2008年07月15日

物理の実験「水の舞」

まずは先入観抜きで下のYoutube動画をご覧あれ。
この動画がどういう科学の原理に基づいて撮られたものか分かるかな?
YouTube - Dancing Liquid「踊る水」

 
 
 
振動というのはとても奥の深い物理現象です。
音楽のセンスのよさも相まって、ライフゲーム並みにはまるよね、これ。
疑似科学ビリーバーな人に見せたら「波動」ネタで新たな信仰を生み出してくれそう。


さて、この動画は、

1.スピーカーのサブウーファの上に金属製のバット(皿)を置く
2.バットに粘性の液体を流し込む(コーンスターチや片栗粉を溶いた水でOK)
3.バットを上から押さえつけながらスピーカーから音楽を流すと、バットに振動が伝わり、粘液に波が発生する。
4.指の力の強弱をうまく加減しながら定常波を発生させる。
5.固まった部分をかき混ぜて変化を与えたり波の位相を変化させることで、密度変化に応じて粘液の硬度変化の連鎖が起こり、このまるで生き物のような液体の動きを演出する。

という方法で撮られています。
あまり面白みが無いのでリンクだけにとどめますが、多分原理的な部分はこっちの動画を見たほうが分かりよいかと
YouTube - Liquid sound waves on a coffee can

高校の物理で波を扱う時にこの実験をやったら食い付きいいでしょうねえ。
コツは水と片栗粉(あるいはコーンスターチ)を1:1〜2:3程度で混ぜることで、こうすることでダイラタンシーと呼ばれる特殊な物性を持ったが出来ます。
色付きの透明なゲルで「踊るスライム」とかやったらちょっとしたショーになりそうな気が。
透明なダイラタンシー性液体ってどんなのがあったかな?


ちなみに、
1.100均で底が平らなステンレスの皿を買ってきて黒く塗りつぶす
2.皿の底が1/3隠れるくらいに食卓塩を入れる。(粒が均質な粒子なら何でも可)
3.皿をスピーカーの上においてガムテープか何かでしっかり固定する。(次で皿がガタガタいうようだと固定不足)
4.音楽をかける。

という実験も結構面白いのでおすすめ。
こちらでは音の周波数の変化に合わせて塩の粒子が様々な波形を形成し、見ていて飽きません。
上のもそうですが、出力の大きなスピーカーはともかく、他は台所にある道具で全てまかなえるのが魅力的な実験です。

ちなみにこちらの実験ではこんな感じの結果が得られます。
YouTube - Sound Waves
(ボリューム注意:超音波駄目な人はミュートのほうがいいかも)



ちなみに…
定常波を使うと軽い物体なら空中に浮かせちゃったりすることも出来ます。
こんな感じで。
YouTube - Acoustic Levitation Chamber


YouTube - Ultrasonic Levitation


これらの動画はもちろん特撮でもSFXでもなく、音の力だけで物体を浮かせています。
タネは定常波の節と腹の間に生じる空気の密度差。
意味が分からない人は高校の物理の教科書や参考書で勉強しましょう。

こういう物理のオモシロ動画のリストも今度作ってみようかな?
posted by 黒影 at 20:21 | Comment(9) | TrackBack(0) | サイエンストピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  1. 「2.バットに粘性の液体を流し込む(コーンスターチや片栗粉を溶いた水でOK)」とありますが、チキソトロピー性を持った流体でないとここまでのオモシロ挙動を示さないでしょう。で、片栗粉+水は顕著なチキソトロピーを示します。水を含んでフルフル状態な海岸の砂を踏むと固くなる、みたいなことがチキソのいい例かな。
  2. Posted by ねこだいすき at 2008年07月15日 22:15
  3. 追記:塩も例に挙がってますが、粉体流動も面白いですよね。雪崩などで顕著ですが、固体→流体→固体という変化が一瞬で起こったり。
  4. Posted by ねこだいすき at 2008年07月15日 22:21
  5. >ねこだいすき さん
    >チキソトロピー性を持った流体でないとここまでのオモシロ挙動を示さないでしょう。

    ですね。その辺の記述が足りてなかったので追記しました。
  6. Posted by 黒影 at 2008年07月15日 22:37
  7. 正弦波なら幾何学模様が見れるかも、と思ったら2番目に出てる。

