既に時期を外すこと夥しいのだが、折角書いたのにこのまま削除するのももったいないので載せておくことにする。
改変元:アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本
まあ、どのくらいの数の疑似科学ウォッチャーがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「ウォッチャーではまったくないんだが、しかし自分のヲチ趣味を肯定的に黙認してくれて、
その上で全く知らない疑似科学の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、疑似科学ウォッチャーの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、疑似科学のことを紹介するために
教えるべき10題を選んでみたいのだけれど。
(要は「トンデモ本の世界」の疑似科学限定超簡易版だな。
彼女に疑似科学ウォッチングを布教するのではなく 相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に理解に過大な負担を伴う疑似科学は避けたい。
できればWeb上だけでも十分な情報を得ることが出来るものにとどめたい。
あといくら疑似科学ウォッチャー的に基礎といっても、スピリチュアルとかオカルト方面に傾き過ぎているものは避けたい。いくら大槻先生がスピリチュアル方面を親の敵のように追い回しているといっても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
疑似科学の知識は持っていないが、あるある大辞典の捏造騒動程度は知っている。
科学の専門教育を受けたわけではないが、頭は結構良い。
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
波動(船井幸雄、江本勝)
まあ、いきなりこいつかよとも思うけれど、「波動以前」を濃縮しきっていて、「波動以後」を決定付けたという点では絶対に外せないんだよなあ。
船井幸雄と江本勝は今のニセ科学商売隆盛の基盤を作った、ニセ科学業界の大御所とも言える人間だし。
ただ、ここでヲチャトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
国内で商売化されているあらゆるニセ科学と関わりを持っていると言っても過言でないこの語るべきことの多すぎる疑似科学について、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかどうかということは、ウォッチャー側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
・波動 (オカルト) - Wikipedia
・波動注意報
・ニセ科学入門
水からの伝言(江本勝)、ゲーム脳(森昭雄)
これって典型的な「疑似科学ウォッチャーが考える、一般人にもニセ科学というコンセンサスが出来ている疑似科学(そう疑似科学ウォッチャーが思い込んでいるだけ。実際には全然出来ていない)」そのもの。
という意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「疑似科学ウォッチャーとしては、この二つは"ニセ科学"と断定していいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
・水からの伝言 - Wikipedia
・「水からの伝言」を信じないでください
・ゲーム脳 - Wikipedia
・斎藤環氏に聞く 『ゲーム脳の恐怖』1
・ゲーム脳とは (ゲームノウとは) - ニコニコ大百科
ホメオパシー(ハーネマン、ベンベニスト)
ある種の疑似科学ビリーバーが持ってる神秘への憧憬と呪術的手続きへの傾倒に対する、世界中のSkeptics監修の科学的な考証へのこだわりを
彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも似非科学的な
「フレイザーの説く類感呪術」を体現する「類似の法則」
「感染呪術やケガレ思想」に通じる、分子が一つも残らぬほど希釈を繰り返しても何かが残るとする「治癒エネルギー」
の二要素をはじめとして、疑似科学ウォッチャー受けのする科学っぽい用語を説明にちりばめているのが、紹介してみたい理由。後に出てくるニセ医療の中にまとめてしまうという選択肢もあったのだけど、近年突出して影響を拡大している疑似科学なので項目を分けることにした。
・ホメオパシー - Wikipedia
・反社会カルトとしてのホメオパシー - 地下生活者の手遊び
・呪術教団化するホメオパシー - 地下生活者の手遊び
・忘却からの帰還: 自分の生後9か月の娘を死なせたホメオパシー医
納豆ダイエット(あるある大辞典)
たぶんこれを見た彼女は「あるある大辞典でやってたやつだよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
美容・ダイエット関係は疑似科学の宝庫といっても過言じゃない。
特にテレビや週刊誌で取り上げているようなものは捏造・やらせのオンパレード。
あるあるは打ち切りになったけれど、こういった番組がなくなったわけじゃない。
女性の興味を引くネタをきっかけに、あるあるがどういった捏造を行っていたのか、どうやってそれが暴かれたのか、なんかを非ウォッチャー彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
・発掘!あるある大事典 - Wikipedia
