2006年01月16日

堕ちた韓国の幹細胞研究者

昨年末には「これでソウル大の発表があって終わりだろう」くらいに気楽に考えていたというのに、
このジェットコースターみたいな急展開は何事?
どこまで落ちれば底につくのやら。

最近週刊化しつつあるこのブログだが、何とか余力のあるうちに年明けからの動きをまとめておく。

今回の目次
◆中間報告(12/28)〜最終報告(1/10)までの動き
 ○世界の反応
 ○執念の黄教授
 ○国家レベルにまで発展した問題
 ○一人で割を食って渋い顔のサイエンス
◆倫理問題の更なる展開
◆ソウル大の最終報告
 ○ソウル大の最終報告まとめ
 ○日本国内メディアの反応
 ○海外メディアの反応
 ○韓国内の反応
 ○捏造の主犯、実行犯
◆その後の展開
 ○最終報告書の詳細
 ○黄教授の反応
 ○人外魔境と化しつつある韓国幹細胞研究

年明けからの簡単な時系列を追うのであれば
EP: end-point 科学に佇む心と身体」さんのところのニュースまとめがお勧め。
『韓国ES細胞スキャンダル:韓流科学の夢の跡2』(12/28〜1/9のニュース)
韓国ES細胞スキャンダル:捏造騒ぎのあとしまつ(1/10〜のニュース)

 
 
 
◆中間報告(12/28)〜最終報告(1/10)までの動き
○世界の波紋
先月終わりのソウル大の中間報告で2005年論文の完全捏造を宣告された黄教授。
すでにこの事件は世界的な波紋を巻き起こすまでになっていたので、
世界中の新聞がトップニュースとしてこの捏造事件を報道した。
とりあえず代表例として英語圏のメジャー誌を3つ取り上げておく。
Stem Cell Advance Is Fully Refuted(WashingtonPost12/28)
Panel Further Discredits South Korean Scientist (NYT12/28)
New blow to S Korea clone work (BBC12/28)


○執念の黄教授
さすがにこれで観念するだろうと思っていたら、甘かった。
黄教授はこの程度で諦めるタマじゃなかった。

「ねつ造問題は陰謀」黄教授、新聞で強気の反論(読売)
 黄教授は、2005年5月の論文で患者組織から作成したと発表した胚(はい)性幹細胞(ES細胞)がすべて偽物と判定されたことについて、「何者かに細胞をすり替えられたため」と釈明。
 同年8月に発表した世界初のクローン犬については、ソウル大内部の確執から「本物と明らかになっても、大学は認めないだろう」と主張した。
 一方、「重要なのは技術を持っていること」とし、「必ず証明して見せる」と相変わらず強気の姿勢。「優れた技術を持った科学者と厚遇されてきたのに、詐欺師と責め立てられるのは理解できない」とこぼした。

一つ嘘をつくと、それを覆い隠すために更なる嘘をつく必要がある。そしてその嘘を隠すためには…
黄教授はこうして泥沼の連鎖に陥った典型例だな。


○国家レベルにまで発展した問題
そして捏造幹細胞の混沌はついに国家をも飲み込み出す。
韓国政府、今年1月にES細胞汚染報告受けていた(朝鮮日報12/17)
青瓦台補佐官、幹細胞汚染事故の報告を受けていた(聯合ニュース12/18)
朴基栄(パク・ギヨン)大統領府科学技術補佐官が不都合な情報を色々と握りつぶしていたらしい。
政府から湯水のように金を引き出して黄教授に好き放題使わせていたのもこいつ。
そのうち人物相関図も作らないといけないな。
ES細胞ねつ造:規制の寛容さ突出 研究費も潤沢に(毎日12/23)