    フルレンジスピーカのコーン紙が分割振動を起こすと、あんな感じの模様で振動するんですよ。
  8. Posted by e10go at 2008年07月15日 22:44
  9. >ねこだいすき さん
    あ、あと私もどっちがどっちだったかあいまいだったんですが、澱粉溶液の場合チキソトロピーではなくダイラタンシーですね。

    分散系 - Wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E6%95%A3%E7%B3%BB
    >チキソトロピー(thixotropy)は、分散系溶液の状態が応力に対してゾルとゲルとの間で入れ替わることで表れる現象でゲル化しやすい分散系溶液に見られる現象である。応力の無い状態においてはゲルの状態にあり流動性を示さない。しかし、外力が加わるとゲル構造の分子間力の一部あるいは全部が破壊される為、ゾル状態となるため流動性を復元する。また、外力が作用しなくなると再びゲル構造が再生される為に再び流動性を失う。

    ダイラタンシー - Wikipedia
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC
    >物体にずり応力(物体の中にかかる力)が発生して、液体の状態から固体に変化する現象である。この現象が起こる物体を「ダイラタンシー流体」という。ダイラタンシー流体は粒子が小さいため、力を加えて粒子が密集すると粒子の間の隙間が小さくなり、強度が増し、固体になる。しかし、力を加えるのを止めると再び粒子の間の隙間が広がり、元の液体に戻るのである。
  10. Posted by 黒影 at 2008年07月15日 22:58
  11. 最近、TVのバラエティ番組でも澱粉プールをタレントが水上歩行よろしく歩き、キャーキャー騒ぐ番組をちょくちょく見ますね。
    小学生の頃の澱粉を使った実験や、澱粉でとろ味を付ける料理の際、水溶き片栗粉の変わった性質は体験上知ってはいましたが、教科書や先生も一切その事には触れずスルーで不満を抱いたままでした。

    以下、スレ違いですみません。
    その昔、日本が未だ高度成長期で公害が酷かった頃、NHKの特番「NHK特集」は科学番組に偽装した告発番組を放送してて、隙の無い番組の濃密さは非常に面白かったです。デープ・スペクターさんも来日間も無くから見てて、「これは世界トップクラスの番組だ」と思ったようです。(Nスペ以後は堕落しまくりで、クローズアップ現代など酷いもんです。時期的には、角栄の日中国交回復とそれに続くNHKの特番「シルクロード」辺りから、NHKの変質が始まったように感じますね。)

    NHKの子供科学番組「四つの目」が終わってから、こういう番組が消え寂しく思っていましたら、「トコロさんの目が点」や「でんじろう先生」が現れ、「トコロさんの目が点」は今も必ず見ます。
    ですが、「目が点」も時間的制約なんでしょうが、一番面白い処を切り捨てているなと感じたのもあります。
    それは「飛行機の科学」で、お定まりの主翼断面の説明から揚力が発生し浮く話で終わり、小生が子供の頃疑問に思った「では何故?曲芸機は180度逆さのまま水平飛行が出来るのか?」には触れず終い。これは「四つの目」もスルーでしたね。でも小生が感じたように子供は皆疑問に思ってる筈で、科学番組は科学自体程進歩していませんね。

    息子が幼稚園児の頃、水道で手を洗いながら「水って(こうして手の表面を流れて存在するのに)何故?手が透けて見えるの?」と問われ、答えに窮したのを思い出します。実の所、今でも幼稚園児に解るように説明出来ません。黒陰さん、幼稚園児に説明できます?(笑)


  12. Posted by 隠居 at 2008年07月16日 05:09
  13. 野尻さんのふわふわの泉の冒頭で主人公が味噌汁の流動を眺めるシーンがありましたね。

    空気や水というのは目に見えたり見えなかったりするので、興味深かったり、危険が認識できずうやばい目にあったり。

    YOUTUBEに空のビンからビニール袋を使ってコルクを取る動画もありましたねえ。あれは考えた奴えらいなあ。
  14. Posted by SLEEP at 2008年07月16日 11:15
  15. 初めまして。いつも楽しく読ませて頂いております。冒頭のビデオが既にyoutube上から削除されております。この点だけ気づいたので、コメントさせて頂きました。
  16. Posted by H at 2008年07月19日 02:13
  17. >Hさん
    あ、本当だ。消えちゃってますね。
    ご指摘ありがとうございます。
    別の動画に差し替えておきました。
  18. Posted by 黒影 at 2008年07月19日 10:51
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