何せ専門のはずの大学研究室ですら平気で間違った記述をしていることがあるのだから、
いわんや一般においてをや、である。
進化論関連の調べ物をしていてこんなのを見つけた。
あえてリンクするのは避けるが、まあスキルのある人にはすぐどこかわかるだろう。
某私大の生物物理学研究室のHPの記述である。
分子進化
もとあった生物種から新たな生物種が生まれる大進化ではなく、遺伝子上で起きたランダムな塩基配列の変化が偶然的にその生物の個体に固定することで起こる進化。分子レベルでの進化は外の環境とは関係なく遺伝子上での挿入、欠失、置換その他の突然変異によって起こり、大進化とは独立して進行する。分子レベルでの進化は木村氏の提唱する「中立進化説」で説明され、「ダーウィンの進化論」とは「獲得形質の遺伝」という点で大きく異なる。ダーウィンの考え方では形質を獲得するために生物が意志を持って機能を伸ばし、その結果得られた形質は遺伝し、より優位な形質を獲得できた物以外は自然淘汰されるとしているが、中立進化説では進化の方向には意志が無く、遺伝子の変異により偶然獲得できた形質が自然淘汰の淘汰圧に勝てる物ならば生き残ることができ、淘汰圧の変化により結果として進化が起こると考える。中立進化とは頻繁に起こる遺伝子レベルでの変異が環境に対し有利でも不利でもない中立な物が生き残るという概念から名付けられている。
誰だよこういうデタラメを書くのは…
正しい文節が一つもないじゃないか。
情報系からバイオインフォに入った研究室らしいがこの間違いはあまりに酷い。
生物学を扱う研究室としてありえない記述だ。
まさか学生にこんな説明してるんじゃないだろうなぁ。
・間違い1(大進化)
大進化とは、カンブリア爆発のような門レベルで系統が分岐するような進化を指す。
種と種の分岐は通常の小進化である。
・間違い2((分子進化が)大進化とは独立して進行)
(大進化を通常の進化に置き換えて)分子進化の積み重ねの上に形態の進化があるんだが…
別もの扱いするのは間違ってるぞ。
・間違い3(ダーウィンの進化論)
「獲得形質の遺伝」はラマルクの主張した進化論。この間違いはマジありえない。
この記述には目が飛び出るかと思った。
「ダーウィンの考え方では形質を獲得するために生物が意志を持って機能を伸ばし、その結果得られた形質は遺伝し、より優位な形質を獲得できた物以外は自然淘汰されるとしているが」
それはラマルクの進化論でダーウィン進化論じゃない。一体どこでそんなデタラメを覚えてきたんだ。
信じられるか?これが進化生物学を扱う研究室のHPに堂々と載ってるんだぞ?
・間違い4(中立進化説)
やはりというか当然というか中立進化に対する説明も間違っている。
「中立進化説では進化の方向には意志が無く、遺伝子の変異により偶然獲得できた形質が自然淘汰の淘汰圧に勝てる物ならば生き残ることができ、淘汰圧の変化により結果として進化が起こると考える。」
これが普通ダーウィン進化論に対してなされる説明。
中立進化説とは正確には「分子進化の中立説」といい、DNAに起こる突然変異の多くはコドンの冗長性やタンパク質のアミノ酸配列の冗長性によって吸収されるため、生物にとって不利でも有利でもないというもの。こうして中立的な変異が蓄積されるから分子時計による進化時間の計算が可能になる。
分子進化の説明が一文として正しいことを書いておらず
あまりにも間違いが酷いのでトンデモカテゴリに入れてみた。
こんなのが大手を振っているようではIDがのさばるのも無理はないかも。
それにしても…
私の専門は進化生物学じゃないというのに何でこんなことやってるんだろうねぇ。
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
表現型と遺伝子型の進化の関係とか、そんなに
分かり難いものなんでしょうかねぇ?
新書、2,3冊読めばわかるでしょ。
佐倉さんの啓蒙活動もまだまだ。。。
なんて、レベルじゃないね。
こりゃ先方に何か賞を差し上げたいくらい。
おいしいもの見つけてきますねぇ。
まあ、それが世の中、なのでしょう。
ラマルクとダーウィンの違いは小学生向けの解説本で
小学生の時に学んだ私にとってはもう目くるめく記事
有難うございました。まあ、小学生当時なんて逆に変な
ものに感化されることもあるので自慢にはならないが。
こりゃすごいですね。大学の生物物理の研究室って・・・いや、これはびっくり。そんな知識で生物物理をやってちゃいかんでしょう
早速掲示板に書き込んでやろうと思ってみたら
何コレ?w
生物物理学研究室
鈴木博実
明治大学生田校舎 第1校舎3号館3階311号室
http://www.isc.meiji.ac.jp/~a_suzuki/main1.html
とあるのでおそらく学生の仕業ではないかと。
老婆心ながら、指導教官に教えてあげたほうが良いように思います。
#作成したのがご本人だとすると、「世界一受けたくない授業」の主になること必定。・・・いや、怖いもの見たさというのもあるか。
B4の学生さんでコージ君という人がいるので多分彼がHPの製作者なんでしょう。
掲示板が生きていたらそこに一言コメント残そうかとも思ったんですけどね(笑)
メールはどうしたもんでしょうね…
『三章、四章でみてきた進化は、生物の性質が変化して集団に広まっていくことであった。進化論では、しばしばこれを「小進化」と呼ぶ。これに対して、新しい「種」や「属」が生じたり絶滅したりするプロセスを、「大進化」という。さらに、化石の調査などからわかる、非常に長い年月の間に生物の形態がどのように変化し、種類数がどう変化したのかという・・・(中略)・・・なぜ大進化という言葉をとりたてて区別しているかというと、集団内の生物個体の性質の変化である小進化のプロセスでは、新しい「種」の形成などの大規模な進化を説明することができないと考える人がいるからだ。』
と書かれており、カンブリア爆発のような門レベルでの分岐だけでなく、種と種の分岐についても大進化に含まれるように読めるのですが、河田氏の記述が間違っているのか、それとも私の理解が間違っているのか、どちらなのでしょうか?