現在何が流行っているのかというリアルタイム性の面から、そして情報量的にも、ニセ科学商売の教祖のサイトなんかは格好の観測ポイントとなる。
ゆえに私に限らず疑似科学ウォッチャーには、こうしたサイトを定期的にチェックしているものが多い。
さて、先日江本勝のブログを読みに行ったら、こんな記事を見つけた。
水からの伝言 : マニラセミナーフュージョンエキセル社は、マレーシアに本部を持つ国際ネットワークシステム企業です。その商品がスカラーエネルギーを基本としたもので、いわゆる未知のエネルギーを商品化したものですから、私どもの結晶写真撮影技術に注目し、商品の撮影依頼などが過去にありました。
その結果、マニラ、バンコク、クアランプール、ジャカルタにおいて、そのディストリビューターを集めての大会が今回開かれることになったのです。
私のトンデモセンサーがびんびんに反応したため、FusionExcel社のサイトを訪問してみた。
FusionExcel社はマレーシアに本社をおく多国籍マルチ商法である。
その商品は、スカラーエネルギーという未知のエネルギー(笑)を発するペンダントやブレスレットであり、これを身に着けるとそのエネルギーが体に作用し、病気が治ったり驚くべき力が身についたりするという主張をしている。
まあ早い話が、スカラーエネルギーとかクオンタムペンダントとか、科学っぽいキーワードを散りばめてカモを引っ掛ける典型的なニセ科学商売である。
あとで詳しく書くが、その身についたパワーとやらの宣伝フィルムが、笑ってしまうほど見え見えでちゃちなトリックを使っていて最高だった。
彼らはこのインチキ商品をすでに世界10カ国以上で展開しており、江本つながりで日本へ進出してくる可能性もあるため、ちょっと取り上げておくことにしようと思う。
まずはフュージョンエクセルのサイトを訪れてみる。
トップページでは江本の写真が宣伝に使われているのだが、その宣伝文句には思わず噴出すこと請け合いだ。
Welcome to FusionExcel International
World renowned scientist, Dr. Emoto
(世界的に有名な科学者、江本博士)
これには思わず飲みかけの水を吹き出しかけた。
江本の博士号は、米国のディプロマ・ミルである"オープン・インターナショナル・ユニバーシティ"から購入したもの。
ディプロマ・ミルの学位を、しかも"世界的に有名な"などと冠して使うとは、さすがに世界進出しようというマルチ商法は宣伝のふかし具合も桁が違う。
詳細ページを見ると、笑ってばかりもいられない文章も存在する。
FE is proud and honored to announce a strategic alliance with word renowned scientist and author Dr Masaru Emoto. Dr Emoto’s books "Messages From Water", "The Hidden Messages in Water" and "The True Power of Water" are listed in the New York Times Bestseller List.
フュージョンエクセル社は世界的に有名な科学者であり作家である江本勝博士と共に戦略的提携を発表することを誇りに思い、光栄に思っています。江本博士の本「水からの伝言」、「水は答を知っている」と「水の「真」力 」はニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにも載っています。
ゆるいビリーバーに江本の主張が受けるのは、洋の東西を問わずどこでも一緒らしい。
彼の名前は海外でもすでに、スピリチュアル的なものを信じる層にはかなり浸透しており、こうやって宣伝に利用されるまでになっている。
FEと江本が互いの宣伝のため利用しあうこの構図は、実に商魂たくましくもおぞましい。
さて、私がこの商品を似非であると判断した根拠となった動画をそろそろ紹介しよう。
このマルチ商法の連中はYouTube上で自分たちの宣伝動画を流しているのだが、これが実に見え見えのトリックで、動画を見た瞬間私は大笑いした。
YouTube - FusionExcel Lifting Demo, Ontario, Canada, FE Quantum Pendant, Fusion Excel, Scalar Energy,
4人ががりで1人を持ち上げようとしてもうまくいかないが、ペンダントやブレスレットを身に着けるとあら不思議、スカラーエネルギーのパワーで持ち上がるようになりました〜というつまらん詐欺動画だ。
このインチキのタネはとても簡単で、持ち上げられる側の人間が体の重心と力の入れ具合をコントロールして持ち上げられるかどうかを決めているのである。
最初と二回目の、持ち上げられる人の体の力の入り具合をよく見てみよう。
最初はからだの力を抜いて、持ち上げようとしても腕や足だけしか上がっていなかったのが、二回目はぐっと力を入れて体を固定し、4人に均等に体重をかけ、持ち上がるようにしている。
興味のある人は友達を集めて試してみるといい。持ち上げられる側に多少コツがいるが、慣れれば誰でも出来るから。
このインチキデモンストレーションは、確か日本のマルチか何かでも同じことをやっていたところがあったと記憶している。一度テレビか何かで同じことをやっていたのを見たような気がする。
具体的な名前を思い出せないので、心当たりのある人はコメント欄なりはてブなりで教えてもらえるとうれしい。
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
持ち上げられる人の頭上で持ち上げる側の4人が掌を重ねると…
なんて感じに同じ事をやっていました。。
"おまじない"後には、持ち上げられる側の体に無意識に力が入って、
持ち上げやすくなっていたのかな?
