現状ではまだ「何で断るんだ!」という感じの脊髄反射が多いようだが、今まで安穏としていた連中の尻に火が付いた恐怖感からの反応としてはまずまずかなと思っている。どうせあと一年もすれば嫌でも現実を理解するだろうから。
既に最低でもこの先5年くらいは、何か急病とか怪我があったときに、運が悪いと医者にすらかかれず死ぬ覚悟が必要なくらい、事態は悪化してるんだよ。
特に医療過疎化が進む地方で、そして首都圏ですらな。
Youtubeの医療崩壊関連の動画を色々と見ていたら、News Zeroが非常に良く問題を整理していたので、まとめ代わりに紹介しておこう。
YouTube - News ZERO 救急崩壊
医師が急患を断る瞬間、受け入れ不能の現実。
「何で断るんだ!」とか「たらいまわしは殺人!」なんて言っている無知はこれを見るように。
YouTube - NEWS ZERO '救急崩壊"2日目
突然「専門外の急患」が
三次救急のリソースが食いつぶされる理由
YouTube - NEWS ZERO 救急崩壊3日目1/2
コンビニのように深夜も、"気軽に救急"で医師悲鳴。
夜間救急にやって来る外来患者の8割が軽症患者。うち半数が子供。
親の不安が救急リソースを圧迫する。
YouTube - NEWS ZERO 救急崩壊3日目2/2
まとめ、現状でできることは
News Zero以外にも色々とあるので、もう一つ紹介しておこう。
私がこの問題関連で一番よいと思ったのは「未来の医療が見えますか」というキャリアブレイン製作の医療問題シリーズなのだが、YouTubeには中途半端にしか置いてないし、元動画は無料配信されているのでそちらのリンクを。
医療介護ニュースや健康・病院・医療業界の最新情報を動画で配信 メディカルTV
特集シリーズ 未来の医療が見えますか
第1部 「7対1の光と影」
「7:1入院基本料」が導入されたことで、病院では看護職員の不足が深刻化しているといいます。医療界では今、何が起きているのでしょうか―。
第2部 「3.16ショック」
史上最大の3.16%の引き下げとなったの診療報酬改定。
「3.16ショック」とも呼ばれ、閉鎖に追い込まれる病院も出始めています。生き残りを模索する現場を訪ねます。
第3部 「命の現場に難民」
診療報酬改定で、リハビリテーションに対する評価も見直されました。疾患別に日数制限が決められたため、リハビリを継続できない“難民”も生み出しました。
第4部 「疲弊する勤務医」
今から約7年前、一人の小児科医が過労自殺しました。病院勤務医の労働実態は過酷で、具体的な対応策が急がれています。
第5部 「女医の就労に“壁”」
厚労省は、女性医師の割合が将来、全体の3割を超すと推計していますが、女性医師常勤割合は、医大卒5年後をめどに激減します。彼女たちを支える就労支援策とは。
最終部 「日本医療の先行き」
総務省が実施した調査では、日本で悪い方向に向かっている分野として「医療・福祉」を挙げた割合が過去最高になりました。 国民の不安を払拭できる打開方策は?
一応簡単に視聴できるようYouTubeのほうのリンクも置いておく。
YouTube - 未来の医療が見えますか 第1部「7対1の光と影」
文章のほうがいいという人にはこっちのQ&Aがお勧め。
freeanesthe: 救急医療崩壊Q&A
現行の医療システムが崩壊すれば、そのあとに来るのは収入(つまり医療にどれだけコストをかけられるか)によって受けられる医療レベルに差が出る欧米型のシステムだろうな。採算の取れない地方と貧乏人は切捨てで。
厚労省辺りは既にその方向性で着々と手を打っているし。
「こうならないため」にも、おまけでこれを紹介
YouTube - 【初音ミク】僻地医療崩壊を歌う
◆追記
このエントリは「ぷにっと囲碁!なブログ」さんのところの
ぷにっと囲碁!なブログ | 東京の医療はは既に崩壊してるのに…。に触発されて書いたものなんだが、なんか元エントリが見れなくなってるな。何でだろ?
