ホメオパチー療法は素人女性の素人療法に根本的な改善をもたらした。というのは、その用薬法はまことに良く出来ており、かつその投薬には比較的害が少ないからである。その「丸薬」は、どうしても善行を施して満足したい人たちが必要とする一粒の愚行なのであろう。というわけで、どうしても他人に薬を与えたいという女性には、ホメオパチーの薬を与えさせるとよい。さしたる害とはならないであろう。
ナイチンゲール曰く、「ホメオパシー療法は根本的な改善をもたらした - NATROMの日記
150年前に「素人判断で薬を使わせたら危なっかしいので、薬を与えたがる素人女性にはただの砂糖玉でも与えさせておけ」と言い放ったナイチンゲールなら、150年後の「医療ジャーナリスト」や「医者」がこんなことを言っているのを見たら、一体なんとコメントしただろうか?
私は彼女なら相当辛辣なコメントをしてくれただろうと思っているのだが。
世界で最も安全な医療 自然治癒力を高める「ホメオパシー」 JBpress(日本ビジネスプレス)
ホメオパシーという言葉を聞いたことがあるだろうか? これは、200年前にドイツの医師サミュエル・ハーネマンが生涯をかけて確立した医療で、海外では既にかなりポピュラーになっている。
英国の国会では「最も安全な療法」と認められ、インドでは第1医学として用いられている。また、インド、ドイツ、南アフリカ、メキシコなどでは、ホメオパシーを専門として学ぶ大学もある。日本ではやっと近年になって少しずつ認知され始めているが、まだまだこれからという段階だ。
日本の医療の主流である近代西洋医学の常識から考えると、実に不思議な感じがする療法だが、実に興味深く、未来における新しい可能性を感じるものがあるので、2回にわたって紹介することにする。
Lancetをはじめ多くの医療論文でその効果はプラセボでしかないと断定され、
イギリスではすでに保険の適用を打ち切られ、
現在欧米のニセ医療批判の槍玉に真っ先に上げられるホメオパシー。
最近だとオーストラリアでホメオパスの医療拒否によって死なずに済んだはずの子供を死に追いやったホメオパシー。
関連
・ホメオパシーに否定的・懐疑的な論文 - Skeptic's Wiki
・幻影随想: ホメオパシー・オン・トライアル―ホメオパシーは詐欺か治療か―
・忘却からの帰還: 自分の生後9か月の娘を死なせたホメオパシー医
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欧米のホメオパシー批判・排斥運動がまだ日本の一般層には波及していないとはいえ、
いまさらこんな風に提灯記事を書くとは、現状認識に欠けること甚だしい。
まあ既にはてブではフルボッコ状態になっているわけだが。
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この記事自体は信用のおけない医者と医療ジャーナリストの名を知らしめたという点で評価できなくもないが、実際問題として民主党政権下で下手をするとホメオパシーが保険適用されかねないというのが怖い。
民主党のマニフェストにはこうある。
民主党マニフェスト 医療政策詳細版
●統合医療の確立ならびに推進
漢方、健康補助食品やハーブ療法、食餌療法、あ
んま・マッサージ・指圧、鍼灸、柔道整復、音楽療
法といった相補・代替医療について、予防の観点か
ら、統合医療として科学的根拠を確立します。アジ
アの東玄関という地理的要件を活かし、日本の特色
ある医療を推進するため、専門的な医療従事者の養
成を図るとともに、調査・研究の機関の設置を検討
します。
そして民主党の医療政策通と言えば真っ先に名が挙がる鈴木寛参院議員がこんなことを主張していたりする。
2-11 統合医療の推進 :鈴木寛(すずきかん)民主党参議院議員
この世界には、私たちが医学と呼んでいる西洋医学以外にも、さまざまな伝統的な治医療が存在しています。その中には、漢方やアーユルヴェーダ、ホメオパシーなどのように体系づけられているものも多くあります。そして、これらの治医療(代替医療と呼ばれます)はそれぞれが独自の人体の見方を持っているのです。だから、「あなたにとって」体に異常があるなら、西洋医学的に異常がない場合でも代替医療の視点で見れば異常が見つかり、それを治せる可能性があるのです。
その理屈でホメオパシーが医療行為になるなら、加持祈祷や悪魔払い、カルト宗教のマインドコントロールですら医療行為だ。
「気の病」には現代医療の枠組みの中でうまく対処できないというのは解るが、その対処法に無邪気にホメオパシーの名を持ち出す人間が医療政策に大きな影響力を行使しうるところにいるというのは結構冷や汗ものだと思う。
代替医療選択の名の下に親の素人判断で通常医療を受けさせられず死亡した事例は、真光元の事例に見られるように現在の日本でも多数発生している。