・発掘!あるある大事典
・納豆のダイエット効力、実は「無い無い」! 関西テレビ放送が「あるある大辞典II」のデータ捏造を発表、謝罪:Garbagenews.com
インテリジェント・デザイン論(Discovery Institute)
「やっぱり正統派疑似科学もいくつか取り上げたいよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「反相対論」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、人間の存在に大いなる意思の介在と特別な意味の存在を見出したがる彼らの執念にある意味敬意を抱くから。
人類のゲノムが解読され、人類がいつ頃どの遺伝子がどう変化しながら他の種と分岐したかまで明らかになりつつある現代においてなお、進化論を認めようとせず超越的存在による創造に固執する、
既に葬り去られた「創造科学」の主張を、それでもなお持ち出してくる、
その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにも「ビリーバー」的だなあと思えてしまうから。
彼らには既に退路は無いし、もうこれ以上引けないのだろうとは思うけれど、一方でカトリックはすでに進化論を認めて立ち位置の補強に成功してしまったのにとも思う。
なのに、矛盾や致命的な弱点を抱え込んだまま創造論に固執してしまう、というあたり、どうしても
「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないオタク」としては、たとえID論者達がそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じえない。創造論そのものの歴史と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
・インテリジェント・デザイン - Wikipedia
・幻影随想: インテリジェントデザイン理論(ID理論)にはまっちゃった産経新聞
血液型性格判断(能見親子)
今の若年層で血液型性格判断を見たことのない人はそんなにいないと思うのだけれど、だからこそ紹介してみたい。
最近ではカイチュウ博士こと藤田紘一郎などが引っ掛かっているが、これよりも前の段階で、血液型性格判断に対する批判の内容とかまとめは能見正比古が出てきた時点で完成されていたとも言えて、
1970〜80年代からこれに対する系統だった批判や反論はなされていたんだよという、というのは、
別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなく疑似科学ウォッチャーとしては不思議に誇らしいし、
いわゆるステロタイプな血液型性格判断しか知らない彼女にはそれを教えてあげたいなと思う。
・血液型性格分類 - Wikipedia
・畜大心理:ABOFANへの手紙
・究極の血液型心理検査(復刻サイト)
ニセ医療
ニセ科学のもたらす「デメリット」あるいは「危険」を疑似科学ウォッチャーとして教えたい、というお節介焼きから伝える、ということではなくて。
「癒されたい」「健康でありたい」という誰しもが持つ感覚がある種のビリーバーには特に強くあるのかなということを感じていて、だからこそ、そこに付け込むニセ科学・ニセ医療は絶えることがないし、常に一定数の信者を獲得して影響力を振るっているのも当然の帰結なのだろうと思う。
「アトピービジネス」、「経皮毒(デトックス)」、「好転反応」といったキーワードを軸に、ニセ医療が社会にどの程度浸透しているか、どれだけ被害が出ているか、軽く恐怖心を煽るような感じで話してみて、
単純に彼女がこれを知ってどう反応するかを見てみたい。
・Category:偽医療 - Wikipedia
・幻影随想: サギとマルチと疑似科学
・幻影随想: サギとヤブ医とアトピービジネス
・「代替医療」ではなく「ニセ医療」と呼ぼうキャンペーン - 妄想科學日報
マコモ風呂(小野寺廣志)
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういう生理的嫌悪を引き起こす疑似科学をこういうかたちでネタにして、それが非ウォッチャーに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
・幻影随想: 恐怖のマコモ風呂
マイナスイオン(菅原明子・山野井昇・堀口昇)
9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にマイナスイオンを選んだ。
波動から始まってマイナスイオンで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、それまで一部のインチキ業者や信者による小規模な商いだったニセ科学商売が、売れればよしと大手家電メーカーまでがこぞって疑似科学をネタにして消費者を食い物にするようになった、ある意味時代の転換点となった疑似科学でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい疑似科学がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
・マイナスイオン - Wikipedia
・疑似科学批評(マイナスイオン批評特集)
「駄目だこいつは。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
「天然信仰」とか「ゼロリスク」とかいうものもありますけど、概念的すぎますかね。
「アポロ計画陰謀論」はどうでしょうか?
