統計データというのは汲めども尽きぬ泉である。
読むのは面倒くさいがそこから得られる情報は実に多彩だ。
今回は少し切り口を変えて、世の男性諸兄が直面している
あるいかんともしがたい問題を取り上げてみようかと思う。
使うデータはこれである。前回とページは違うが、基礎データは同じだ。
「厚生労働省:人口動態統計 年報 主要統計表(最新データ、年次推移)」
まあタイトルを見て大体の中身は察しがつくと思うが。
人間という生物は、男の方が女よりも多く生まれてくるように出来ている。
その比率は男:女=105:100で、男女をペアにしていくと21人に1人の割合で男性が余ってしまう。
このような出生率の偏りが生じるのは、男性の方が女性よりも病気に対する免疫力が低い(つまり生き延びる可能性が女性より低い)からその分多めに生まれるようになった為ではないかと言われている。
前エントリで書いたように、医療が発達した現代でさえ全ての世代で男性の方が女性よりも死亡率が高い。
過去においてはこの傾向はより強く存在し続けていた。
多分昔はそれでうまいこと適齢期あたりに帳尻が合っていたのだろう。
しかし科学の発達と共に人類の医療衛生は劇的に向上し、人はちょっとやそっとでは死ななくなった。
これはとても喜ばしいことではあるが、一方では困った問題が生じてしまった。
男性の出生率は以前と変わらぬまま高いので、男女の数が釣り合う均衡点がかなり高年齢側にシフトしたのだ。
ありていに言えば男が余ってしまうのである。
厚生労働省の統計によると、日本の平成16年時の総人口は約1億2620万人。
このうち男性が6160万人、女性は6460万人で総人口を見ると女性の方が多い。
しかし実はこれは50歳以上の中高齢層において女性が非常に多いためであり、
50歳以下の比較的若い層ではどの世代を見ても男性が女性よりも多いのである。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai04/sankou3.html
そのため若い世代では最低でも21人に1人、
100%の婚姻は現実的では無いので、実際には10人に1人以上の男性があぶれることになる。
間の悪いことに少子化と晩婚化がこれに追い討ちをかける。
男性の平均結婚年齢は女性のそれよりもやや高い。
つまり年上の男性と年下の女性というカップルが多い。
ただでさえ女性が少ないのに上の世代の男性が入ってくるのでさらに競争率が上がるということだ。
少子化で女性の出生数も年々下がっている為、下の世代ほどしわ寄せがきつくなることになる。
年齢別未婚率の推移
男性の生涯未婚率は既に12%を超えた。
現在30歳以下の世代では、おそらく生涯未婚率は20%近くまで上がるだろう。
昔は文字通りの生存競争、
そして現在はパートナーの獲得競争。
男の生存競争はいつの時代もキビシイのである。
余談だが、日本の隣の国々でもやはり男性は厳しい状況に晒されている。
・図録▽韓国の人口ピラミッド
・図録▽中国の人口ピラミッド
この二国では日本以上に男女比が偏っている。
女100に対して男が115というのはいくらなんでも偏りすぎだ。
どちらも男尊女卑の儒教精神の強い国だから、少子化で男子を優先するようになっているのだろう。
20年後くらいには大変なことになっていそうだが、大丈夫だろうか?
◆関連記事
・死の確率計算
1対1対応を考えるからいけないんですよ。
何も残されていないであろう。
「西洋諸国にあわせて、キリスト教系の性倫理観を適用したから」
でしょうね。
明治初期までは銭湯も混浴だったようですし。
まあ、富国強兵の一環ではあるでしょうけど。
様に、他のアジアの国からお嫁さんを迎える
人が少なからずいるようですが、それらの
国々での男女比はどうなっているのでしょうね。