そして国家ぐるみで揉み消し工作に走った形跡もちらほらと
【論文ねつ造】「国家情報院がもみ消し工作に関与」か (朝鮮日報12/28)
 ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授チームの安圭里(アン・ギュリ)ソウル大医学部教授と尹賢洙(ユン・ヒョンス)漢陽大医学部教授が米ピッツバーグを訪問した際、キム・ソンジョン研究員らに約4万ドルを渡した問題で、国家情報院が介入したという疑惑が取りざたされている。

この二人の教授は今までも黄の手下として色々やってきた人物なので、捏造も承知していたと見ていいだろう。
渡した金というのもプールした研究費を流用した可能性が高い。
そして最大の焦点は国家機関がどこまで関わっていたのかという問題。
捏造を承知でこの揉み消し工作に関与していたとなると、誰かの首が飛ばないと収まらん。

捏造を知りつつ政府がそれを隠そうとしたという証言もある。
2005年黄禹錫論文操作「青瓦台、昨年11月末に知っていた」(中央日報1/2)
【論文ねつ造】「青瓦台、昨年11月末に論文ねつ造把握」(朝鮮日報1/3)
 青瓦台(大統領府)が黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大教授の2005年にサイエンス誌に掲載された論文がねつ造されたものだったという事実を、昨年11月末ごろ把握していたことがわかったと、中央日報が2日付で報じた。

 同紙によると、ソウル大関係者のA氏は1日、「昨年初雪が降った日(ソウルは11月29日)、青瓦台民生主席室のK氏が訪ねてきて、2005年論文の真相について聞かれたので“論文に出ている幹細胞の存在についてはわからないが、DNAの指紋は明らかにねつ造されたもの”と詳しく説明し、K氏も納得していた」と証言したとのこと。

11月終わりに事態を把握していたというのであれば、12/7の大統領の「この辺で片付けるように」という声明は事態の隠匿を図るものとしか考えられないわけだが。
さて、1/16からはいよいよ検察が動き出すわけだが、政府高官がどこまで巻き添えになるかが見物だな。
朴基栄(パク・ギヨン)大統領府科学技術補佐官一人をスケープゴートにしてそれで済むのかな?

あまりに酷い問題が次々出てくるから皆の目が向いていないが、
海外もこのポイントから目を背けたわけではないぞ。
South Korean stem cell scandal could sink deeper (USATODAY.com 1/2)
それにしても科学者の不祥事で政府が揺らぐなんて、韓国は一体どういう国なんだか。


ドミノ倒しは続くよどこまでも、ということでさらに国家生命倫理審議委員会の委員長が辞任。
本来真っ先に真偽を解明しなければならない人間がMBC叩きが吹き荒れたときに黄教授側に立ってしまったというのが理由らしい。
表沙汰になっていない後ろ暗い取引があったんじゃないかと勘繰ってしまうのは考えすぎだろうか?
黄教授、PD手帳「卵子疑惑」報道直前にヤン・サムスン氏接触(中央日報1/5)
倫理問題はまだ手付かずどころか最初にあげられていた疑惑よりもさらに酷くなっているし、
考えようによってはいい時期に逃げ出したといえるのかもしれない。


○一人で割を食って渋い顔のサイエンス
散々黄教授を(というよりも今から思えば共同著者のシャッテン教授を)庇っていたサイエンスだが
さすがにここまで来るともう見放したらしい。
サイエンス誌の黄教授論文、最終調査発表後に削除へ(聯合ニュース1/4)

NYTのNicholas Wade記者がサイエンスの編集長のインタビューと言う形の記事を11日に出している。
この記者いつも辛口のいい記事を書いていて好きなんだが、今回も強烈(笑)
Journal to Examine How It Reviewed Articles(NYT 1/11)

Nature has emerged the luckier of the two journals, having published only Dr. Hwang's claim that he had cloned a dog, Snuppy. The Seoul panel said yesterday that Snuppy was a true clone.

Science, however, must recover from publishing the two articles on human embryonic stem cells, which seemed to bring therapeutic cloning - treating patients with new tissues generated from their own cells - almost within reach.

