。
プログラムは
「ニセ科学のある風景」 菊池誠(大阪大学サイバーメディアセンター)
「教育の世界にはびこるニセ科学」 左巻健男(法政大学生命科学部)
「ニセ科学を巡る批判的言論における不法行為責任 名誉毀損訴訟の報告」天羽優子(山形大学理学部)
「大学で扱う科学とニセ科学」 飯島玲生(大阪大学 scienthrough(学生団体))
「脳の迷信」 藤田一郎(大阪大学生命機能研究科)
全体討論
という流れになっていて、
最初にきくちさんからの、ニセ科学とは何か、何が問題なのかという全体説明。
これはまあ、きくちさんのHPにもあるような、いつもおなじみの内容です。
ニセ科学入門
左巻さんからは教育界に入り込んで問題となっているニセ科学について。
TOSSが起点となって広がった水からの伝言やEMの話がメインで、TOSS批判、江本批判やニセ科学にどう対処すべきかという話。
船井幸雄のビジネス論についての話(おそらく「これから10年 驚きの発見」という本からの抜粋)がニセ科学にそのまま当てはまるという指摘が興味深かったです。
これ↓がその本の抜粋。
hochi-eBook:これから10年 驚きの発見
「先覚者」がその気になって行動をはじめると、世の中が変わるきっかけをつくります。ですから商品を売ろうと思ったら、この人たちに知ってもらうのがいちばんです。この人たちのうちの三、四割が「おもしろい」「これはいいよ」といい出すと、どんな商品でもサービスでも世の中で動き出します。
そういう人間が世の中全体をみると二%ほどいますが、これを男女比でみると、以前は五対五で男女あいなかばだったのが、近年は二対八くらいになって女性が多くなったように思います。
ともあれ、これから先、世の中がどうなるかを知りたければ、まず「先覚者」に注目することが大きなヒントになると思います。
さて「先覚者」につぐ二つ目のタイプを私は「素直な人」と呼んでいます。この人たちは「先覚者」のいうことに素直に耳を傾ける人たちです。
「本当によいものなら自分も使ってみよう」「そこへ私も行ってみよう」と、素直に取り入れたり行動を起こす人たちです。こういう人たちが世の中には全体の二〇%ほどいます。
「先覚者」と「素直な人」の間には次のような関係が成り立ちます。
まず「先覚者」の中の三、四割がその気になって行動を起こし、一、二年すると「素直な人」の半分くらいはそれに同調しはじめているということです。
「素直な人」は「先覚者」と違って数が多いので、「素直な人」が動き出すと世の中にどんどん普及していきます。したがって、世の中がどう変わるかを見るには、この二つの人間のタイプを見ていればいいのです。それで大体の見当はつけられます。
第三のタイプは「普通の人」です。この人たちが日本人の場合は、全体の七〇%弱を占めています。この人たちは前の「素直な人」たちが行動を起こしたのを見て、それに追随して行動を起こすようになります。
「先覚者」「素直な人」がマルチ商法で言うところのアップ・ダウンに相当。
あるいはニセ科学で言うところの…は露骨すぎるので以下のエントリを参照のこと。
幻影随想: サギとマルチと疑似科学
天羽さんはニセ科学批判者が直面しうる法的リスクやその対処法についての話。
私としてもいつ自分が当事者になるか分からないので、とても参考になりました。
講演資料はいずれどこかに公開するとか。
飯島さんは阪大のD1で、scienthroughという科学コミュニケーションの団体を作って活動されている人。
講演内容はニセ科学とあまり関係なく活動発表に近いものだったのですが、
科学コミュニケーションを行う同士として活動は応援しています。
最後の藤田さんは脳科学の研究者。
昨今テレビや雑誌をにぎわせている"芸脳人"
DSの脳トレのソフトの根拠となった某教授の論文が実は…という話が面白かったです。
最後に全体討論。
質問したらきくちさんに正体ばらされましたがw
惜しむらくは、人多すぎかつ時間も短かったので、あまり突っ込んだ話ができなかったことでしょうか。
まあその辺は二次会で多少は解消されたのですが、やはり半日で突っ込んだ話をするのは無理があるなあと。
性質の悪い風邪でのどをやられててつらいので、とりあえず速報ということで今日はここまで。
気力が持てば明日以降に詳細を書くかも。
<追記>
YouTubeに番組が流れていたので紹介
「よくぞここまで踏み込んで流してくれた」と拍手を送りたいです。
<修正履歴>
船井氏の本のタイトルを間違えていたので修正。
タグ:疑似科学
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
きくちさんがばらして下さったおかげですが、路上で突然話しかけました。失礼しました。
道すがらお話ししたことなどを、あれから考えてみました。私はどうやら船井分類でいう「素直な人」みたいです。自分でいうのも変ですけど…。昨夜はお話ししませんでしたが、十年ほど前に家族に重病人が出たときから、がんが治ると謳うサプリにはまったのでした。医学のおかげで家族は生還し、あとにはなぜかサプリにはまった私が残った、というわけでした。