マルチ商法の件は知りませんが、船井のところでも同種の話は出ています。
http://www.funaiyukio.com/shain/index.asp?sno=200807014
宇宙エネルギーだそうです(それは重力のことか?)
分かりやすいトリックと聞いて、ミエミエの偽造写真かと思ったのですが、それ以上に簡単ですね。
そうそう、それです。
それを利用していたマルチだか宗教だかがあったと思うんですが、思い出せないんですよ。
マンガ『帯をギュッとね!』の中でもこれの描写が出てくるくらい、当時それなりに知名度があったネタのはずなんですが。
>町田さん
船井総研は相変わらずですね。
もっとDisっといたほうがいいのかなあ。
>きっどさん
そう、実に簡単なトリックなんですが、困ったことにこれで騙される人も結構いるようです。
他にもあったかもしれませんが。
皆さんのコメントを見て、ちょっと色々調べたら(さんまのまんまでやってたのは知りませんでした)、こういうのが見つかりました↓
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa789817.html
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1316664183
http://www.nhk.or.jp/daisuki/galileo/onair20030503.html
ブクマにも書きましたが、合気道辺りで「折れない腕」というデモンストレーションもありますね。
エネルギーってポテンシャルエネルギーも含めて全部スカラー量だった気がするのですが、ベクトル量を持つエネルギーってあるんでしょうか?
情報提供どうもです。
調べてみましたが、どうもさんまのまんま、小柳ルミ子であっているみたいですね。
どうもありがとうございます。
>TAKESAN さん
いろいろとリンク紹介ありがとうございます。
大元のネタが何だったのかがまだわからないですが、やはりこれ結構広がっているみたいですね。
もうちょっと本格的にデバンキングしておいた方がいいのでしょうか。
>とむけんさん
発見できたらノーベル物理学賞狙えると思いますよ。
>発見できたらノーベル物理学賞狙えると思いますよ。
ですよね〜。
なので、私としては「ベクトルエネルギーによる驚異の力!!」「テンソルエネルギーが世界のエネルギー問題を解決する!!!」みたいな方がインパクトはあるのかなと思います。とくにテンソルエネルギーなんて「エネルギーテンソル」という言葉があるだけにより紛らわしくてよさそうな(笑)。なぜあちら方面の方々は「スカラー」という言葉が好きなのかが謎です。
電磁ポテンシャルがベクトル量だとしても、エネルギーはスカラーになると思うのですが。
こちらの記事に取り上げられていたQuantum Pendantですが、偽科学ではありませんでしたよ。
Quantum PendantにはIAEAのトリウム232とウラン238規制値を超える放射能が検出されているので使用しないよう警告が出されているとのことで(食品安全情報ブログより)、スカラーエネルギー=放射能ということのようですw
江本先生お墨付きの製品のようで、水は放射能警告を伝言していたのかもしれませんが、先生(いろんな意味で)大丈夫でしょうか?
私の主人(ナイジェリア人)がだまされて購入しましたw
日本のものだよ!って自慢してみせるので見たら、いんちきくさくて笑えましたw
この1万円でもっと有効なことに使えたのにw
もう二度と同じことをしないことを祈ってます