"almost within reach"って、中々出来ないから世界中の研究者が苦労しているわけで(笑)
それを"must recover from publishing the two articles"とはえらくきつい注文だなぁ。
まあ信頼回復に努めなくてはならないのは事実な訳で、
この記事に書かれている「共著者それぞれの研究への寄与分の記述」というのはいい提案だと思う。
(大きな声では言えないが、研究に何も寄与していないのに上役だというだけで名前を載せる慣行が日本にもあるからな。)



◆倫理問題の更なる展開
さて、次は10日の発表の話に移る前にさらに広がってしまった倫理問題についてまとめよう。
今となっては遠い昔のように感じるが、
当初シャッテン博士が不発弾を踏み抜いたときに挙げられていた疑惑は以下のとおりだ。
・卵子を金銭で集めていた疑惑
・研究員から卵子の提供を受けていた疑惑
・卵子を提供した研究員が論文の共著者となっている疑惑
詳しくはこちらを→「10分で分かる韓国の生命倫理問題

さらにミズメディ病院の慮理事長の暴露で1000個以上の卵子を浪費していたという話まで明らかになって、これだけでもひっくり返るかと思ったのに、1月頭にはさらに数が増えていた。
おまけに2004年の論文でも研究員から卵子を無理矢理提供させていた。

黄禹錫教授、2004年論文でも研究員から卵子寄贈(中央日報1/2)
黄教授が部下に卵子提供を強制、韓国テレビが報道(読売1/2)
黄教数卵子提供説明は `完全嘘' (朝鮮日報1/10)
“研究員, 黄教数車乗って一緒に卵子採取しに行った”
2004年サイエンス論文に卵子を提供した研究員はファン・ウソク教授の車に乗って一緒に江南ミズメディ病院に行って慮理事長に直接卵子採取手術を受けたことが確認された.
<中略>
当時卵子寄贈同意書に署名した研究員は現職 7人, 前職 1人など全部で8名確認された.
また 2004年, 2005年サイエンス論文と係わって黄教授チームに提供された卵子は今まで知られた 1千600余個より多い 2千61個であることが確認された.
これら卵子は 2002年 11月28日から 2005年 11月8日までミズメディ病院, 漢拏山奥さんと, 漢陽大医大産婦人科, 三星第一病院など 4個病院で 129人の女性から採取したと報告書は明らかにした.
(引用者によって自動翻訳のおかしなところを修正済)


研究員に無理矢理卵子提供同意書にサインさせ、
さらに黄教授自ら研究員を車で病院に連行し、
さらに卵子を取り出したのは共著者でもあるミズメディの慮理事長ですか。

…パワハラ・アカハラ・セクハラの三連コンボ。
おまけにまた浪費した卵子数が増えてるし。

さらに卵子提供者にはろくに説明もせず、20%もの提供者が後遺症に苦しむことに。
“卵子提供の前には副作用説明なくて, 後には黄教授態度変わった”
ES細胞:黄教授の卵子提供者、2割近くが後遺症(毎日1/13)
 【ソウル堀山明子】韓国の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究論文ねつ造事件で、国家生命倫理審議委員会が13日開かれ、ソウル大の黄禹錫(ファンウソク)教授の研究に協力するため卵子を提供した女性の健康状況についての情報交換が行われた。

 聯合ニュースによると、委員会では、卵子提供者の15〜20%が卵巣が腫れる後遺症「卵巣過剰刺激症候群」にかかって治療を受けていた実態を確認。早急な保護策を検討する方針が確認された。卵子提供に伴う後遺症の危険性に関する事前説明についても十分ではなかったと報告された。また、1人で4度も提供した事例が明らかになり、卵子売買の可能性が高いとみて調べる方針。

【論文ねつ造】卵子提供女性のうち15-20%の人に後遺症 (朝鮮日報 1/14)

昨年11月の段階で挙げられていた疑惑は結局全て事実。
それどころかそんなものは序の口と言わんばかりの倫理問題のオンパレード。
言葉も出ないというのはこういうのを言うのだろうか?