そんなことを考えていると、つい先ほど、体調を崩していた友人から「膵臓がんだとわかった」とメールがありまして、友人に効くものがあればなんでもいいから助けてくれ、と心の中で叫んでいます。こんなところにつけ込んでくるのが居るわけで、以前のアホな私なら “なんとかしたい。自分はできる限りのことをやった” と思いたいばかりに、友人にサプリを進呈しようとしていたでしょうね。現実に向き合うのは、なんとも辛いことです。はあ…。
ところで、“おそらくこの本” とこちらで紹介されている「これから10年 驚きの発見」の古本を注文しました。自分がどんなカモだったのか、確かめてみようと思います。
ありがとうございました。
私も参加し、ニセ科学に関心のある方が、たくさんいらっしゃることに驚いています。
かつて、私はトンデモ≠ナお馴染みのF総研に在籍ししておりました。
転職組だったこともあり、洗脳に嵌まらず、いつもF内流≠ニいうことで何でも括ってしまい、独自の理論を振りかざすことに抵抗を覚えて、1年余で退職しました。
会長が、伸びる社員の定義として「素直・真面目・勉強好き」を掲げており、新卒で入った社員は徹底的に社内教育で教え≠刷り込まれていきます。
異を唱えることは、社内では一切認められていないので、外様は長く在社出来ませんし、それまでのキャリアは評価されません。
もちろん、会長の本は必読書で、新刊が出ると自費で購入の上、感想文を提出させられていました。
子飼いは、疑うこともなく、そのままF内流の優秀なコンサルタント&販売員に育て上げられます。
私は新興宗教みたいで我慢が出来ませんでしたが、当時はまだトンデモグッズの販売はありませんでした。
E本氏やH嘉氏とのお付き合いが出来てから、価格の明示が困難で、粗利の大きいビジネスに突き進んだような気がします。
今では、F内総研にいたことが、何かマルチ商法の会社にいたようなニュアンスで採られることもあって、恥ずかしくなることもあります(>_<)
時々、こちらも遊びに来させて戴きますね。
お風邪早く治して下さい。お疲れが出ませんように。
先日はどうもです。
>友人に効くものがあればなんでもいいから助けてくれ、と心の中で叫んでいます。
>こんなところにつけ込んでくるのが居るわけで、
>以前のアホな私なら “なんとかしたい。自分はできる限りのことをやった” と思いたいばかりに、
>友人にサプリを進呈しようとしていたでしょうね。
>現実に向き合うのは、なんとも辛いことです。はあ…。
数年前に薬事法違反で摘発されたメシマコブやアガリクスなんかは、
まさにそうした「藁にもすがる思い」につけこんだ悪徳商法でしたね。
こういうのの裏にはいくつか詐欺師のグループがいるんですが、薬事法では表の代理店は潰せても裏の連中まではなかなか手が届かないのがどうにももどかしいというか。
>reina さん
はじめまして。
F総研の内実のコメントありがとうございます。
>会長が、伸びる社員の定義として「素直・真面目・勉強好き」を掲げており、新卒で入った社員は徹底的に社内教育で教え≠刷り込まれていきます。
>
>異を唱えることは、社内では一切認められていないので、外様は長く在社出来ませんし、それまでのキャリアは評価されません。
>
>もちろん、会長の本は必読書で、新刊が出ると自費で購入の上、感想文を提出させられていました。
>
>子飼いは、疑うこともなく、そのままF内流の優秀なコンサルタント&販売員に育て上げられます。
というあたりは、いかにもそれっぽいなあと思いました。
先日はニセ科学フォーラムに参加でき、大変光栄でした。
ニセ科学の話ではなく恐縮しておりましたが、「科学」とはどういうものか、今後何が必要であるかということを大学という立場から、話をさせていただきました。
社会的損失を伴うニセ科学はいけない、はみなさま賛同できることだと思いますので。
二次会でもご一緒だったのですが、あまり話せずに残念でしたが、また機会がありましたら、お話したいと思っております。
それでは失礼いたします。
大変失礼致しました。
主婦である私の身の回りにも、様々な情報が飛び交っています。マクロビ、食育、脳科学による育児。食品面での過剰なまでのゼロリスク信仰、ホメオパシーなど。
こういったものは、井戸端会議で一度は耳にしたことがあります。
問題なのはその情報が正しいかどうかまで調べる人が、それほど多くないことです。特になんとなく耳に心地いいフレーズほど、この傾向は強い。例えば
「化学物質は危険だけど、自然(天然)のものは素晴らしい」など。
こういった一方的な情報を提供する人達は、決して悪意でやってるのではなく、善意でかつ正しいと信じている。だからこそ余計に危険であり厄介でもあるわけです。
そこにきて、あくまで個人的な感想ですが、マクロビやホメオパシーがファッションのツール的な感覚で取り入れる人が増えているような気がしています。少しオシャレな感じの主婦向けの雑誌で取り上げられることも増えたり、タレント本で紹介されたりすることにより、「なんとなくカッコいい」という感覚で無邪気に楽しんでいる。その先に大きな落とし穴があいている事に気づいていないんですね。それがこわいんですが…
ともあれ短い時間ですが、お言葉を交わすことが出来て光栄でした。
またこちらのブログでも、勉強させてもらいます。
それではお風邪を召されているということ、くれぐれもご自愛下さい。