とりあえず魚拓で代用しておいたが…
医者だって人なんですから、休みもなく、手術のリスクも高く、高給も望めず、その上患者や遺族から一寸した事で恨まれ裁判沙汰まで起される。
そんな科に就きたい訳がありません。医学生を増やした所で眼科や皮膚科や耳鼻科等のリスクの低い科に人が集まるだけなのは目に見えています。
そして医学生を増やす為の増税を国民が納得して飲み込むとはとても思えません。
これから益々こういった社会の基幹を支える職業は人手不足による崩壊を迎える事でしょう。
無責任なメディアと、嫉みに感情を委ねる庶民の手によって。無知と無恥は罪です。
昨今の過度な官僚叩きを見ると、次は官僚制度の崩壊あたりが起きそうですね。
ここには銀皮症の記事を検索していて訪れましたが、面白半分のサイトが多い中、サイト主さんには問題提起の使命感のようなものを感じました。
私も医療の現場に携わるものですが、昨今の緊急医療や重篤患者の治療に対するマスコミの中傷としか思えないような記事作りには憤りを感じておりました。
医者とは医師免許を貰えば、どんな科目にも従事することができます。
もちろん専門的な研究や学んできた道筋によって、より自分の力を発揮できる分野を専門科目とするべきですが、最近では安泰を望んで選ぶ傾向が強くなっています。
1の方も仰っている通り、より低リスクで診療ポイントを稼ぎやすく、精神的に負担が少ない分野を選択するのが上手な生き方として定着してきました。
実感したい方はタウンページなどの医療科目を見て頂ければ良いかと思います。
私は実家の都合で内科、小児科を主としていますが、耳鼻科、眼科、歯医者の多さには驚かされます。
もちろん、そういった分野を選んだ方の全てが日和見だとは申しませんが、若い医師の中には経営にばかり長け、ろくに最新医療を学ぼうともしない方が多いのも事実です。
医師とは決してベンツを乗り回すような高級職ではありませんし、日々の診察の合間に学問をし、夜は頭から離れない事例や患者さんの一人一人に対して適切な治療ができているだろうか、と苦しむ仕事です。
医大で学べる事は基礎以下ですし、インターン時代は薄給を恨みながらアルバイトと先輩の叱咤を受ける毎日で、大学病院のように面子を気にしながら患者をサンプル扱いするような真似もできず、ただひたすらに人と自分に向き合うだけです。
緊急の方とも年に数度会食する機会がありますが、戦場の医師とはこういうものなのかもしれないと思わせる雰囲気を漂わせています。
精神的にも肉体的にもギリギリの線で業務をこなしているせいか、極端な性癖の方も多いですが、多彩な疾病に対応するため、専門外の病にや御自分の体調管理に対しての質問が多く聞かれます。
多くの緊急病院の医師は、その実務に対する報酬としては薄給であり、家庭を省みれない拘束時間のせいで妻子と上手にコミュニケーションを取れない場合もあります。
医師は後悔した顔を決して他人には見せられないものですが、彼らは全ての患者に臨機応変な対応を迫られ、疲労の極限であっても判断ミスは許されないのです。
仕事だから、と割り切るしかありませんし、患者さんが疎ましいわけでもありませんが、もう少し余裕を持たせてくれたら、過酷な分野を選ぶ若い医師も増えるのではないかと思います。
最後に、救急車を呼ばれる方は、本当に緊急なのかと自分に尋ねてから電話してください。
骨折と軽い打撲、肋間神経痛と心臓病、のような勘違いで、助かる筈だった誰かを死なせるかもしれないと思ってから連絡してください。
医師を振り回す患者の我侭こそ、本当に必要としている人を殺す行為なのです。