先進国でこんな事が起こったら教授どころか大学の学長の首すら飛びかねないが
倫理規定を泥縄でこしらえた国ではそうでもないようだ。


◆ソウル大の最終報告
○ソウル大の最終報告まとめ
やれやれ、ようやくソウル大の最終報告の話にたどり着いた。
1月10日に満を持して黄教授の論文に対するソウル大の検証結果が発表された。
SEOUL NATIONAL UNIVERSITY- Summary of the Final Report on Hwang's Research Allegation
この報告書は5つの項目からなっている。
1.2005年度サイエンス誌論文の検証結果
2.2004年度サイエンス誌論文の検証結果
3.クローン犬スナッピーの検証結果
4.卵子の入手過程、利用過程の検証
5.源泉技術の有無

簡単に結果だけ言うと、
・論文は2004年も2005年も完全に捏造。
・スナッピーは本物。
・卵子に関しては上の倫理問題の所で述べたとおりセクハラアカハラパワハラ+数の誤魔化し。
・源泉技術なし

全体に「ああやっぱりな」という内容だった。
この最終報告に驚くべきところがあるとしたら、唯一つ。
クローン犬が本物だったことだけだろう。
これまでに断片的に漏れてきた情報を見る限り、黄教授の研究チームのデータ管理は杜撰もいいところ。
クローン犬に関するデータもあるべきものがなかったので、てっきりこれも駄目だとばかり思っていた。
まあ一つでも捏造でない技術があって救われたというところか。


○日本国内メディアの反応
国内メディアの反応はこんな感じ
ヒトES細胞すべてねつ造、ソウル大が最終調査結果(読売1/10)
「ES細胞論文すべて捏造」 ソウル大調査委が最終報告(朝日1/10)
ES細胞:黄教授論文ねつ造 「作成」全部ねつ造、04年論文も−−ソウル大最終調査(毎日1/10)
解説:ES細胞ねつ造 患者の願い裏切り 先端科学の信頼失墜(毎日 1/10)
ヒトES細胞すべて捏造 黄教授に作成技術なし(産経1/10)

○海外の反応
The Rise and Fall of the Cloning King(NYT 1/9)
 よほど腹に据えかねたのか、"Now he's a scientific pariah."とえらい剣幕。
Researcher Faked Evidence of Human Cloning, Koreans Report(NYT 1/10)
 翌日の記事でも黄教授がいかに世界の研究に損害を与えたかを語っている。
Lesson in South Korea: Stem Cells Aren't Cars or Chips(NYT
1/11)
 さらにはこんな記事まで。幹細胞は車やシリコンチップのようにはいかないってさ。
Science takes stock after clone row(BBC 1/10)
 BBCも"The revelations about Dr Hwang Woo-suk, South Korea's cloning and stem cell pioneer, have built into one of the biggest scientific scandals of recent memory."とお冠。
The fall of a scientific 'rock star'(BBC 1/10)
Korea's national shock at scandal(BBC 1/13)
 "Scientist's rise was fuelled by South Korean nationalism"
 日本じゃこれをまともに指摘できるメディアが少ない。
 全体に欧米のメディアのほうがきつい論調であるように思えた。


○韓国内の反応
海外の反応は散々だが、韓国内では黄教授支持の声は根強いものがあるようだ。
まずまともでない方の反応から。
「源泉技術さえないなんて…」市民たち落胆(中央日報1/11)
一方、世論調査専門業者リサーチエンドリサーチは4〜5日、全国成人男女800人を対象にアンケート調査した結果、ソウル大調査委員を信頼するという回答が66%(非常に信頼8.6%、信頼する57.4%)に達したとこの日、明らかにした。また調査委は信じられないという回答が23.1%、非常に信じられないという回答が2.9%だった。

