例えばこんなのとか。
First Neanderthal genome completed - life - 07 August 2008 - New Scientist
ネアンデルタール人のミトコンドリアゲノム解読
First Europeans shunned Neanderthal sex - life - 16 July 2008 - New Scientist
クロマニヨン人のゲノム調査の結果、ネアンデルタール人との混血の痕跡は認められなかったというニュース。
Did we out-breed slow-maturing Neanderthals? - life - 08 September 2008 - New Scientist
ネアンデルタール人は頭が大きいため難産だったらしい。
Did Neanderthal cells cook as the climate warmed? - life - 27 November 2008 - New Scientist
ネアンデルタール人は暑さに弱く、氷河期後の急激な地球温暖化に絶えられなかったのが絶滅の原因ではないかという仮説。
PHOTO IN THE NEWS: DNA-Based Neanderthal Face Unveiled
DNAに基づいて作成されたネアンデルタール人の顔
Neanderthal genome already giving up its secrets - life - 09 December 2008 - New Scientist
既にネアンデルタール人のゲノム解読は半分を超えており、今年中にドラフトゲノムが完成するだろうという記事
何年か前にクロアチアで発見された化石人骨は保存状態がよく、ゲノムDNAの抽出が可能でした。
勿論数万年のときを経てゲノムは大分分解していますし、バクテリアや発掘者のゲノムによる汚染もあるため、ゲノムの解読は容易なことではありません。
しかしそれでも部分的に判明したゲノムからだけでも多くの情報を読み取ることが出来ており、上に上げたような様々な研究成果が出されています。
現在急ピッチでネアンデルタール人のゲノム解読が進んでおり、次々に新しい知見が得られているからです。
中でも重要なのが、現代人との交雑の可能性がほぼ完全に消えたこと。
これまで両者の関係性については結構好き勝手なことがいわれていたのですが、ゲノムレベルでネアンデルタール人と現生人類を比較してみても、両者の間に交雑の痕跡は認められませんでした。
もしヨーロッパ人の先祖がネアンデルタール人と交配していれば、多少なりとも遺伝子にその痕跡が残るはずなのですが、そういったものはまるで見られなかったのです。
ネアンデルタール人の遺伝子に関する与太論文ってのは結構存在していて、以前もちょっとだけ触れましたが「欧米人は脳の進化の鍵となる脳容積を増やす遺伝子変異をネアンデルタール人から受け継いだ」という感じの内容の、失笑ものの論文がPNASに載っちゃってたりします。
ぶっちゃけ遺伝学でトッピングした白人至上主義の亜流に過ぎませんが。
Evidence that the adaptive allele of the brain size gene microcephalin introgressed into Homo sapiens from an archaic Homo lineage — PNAS
そのうちゲノム解読されたら大恥かくぞと生暖かい目で見てたんですが、案の定。
Nor do Neanderthals boast mutations in a gene called microcephalin, linked to bulging brains in humans. This might shoot down another controversial hypothesis contending that this version of microcephalin also evolved in Neanderthals then spread to humans through inbreeding.
あーあ、ご愁傷様w
まあこういうトンデモネタはともかく、ネアンデルタール人のゲノムの完全解読が済めば、人類の進化の道のりについて、さらに多くの情報が得られることでしょう。
ドラフト配列が決定されて現生人類との詳細な比較結果が発表されるのが楽しみです。
おまけ
ニュース - 古代の世界 - ネアンデルタール人と現生人類の交配はなかった - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト
ミトコンドリアゲノム解読の日本語記事。結構分かりやすい解説がついているので、手っ取り早く知りたい人はこれをどうぞ。