2008年11月07日

ヴァンパイアはどのような進化の過程を経て血のみで生きられるようになったのか

ヴァンパイアの真実1:ヴァンパイアは哺乳類である。

ヴァンパイアの真実2:ヴァンパイアは空を飛べる。

ヴァンパイアの真実3:ヴァンパイアは草食や肉食の近縁種とは異なり、血のみを食物として生涯を過ごす。

ヴァンパイアの真実4:ヴァンパイアも乳児の間は母親の母乳を食事とする。

ヴァンパイアの真実5:ヴァンパイアの唾液には、血液の凝固を阻害する物質が含まれている。

ヴァンパイアの真実6:ヴァンパイアは最大で自重の40%もの量の血を吸うことができる。

ヴァンパイアの真実7:ヴァンパイアは夜行性で、獲物の体温を感知することが出来る。

ヴァンパイアの真実8:ヴァンパイアは獲物が寝ている間に忍び寄り、血を吸い取っていく。

ヴァンパイアの真実9:ヴァンパイアの生息地では、血を吸われすぎて衰弱死する犠牲者が毎年あらわれる。

ヴァンパイアの真実10:ヴァンパイアは自分の吸った血を、口移して仲間に分けてやることがある。
 
 
 
ヴァンパイアは中米から南米にかけてのみ生息しており、他の地域には存在しない。
遺伝子の変異を元にした近縁種との進化系統解析によって、最初のヴァンパイアが出現したのは、最も古い場合で2600万年前頃の南米であると考えられている。

ヴァンパイアのゲノムは現在解読中であり、彼らが血のみで生きられるようになった進化の詳細についてはまだ判明していない。現時点で分かっている理由の一つは、彼らの唾液に含まれる、血液の凝固を妨げる因子(プラスミノーゲンアクチベーター:PA)で、この抗凝固因子が彼らの吸血性を支えていることが明らかになっている。
現在ヴァンパイアは3種に分かれているが、その中で最も原始的な性質をとどめている種では、他の種に存在する、人間や他の哺乳類が持っているPA阻害因子に対する耐性変異を持っておらず、PA遺伝子のコピー数も少ない。
一方哺乳類に対する吸血性に特化した種では、二つのPA遺伝子コピーが強い負の選択圧を受けており、この遺伝子がヴァンパイアの吸血性に強く関与していることは疑いない。ただし彼らの進化に欠かせない他の要因があることもまた確実で、研究者らはヴァンパイアのゲノム解読が完了する日を心待ちにしている。

余談だが、ヴァンパイアの血液凝固阻害因子PAは、他の生物の阻害因子よりも強い効果を持っており、ドラキュリンという名前で血流を良くする薬や脳卒中の治療薬として利用されている。


◆おまけ
飛行中のヴァンパイアの姿を正面から激写した一枚。
dn15083-1_680.jpg


◆ネタ元
How vampires evolved to live on blood alone - life - 31 October 2008 - New Scientist
動物 - ナミチスイコウモリ - ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト
#チスイコウモリの英名はVampire bat
posted by 黒影 at 21:45 | Comment(1) | TrackBack(0) | サイエンストピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. これはDHMOと同じやりかたですね。
    黒影さんのことなので何かあると思っていたのですが、そう来ましたか!
    最後の写真を見るまで気がつきませんでした。
    ざんねん

  2. Posted by yu-kubo at 2008年11月14日 00:10
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