一方、回答者の69.2%が「もう一度機会を与えるべき」という立場を明らかにしているほか、26.2%は「研究に関与しないようにすべきだ」と回答した。

「源泉技術は有効」黄教授支持のキャンドルデモ開催(朝鮮日報1/12)
ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)教授の研究成果がでっちあげだというソウル大調査委員会の調査結果発表にもかかわらず、黄教授を支持する世論には変りがなかった。

 インターネットのダウムカフェ(cafe.daum.net)「黄禹錫を支持するネチズン連帯」の会員約2000人は、11日午後6時からソウル光化門のトンファ免税店前でキャンドルデモ集会を開き、黄教授への支持を明らかにした。

「それでも黄教授を信じる」と支持集会(時事1/11)(写真)
ソウル大調査委員たち抗議に苦しんで (東亜日報1/15)
15日ソウル大によれば調査委員会委員たちに抗議性電話が零れ落ちている.
またソウル大研究先などにもソウル大調査結果を信じることができないとソウル大総長の謝りを要求するなど常識的に理解しにくい主張が入って来て業務を見にくい位だ.
甚だしくは一部委員たちにはどう分かったのか携帯電話電話がかかって来て '夜道気を付けなさい'と言うなど口に出しにくい悪口をポブッギもしたことと伝わった.
だから調査委員たち中一部は研究室にも出ることができないことと知られた.

(;´Д`)えぇ〜
私には到底理解できない思考回路をしている人が大勢いるようだ。


無論まともな人もいる。
この捏造疑惑を暴くきっかけを作ったMBCの「PD手帳」報道チームは賞賛されて然るべきだ。
MBC『PD手帳』「保安と国益が論文ねつ造を可能にした」(朝鮮日報1/4)
それに降って湧いた災難に溜息をつく韓国の若手科学者にも同情する。
科学技術係の非難の声(聯合ニュース1/12)
<前略>KAISTの一博士課程生は "黄教授が結局国民に同情を買うために学生たちを動員してショーをしたと思う"と "学生たちも実験室のボスである教授が危機状況に 抜ければ結局ついて行くしかない垂れなさいこれを見る心情が複雑だ"と言った.
<中略>
しかし黄教授のこのような行動に対して韓国科学技術者連合(SCIENG)の一会員(ID: 日常)は "この前研究成果を発表する時は一人だけ出てスポットライトを受けたらよりによって屈辱の瞬間が来てからこそ研究員たちをすべて連れ出たか"とやや苦い心情を現わした.

中央日報の社説も悪くなかったと思う。
【中央時評】黄禹錫教授はわれわれの顔だ(中央日報12/22)
・【社説】黄禹錫が愚弄した大韓民国(中央日報12/23)
こういう人達が増えれば韓国も変わるだろうにね。


○捏造の主犯、実行犯
さて、論文捏造の主犯が黄教授だというのは既に疑いようが無いのでいいとして、
実行犯が誰なのかの情報も随分と集まってきたのでまとめておこう。

【論文ねつ造】黄禹錫教授の釈明と悔恨 (朝鮮日報)
ここに朝鮮日報がまとめた人物相関図が載っている。
まず幹細胞写真の捏造を行ったのがおなじみ金研究員。
黄教授の利き腕姜性根教授, 2005年論文大部分作成

そして幹細胞のすりかえを行ったのが黄教授の利き腕姜教授。以前睨んだとおりだな。
泥沼の韓国幹細胞騒動
ところで黄教授のチームには必ず細胞すり替え、管理役を担っていた人間が存在したはずなんだが、
その人間は一体誰だろう?
その人物は少なくとも黄教授の悪事の全てを知る腹心でなくてはならず、幹細胞に自在にアクセスする権限も必要だ。そして常に幹細胞のそばについていられる人間。
私は姜(カン)教授が怪しいと踏んでいるがどうだろうか?