知名度はそこそこありますし、反証のまとめページもwikipediaを始めとして完成の域にあるほどまとまっていると思います。
10本目の件ですが。
個人的にプッシュしたいのは糖鎖栄養学とか酵素栄養学みたいな食品系のあれですかね。
ほかにも年齢を減ると減ってくるから食って補おうとか、そういう類の話を。
ヒアルロン酸みたいに。
ということでマイナスイオンは特に外さなくてもいい気がします(なにか意図があって最後に持ってきたってことは感じるんですが、マジレスです、すみません)。
「非ウォッチャーの彼女に」ということなら、「デトックス」はぜひ入れてほしいですね。私みたいに「非ウォッチャーの彼氏に紹介したい」という場合は、各種「陰謀論」を入れたいです。あと「オーディオ系」とか。
↓
ハルヒ信者が大挙して炎上
↓
ブログ閉鎖
これが美しい流れだと思う。
陰謀論としては比較的ポピュラーなものですし、陰謀論入門に向いているように思います。
私にとって、「世の中にはこんなヘンな話が溢れているんだなぁ」と言うことに気づかされたきっかけが
アポロ陰謀論だったりします。
ただの嘘なのでトンデモな視点からみると全く面白くないのですが、確信犯的な詐欺師がうようよしていてウン億円とか被害も出るケースもあるみたいですし。
なぜなら、想定されたスペックの女性ならば特に疑問も感じずに信じている可能性があるからです。
そういうものをいきなり否定するとまず理屈を聞いてもらえないし下手すると喧嘩になりかねません。
「理屈っぽいから貴方って△型でしょ? やっぱりー」的な結論を出されて終わるかも。
子供が死んでしまったというショッキングな事実があるホメオパシーや
グロくてインパクトがあるマコモ風呂辺りをショック療法的に導入にして
さりげなくニセ医療や原始的な天然信仰に対する批判を刷り込みつつ
納豆ダイエットとマイナスイオンに軟着陸というのが割りとすんなり行くんじゃないかな、と思います。
そして箸休めに水伝や波動で笑いをとりつつ、
満を持して血液型性格診断に踏み込むというのはどうでしょう。
それでも勝てるとは限らない。奴は強敵だ。
彼女がエンジニアなら、旬のネタがあるんですけど。まぁ、すぐに風化しちゃうでしょうけれど。
日経エレクトロニクス雑誌ブログ:「続報---驚異の電気2重層キャパシタは本物か?」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20090605/171328/
当時の彼女は、テレビでやるような美容・健康系ニセ科学や占い的性格判断を、
深く考えることなく受け入れている感じでした。
数年前、いずれ彼女と結婚するのかな〜って考えだした時期に、
真面目な話なので聞いてほしいと前置きして、
世の中になくなんとなく受け入れられている科学っぽい情報には
笑い話や娯楽ですまされないような話もあるよということをざっと語り、
それからNATROMさんのとこの怖い産院の話
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20070707
を読んでもらいました。
それで彼女も色々調べたり考えたりしてくれて、
今では職場の会員管理書類に血液型欄があることに対して、普通に違和感を感じ、
会議で「申込書に血液型記入欄は不要では?」
とか提案したりしてるそうです。
(受け入れられなかったらしいですが)
そんでもって、もうすぐ我が家の第一子誕生なんですが、
二人の合意のもと、しっかりとした体制の産科病院を
選ぶことができました。たぶん。
こういう話は価値観だけでなく、
生活に直に関わってくる可能性がある問題なので、
結婚前に話し合っておいて、よかったと思います。
いつもこのサイトを楽しみに、また興味深くROMさせて頂いている52歳♀です。
昨日、中学校の図書室でアルバイトをしている友人と話をしていたときのこと。このポットに入れると水がおいしくなるんだよ、などという話を、本人がおいしいと思ってるんだからいいでしょと、ヘラヘラふんふん聞いていたら、続けて「水って、きれいな言葉をかけるときれいな結晶を作るんだよ」と言われ、固まりました。
以下、そのときの会話です。
私「あ、それウソなんだよ」
彼女「そんなことないよ、本もたくさん出てるし。」
私「ああ、知ってるけど(読んだことはありません)科学的に間違ってるんだよ」
彼女「あら、その本を書いている人も科学者なのよ」
彼女「図書室にも、何冊も入れてあるのよ」
私「その説は間違いだって本もたくさん出てるよ。科学者が書いてる本で。科学者だってピンキリだからね。学校でこの話が流布してるって聞いてたけど、本当なんだねえ…」
彼女「あらそうなの。…じゃあ、そういう反対の意見の本も図書室に入れればいいわね」
と、とりあえず、その場ではこれ以上話せなかったのですが。
10年来のつきあいの友人で頭も良い人だっただけに、私も衝撃を受け、今朝、さっそくこちらのサイトにお邪魔し、過去に紹介されている中から選んで田崎晴明さんのサイトを紹介するメールを送りました。
一介の主婦が世間話でしているだけならまだしも、アルバイトとはいえ子どもの教育の場にいる人なので、ほっとけません。
科学的根拠のないウソ、という点はもちろんですが、「良いことば」「悪いことば」の定義、見かけが美しい=良い、という考えの危うさまで、ちゃんと彼女に伝わると良いのですが。
つまらない体験報告で申し訳ありません。
こういうこともありますので、お忙しいとは思いますが、どうぞこれからも興味深い記事を読ませてください。ありがとうございました。