2010年07月12日

IBMがゲノムビジネスに本格参入するらしい

先日リリースされたニュースによると、IBMがゲノム解読ビジネスに本格参入する気らしい。
関係業界(うちの業界だけど)にとっては、結構インパクトがあるニュースだ。

一つ目はゲノム解析装置の開発で、ロシュと提携するというもの。
IBM to commercialize genome reading - BusinessWeek
IBMは、ヒトゲノムを解読する低コストのデバイスを構築するために、医療機器メーカーのロシュと提携した事を6日に発表した。

「この技術が商業化されるまで、まだ10年以上かかるかもしれませんが、一度これが成れば、あらゆる医師に患者のゲノム構成を調べる低コストで迅速な方法を提供できるようになります」とIB研究所のコンピュータ生物学シニアマネージャー、Ajay Royyuruは語った。「ゲノム解読のコストは低下し、解読速度も早くなって来ていますが、そこにはまだコスト、解読速度、解析規模の問題が残っています」とRoyyuruは言う。

このプロジェクトはIBMのDNAトランジスタを使用する。これらのDNAトランジスタは、ナノスケール細孔(ナノサイズの穴)を持っており、この穴を通してデオキシリボ核酸(DNA)配列を流すことができる。これらのナノスケール細孔は電界を利用することでDNAの各塩基を識別する。

YouTube - IBM DNA Transistor


IBM setting up cloud for genome research | Cutting Edge - CNET News

現在各所で第三世代シーケンサーと呼ばれる、DNA、RNAを一分子の精度で解析可能なシーケンサーが開発されているけれど、
このナノスケール細孔を通して測定する方法はもっとも有望視されている技術の一つ。
というのも、この方法なら第二世代までのように遺伝子を増幅する必要がなくなり、その分薬品コストが下がるのと、
塩基の識別も電気的シグナルという機械化しやすい手段で検出できるため、高速化と大規模並列化がしやすいからだ。
そして解析装置自体の作成も、簡単低コスト化できそうだという見通しが立ちつつある。

ナノスケール細孔の一部はシリコンで作成されているため、マイクロプロセッサを作成するために使用されているリソグラフィー技術と同じ方法で大量生産することが可能である。
他の研究者もまたナノスケール細孔の使用を検討しているが、DNAは非常に高速にナノスケール細孔を通過するため、そのような設計では正確にDNAを解読できない。
「それはスパゲッティをすするようなものです。一旦DNAがナノスケール細孔内を通り抜け始めると、それは本当に一瞬です。10〜20ミリ秒の間に、48000基のDNAが通り抜けることを我々は確認しました。このスピードでは、DNAを正確に読み取るチャンスは非常に小さなものです。」とRoyyuruは言う。
DNAの通過速度を落とすために、IBMは流速を望んだ速度に調整できるように、ナノスケール細孔に電気的な制御装置を作成した。
「我々はDNAの細孔を通過する動きを電気的に制御することができます。」


この技術が実用化されたらどの程度のコスト、速度でヒトゲノムの解読が可能となるかについて、彼はこうコメントしている。
全ての用意が整ったら、このデバイスは100〜1000ドルでヒトゲノムの解読を可能とするようになるでしょう。

ただし実用化まで当分かかるようで、基礎研究だけであと5〜10年かかると答えている。
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posted by 黒影 at 00:00 | Comment(3) | TrackBack(0) | バイオインフォマティクス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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