今のところ特に目立った動きのない姜(カン)教授の名前が突如スケープゴート役として
盧理事長の口から出たのも、デジタルデータ捏造役の金研究員と並んで姜(カン)教授が細胞の捏造役になって黄教授の片腕として働いていた為と考えるとストーリー的にはしっくり来る。
この場合盧理事長もまた相当深いところまで知っている共犯者ということになる。
まあこの部分は私の推測に過ぎないが。

DNAフィンガープリントの捏造はおそらくパク研究員か。
そして卵子供給役がミズメディの慮理事長。
チーム長のユ・ヨンジュンというのも確実に捏造に関わっていたはずだが、いまいち役割が良く分からない。
報道内容が正しければ最初にMBCに捏造をリークしたのはこの人物のはずなんだが?

さらにこの詐欺グループの広報役兼子分として安圭里(アン・ギュリ)ソウル大医学部教授と尹賢洙(ユン・ヒョンス)漢陽大医学部教授、そして政府から金を引き出す役が朴基栄(パク・ギヨン)大統領府科学技術補佐官といったところか。
それぞれがどの程度捏造に関わっていたのか、興味は尽きない。


◆その後の展開
最終報告書が出された後での動き。
どうもソウル大はファンタジーワールドに突入したようで、もう訳分からん。
情報分析だけでも一苦労だ。
とりあえずネタだけまとめておくので分析はまた今度ということで。

○最終報告書の詳細
調査委「世界初のヒト単為生殖に成功していた」(朝鮮日報1/11)
 ソウル大の報告書にも確かにそんな事が書いてあるが、ほんとかよ?
【論文ねつ造】次々と新事実が判明…調査委最終報告書(朝鮮日報1/11)
 ・2005年の論文はシャッテン教授が自ら執筆
 ・朴基栄補佐官、実際は論文に貢献せず
 ・パク・ウルスン研究員が卵子を提供した際、黄教授が同行
 ・訓練を受けていない大学院生が核移植実験を行う
 ・「 PD手帳」への情報提供者も2004年度論文ねつ造に関与の疑い

【論文ねつ造】最終発表後もくすぶる疑惑の数々(朝鮮日報1/11)
よくもまあ毎日ネタが尽きないもんだ。どこまで底無しの泥沼なんだか。


○黄教授の反応
既にオオカミ少年扱いされだしている黄教授だが、彼の口の回転は止まらない。
どうしてさっさと口を塞がないのだろう?
彼が一言しゃべるごとに韓国科学界は泥をなすりつけられるというのに。
【論文ねつ造】黄教授、調査委の発表に不快感示す(朝鮮日報1/11)
【速報】黄禹錫教授「DNA抽出・検査もミズメディの責任」(朝鮮日報1/12)
【質疑応答】黄教授「盧理事長の要請断り恨まれたかも」(朝鮮日報1/12)
【質疑応答】黄教授「6ヶ月あれば患者対応型ES細胞作れる」(朝鮮日報1/12)
12日は最後まで言い逃れに終始。典型的な詐欺師の言動だな。

さらにここから斜め上にかっ飛ぶ。
【質疑応答】黄禹錫教授「無菌ブタの開発に成功」 (朝鮮日報1/12)
黄禹錫教授、オオカミのクローニングに成功? (朝鮮日報1/13)
もう黄教授の言うことは何も信用できない自分がいる。

金の流れに関しても不透明なところが随分あるようだ。
黄教授チームの研究費使途、検察と監査院が合同捜査へ(聯合ニュース1/13)
黄教授の研究費113億のうち、使途不明が8億ウォン(聯合ニュース1/10)
研究支援費の中に高速鉄道工事諮問費も…研究費横領容疑もたれる黄教授 (東亜日報1/14)
まさに疑惑の総合商社。


○人外魔境と化しつつある韓国幹細胞研究
さらに斜め上大気圏外レベルのニュースが
漢陽大病院にも ‘ファン・ウソク飛び火’
“黄教数要請して産婦人科患者卵巣摘出”…大学 “まともに同意受けたのか教授 2人調査中”

