幻影随想: カイチュウ博士こと藤田紘一郎センセが、水商売だけでなく血液型健康商売に手を広げたようだ
カイチュウ博士でおなじみの藤田センセが、血液型健康商売に手を出してZAKZAKに与太記事を書いていたのを取り上げたものなんだが、その関連でちょっと気になることがあった。
関連情報を色々集めていて分かったんだが、藤田センセは大体2000年あたりを境に、こうした「水商売」やら「血液型商売」やらに手を染めるようになったようだ。
Amazonで著書を調べていたら、2000年あたりを境に急激にアレげな本が増えている。
今年の九月には「血液型の暗号(仮)」とかいういかにもそれっぽいタイトルの本が出版されるようなので、要注意だな。
タイトルからしていかにもアレゲで、買うかどうか迷っていたんだが、
どうやらこっちの予想をはるかに超えるレベルで斜め上にぶっ飛んだ内容の本だったようだ。
「やさしいバイオテクノロジー」のyoshiさんがレビューを書いておられたので紹介してみる。
「血液型の暗号」今年一番面白かった本(その1) やさしいバイオテクノロジー/ウェブリブログ
遂にでました。藤田センセイの血液型本の決定版。
リアルタイムで買いそびれていたのですが、eBOOKOFFに800円で売っていて、購入しました。
実に楽しい本です。
人類が誕生した頃はO型だけで、農耕民族としてA型が誕生、山岳の酪農民族としてB型が誕生、AB型は両者の混血!により、なんと1000〜1200年ほどまえに誕生したそうです。
A型やB型が「誕生」したのも、人類の歴史から見てもつい最近のことだそうで、結構新しいらしく、AB型にいたってはわずか千年あまりの歴史しかありません。トホホ。
このような説を免疫学の専門家が免疫学の手法を用いて解明したそうです。トホホ。
「血液型の暗号」今年一番面白かった本(その2) やさしいバイオテクノロジー/ウェブリブログ
藤田説における人類の歴史
藤田説による人類の歴史を、順を追ってみてみましょう。
<<10万年前>>
人類、アフリカで誕生
狩猟民族なのですべてO型
<<6万年前頃>>
現代人の祖先は「アフリカ大陸からユーラシア大陸へと移動を始め」る(p67)
<<紀元前4万年前頃>>
「クロマニョン人は、集団で狩りをしていましたが、やがて獲物を食べつくしてしまい、新しい獲物を求めて別の土地へと移動」(p30)
<<紀元前3万年頃>>
「さらに今のヨーロッパやアジアへ渡」る(p31)
「人間の血液型は、O型しかいなかった」(p67)
<<紀元前2万5000年から1万5000年頃>>
「新モンゴロイド誕生」
「ある時から動物ではなく、森にある植物や穀物を栽培し、家畜を飼う生活を始め」る(p31)
農耕民族の祖先
「変化した腸内細菌類の一部が持っていたA型物質が遺伝子の中に入り込み、新しくA型の人類が誕生」
<<紀元前1万年前頃>>
「B型の血液型が誕生」(p104)
「B型はヒマラヤ山岳地帯に移動した白人種とモンゴロイド(農耕民族)との混血が起こった過程で発生」(p45)
「食糧事情の変化、そして人種間の混血という複雑な変化を繰り返すことによって腸内細菌が変化し」た結果(p104)
<<1000年から1200年前>>
「西暦900年以前の墓を調べても、AB型の血液型物質を持つ人が全く見られない」(p137)
「東方の騎馬民族が東から西へ侵略を続ける間に、A型を持つ人種と、B型を持つ人種の間で混血が起こり、お互いの血液型物質が混じりAB型ができた」(p137)
ここまでの流れをまとめますと
「人類の血液型は、狩猟民族の中でO型が一番最初に誕生し、次に狩猟民族から農耕民族と遊牧民族が派生した中で、環境や食生活の変化によって体内の腸内細菌が変化して農耕民族がA型に、遊牧民族がB型に血液型が変化した」(p136)
そして、A型とB型の混血からAB型が誕生した。
あまりに馬鹿馬鹿しすぎる内容で頭痛がしてくる。
藤田センセはどうも進化生物学や集団遺伝学、そして考古学に対する知識をろくにお持ちでないようだ。
ゲノムから得られた情報も加えた最新の考古学の知見では、現生人類は出アフリカ後に急速に生息域を拡大し、6万年前には東南アジアやオーストラリアに、5万年前には日本を含めた東アジア一帯に、南米にも1万5千年前頃には到達していることが明らかになっている。
一体何を元ネタにしてこの本を書いたのか知らんが、歴史考証がまったくもってナンセンスなんだよな。
幻影随想: 暗礁に乗り上げるヒトDNAデータベース構築計画
幻影随想: 人類の足跡
Atlas of the Human Journey - The Genographic Project
藤田センセが血液型の元がO型だと考えた理由としてこの本に出てくる内容は、ダダモ博士のトンデモ本の受け売りに過ぎない。「世界各地の先住民族の血液型のほとんどがO型」という、あっさり否定されるような根拠薄弱なネタ。
前回も書いたが、人類のABO血液型は既にアフリカから存在するし、アフリカやオーストラリアなどの原住民の血液型はABO全て揃っている。
O型に偏っているのはアメリカ原住民の血液型だけだが、これはただのボトルネック効果。
ボトルネック効果 - Wikipedia
集団遺伝学におけるボトルネック効果(-こうか)またはびん首効果(びんくびこうか)とは、生物集団の個体数が激減することにより遺伝的浮動が促進され、さらにその子孫が再び繁殖することにより、遺伝子頻度が元とは異なるが均一性の高い(遺伝的多様性の低い)集団ができることをいう。
<中略>
この具体例として、ネイティブ・アメリカンのABO式血液型がほとんどO型であることをあげることができる。この場合は、氷河期にベーリング海峡を横断したごく少数の家族(偶然にもO型の者が多かった)がすべてのネイティブ・アメリカンの祖先となったため、O遺伝子の頻度が高くなったと考えられる。
こんなもの集団遺伝学をちょっとでもかじってたら、真っ先に習う典型的な事例なんだが。
ダダモ博士のトンデモ本の内容なぞ、ごく簡単に否定される低レベルの主張でしかない。
腸内細菌云々の話も、そもそも前提条件が完全に覆っている以上、藤田センセの脳内妄想乙で済まされる話。
何をどうやったらこんなトンデモ本が出来上がるのかねえ。
生物分野の専門家の肩書きでこんなデタラメを書き散らすのは、ほんと勘弁してください。

血液型の暗号
【疑似科学・ニセ科学・オカルト・トンデモの最新記事】
トンデモだったのかー!しどい。まあ日常生活には関係ないことなので被害はありませんでしたが…。
テレビ局に氾濫するエセ科学者は子供の頃からトンデモ洗脳電波を発しているのですね。気をつけます
トンデモバトルロワイヤルの予感が。
最近、再々度の血液型ブームだそうですが、マジになられる方が、出てきたら有害ですね。
(週刊誌の吊りですが、我が社の血液型別プロジェクトなんて目について暗澹たる気分に成りました・・・。)
最近、再々度の血液型ブームだそうですが、マジになられる方が、出てきたら有害ですね。
(週刊誌の吊りですが、我が社の血液型別プロジェクトなんて目について暗澹たる気分に成りました・・・。)
「腸内で寄生虫飼えばいいじゃない」で糸冬了する先生なので。
専門家が門外に口出しして失敗するパターンを踏み続けていますね。
まぁどうでもいいけど