そこまでいかずとも、インチキ代替医療の被害は健康食品・中毒百科やアトピービジネスの記事に書いた通り既にありふれたものとなっているし、こうした「治療法」に手を出すクリニックも結構な数が存在している。
そういった似非連中を排除する手段を設けないままに混合診療解禁に踏み切るのは、医療の質・コストの両面で危険だと私は考えている。
少なくともオーストラリアのGloria嬢みたいな犠牲者が日本でも増える事態はごめんこうむる。
幻影随想: 健康食品・中毒百科
幻影随想: サギとヤブ医とアトピービジネス
幻影随想: 恐怖のマコモ風呂
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
スゴイですね〜〜♪
"民主党の鈴木寛参院議員(医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟幹事長)は1日、今後民主党が進める医療政策に影響を与える国会議員として、直嶋正行政調会長、足立信也政調副会長、鈴木議員、藤村修ネクスト厚生労働大臣、仙谷由人医療再建議員懇談会会長、古川元久同懇談会幹事長の名前を挙げた"
http://lohasmedical.jp/news/2009/09/02021015.php
ネットの中でだけで集合知ってなっても、現実に活かせなきゃ意味ないですからね。現実に影響力のある人が知ってないと。
これ、最初は皮肉だと思ってました(ホメオパシーであたえるのは実質だたの水なので)。
マジで書いてるんですね、この人。
>取材したのは、日本ホメオパシー医学会に所属する小池弘人医師
この方でしょうか?
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200901062864159978
[文献]の欄を見ると、
>日本は相補(補完)・代替医療後進国
>治療増刊号 87(844-847)/, 2005 (学術雑誌)
>ホメオパシーにはエビデンスがある
>治療増刊号 87(859-862)/, 2005 (学術雑誌)
という記事を書いているようです。
ちなみに、日本補完代替医療学会のサイトを見ると日本は後進国には思えないのですが。
http://www.jcam-net.jp/info/what.html
又、日本統合医療学会の評議員をされているそうです。
日本統合医療学会(IMJ) 役員・評議員・委員
http://www.imj.or.jp/index1.html
おそらく理事長のメッセージを見れば、この学会を理解するのに役に立つかと思います。
日本統合医療学会(IMJ) 理事長メッセージ 渥美和彦
http://www.imj.or.jp/index6.html
>A医療制度の改革
>日本の医療制度は国民皆保険で、しかも保険で認められている治療法の100%近くが西洋医学である。代替医療が現在の保険で利用される余地はほとんどな い。そこで、患者が望むなら、その部分は自由診療とし、保険診療と併用できる「混合診療」を認めるべきであろう。
この学会の関連学会を見ると... まあ、あれですね。
BLOGなどを見ていると、代替医療を推進している医師でも(信用の為に)問題のある代替医療は排除すべきと考えている人もいました。
#(科学的に効果がないと証明されている)ホメオパシーと
#同類とは見られたくないでしょうから。
>医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟幹事長
そちらでの活躍に最近注目していただけに、これを知った時にがっくりきました。
>att460さん
j-globalの文献見てみました。
http://jdream2.jst.go.jp/jdream/action/JD71001Disp?APP=jdream&action=reflink&origin=JGLOBAL&versiono=1.0&lang-japanese&db=JMEDPlus&doc=05A0359171&fulllink=no&md5=99aa8937b6d7c61e7687f24158bb0fcc
>ホメオパシーは,そのメカニズムの証明は現代科学で困難であるが,高いレベルのエビデンスが存在する医療である。
なんて言い切っちゃう人のようです。
抄録読んでてクラクラきました。
>日本統合医療学会(IMJ) 理事長メッセージ 渥美和彦
関連学会はかなり微妙ですが、理事長メッセージは結構まっとうなことを言っていると感じました。
ただ、やはり偏りがあると感じます。
でもきっと頭が良い分、そのことに気づかずに死んでいくのだな…と。
錯覚でしょう。
人間の感覚は騙されやすいし間違えやすいですから。
すでに犠牲者は出てます。
効果があるなら、薬事法上の承認を得るために行われる臨床試験である治験を行い、正規の医薬品として認可されれば良いのだと思います。
幾ら海外の怪しい臨床結果があっても、日本の治験を通るまでは信じるに値しないと思います。