卵巣を同意なしに摘出して実験に…orz
想定してはいた、だが実際に記事として出てくるとたまらんな。

"遊泳与えた, 自分精子で受精卵作って"(朝鮮日報1/14)
【論文ねつ造】「研究員が自分の精子で受精卵作った」
一番考えたくなかった事態。
誰かこの記事が飛ばし記事だと言ってくれ…

1/16 14:00追記
さすがにこれは飛ばし記事、というか黄教授側が意図的に流した中傷のようだ
"2004年論文に受精卵幹細胞実験記録なくて"(朝鮮日報1/15)
捏造を暴露したユ研究員に対する報復のつもりか?
黄教授の研究チームは一体どうなっているんだ?


posted by 黒影 at 05:39 | Comment(6) | TrackBack(0) | バイオニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. 先頭の記事に、03/01、とあったので情報の錯綜があまりにひどいため錯乱したのかと思ったら、違うのですね。お久しぶりです。
    現地は相当グダグダになっている様子ですが、低次元の捏造問題(これはこれで大問題なのだが)より、やはり原点の倫理問題が一番非難されるべきだと思います。2000を超える卵子をサンプルに浪費し、何の結果も残せなかったのに、あまり批判もされず、逆に擁護される社会がすぐ隣にあるという事実に戦慄を覚えます。
  2. Posted by 李柏 at 2006年01月16日 20:33
  3. ここまで酷かったとは、実際に住んでいた私も想像できませんでした。去年12月頭くらいから、日本のインターネットで韓国ニュース見まくりでした。
    2004年6月ごろ、あるシンポジウムでファン教授の倫理的な問題について質問したのですが、参加した韓国人全部からものすごい白い目で見られましたよ。あ、それから、一部韓国駐在日本人記者からも、白い目で見られたなあ(笑)。
    ともかく、ファン教授の悪口を言える雰囲気はなかったですね。本当に恐ろしいです、ナショナリズム。
    あ、それと、韓国ものが今後も続くかどうか分かりませんが、一応韓国語はできるので、ご協力しますよ、情報収集。おっしゃって下さい。
  4. Posted by 元韓国駐在員 at 2006年01月16日 23:43
  5. 黄教授の捏造暴きに隠れてあまり話題に上りませんが(以前このサイトで黒影さんが触れていたくらい)、韓国政府は世界幹細胞ハブで何をしようとしていたのでしょうか?仮に百万歩譲って彼らが捏造であることを知らなかったとしても、コンタミを繰り返していることは知っていたはずです。そんな中で、難病患者をハブに登録して何をしようとしていたのか?既成事実化による特許の独占?もし今回捏造が発覚しなかったらどうなっていたのか?デタラメな「幹細胞」もどきが実際に患者に投与されていたのか?考えると強烈な恐怖を覚えざるを得ません。
    http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=71767&servcode=400&sectcode=400
  6. Posted by hepatocyte at 2006年01月19日 11:30
  7.  遺憾ながら、コリアン式「ケンチャナ精神」(そのうちなんとかなるだろう)で患者を集めておけば、その人達や家族を含めた人々が世界中からソウルに集まってくるだけでも結構な外貨が落ちるし、そうこうするうちに卵子の提供数も増加して行って「源泉技術」とやらが確立していけば歩留まりもそのうち上がっていくだろう。

     大方このくらいに考えていたのでは。

     今となれば、卵子2,000個を集めた実績がある訳ですから、倫理なんざ糞食らえで突っ走れば未完成の技術でも目鼻は付くだろう、くらいの軽いノリであったことは容易に想像がつきます。

     全てが裏目に出た時のリスクを考えなかった者が居ないではないでしょうが、集団が熱狂すると誰も口を挟めない環境にあっては所詮大河に楊枝を挿すようなものだったのでしょうね。

     韓国人と韓国が蒙った国際的イメージの低下と言う真の脅威に彼らが気付くまでには、まだ暫く時間が掛かりそうな気がします。
  8. Posted by 功島 at 2006年01月19日 12:44
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