2006年11月17日

36年ぶりに狂犬病の死者発生

最近大して記事も書いていないのに昨日の晩あたりから普段の5倍もアクセスが殺到しているから何事かと思ったら、こんな事件があったのか。
情報量も少ないのに何故かWikipediaの狂犬病の項からリンクが貼られているので、それで大量にトラフィックが流れ込んできたらしい。
亡くなった方の冥福を祈って合掌。
asahi.com: 狂犬病発症の男性死亡 京都市?-?健康
 京都市は17日、狂犬病を発症し意識不明の重体だった同市内の60代の男性が、同日未明に死亡したと発表した。男性は8月末ごろに旅行先のフィリピンで犬にかまれて感染したとみられ、16日に狂犬病と診断された。

 同市によると、男性はフィリピンに滞在中の8月末ごろに左手を犬にかまれた。11月に帰国後、発熱など風邪のような症状があったことから、9日に京都市内の病院で受診。その後、幻覚やのどのけいれんなどの症状が出たため、国立感染症研究所で調べた結果、狂犬病ウイルスが確認された。

イヌに限らず動物に怪我を負わされたら、まず狂犬病のワクチンを摂取しなければならない。特に海外での場合は危ない。
いくら日本では狂犬病の事例が少ないとはいえ、30年間発症事例がなかったためかこういう常識も薄れつつあるようだ。

狂犬病の潜伏期間は二ヶ月。発症前にワクチンを打てば助かるが、発症後に助かった事例は6例しかない。
さらにそのうち5例までは発症したとはいえワクチンが打たれており、ワクチン無しで助かったのは今のところ私が以前のエントリで取り上げた事例だけのようだ。
治療法が確立されるまでまだ当分かかるのだろうな。
posted by 黒影 at 21:53 | Comment(19) | TrackBack(2) | サイエンスニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月09日

「水からの伝言」を物理学者が切る

はてなブックマークで随分と話題になっているので、このブログを見てくれている人なら既に知っている人も多いと思うが、物理学者の田崎先生が「水からの伝言」に対する良質な批判を書いている。
水伝批判のまとまったコンテンツとしては、菊池先生や天羽先生のところをも凌ぐかな。

「水からの伝言」を信じないでください
人の心は、すばらしい力をもっています。ほかの人たちを思いやる心、愛と感謝の心は、とても大切です。しかし、それと「水が言葉の影響をうける」という「お話」には、なんの関係もありません。
私たちは、学校の授業など、教育の場に「水からの伝言」をもちこむのは、絶対によくないことだと考えています。
このページでは、「水からの伝言」についての、私たち科学者の考えを、簡単に説明します。

いいコンテンツだ。
これだけ質量揃ったコンテンツを作るには、相当な時間がかかった事だろう。
田崎先生の努力に賞賛の声を送ると共に、コンテンツの趣旨に賛同する者の1人として、このブログでも紹介させてもらう。

うちのブログでも何度か取り上げたが、水伝の話は結構影響範囲が広いので、その悪影響が馬鹿に出来ないのだ。
◆関連記事
初等教育を侵食する似非科学
オノ・ヨーコからのクリスマスメッセージ
水からの伝言札幌襲来
江本氏的には、祈りは元素変換をも可能とするらしい

2006年11月07日

再生医療の二つのニュース

最近再生医療関連で二つほど見逃せないニュースがあったので、
忘れないうちにフォローしておく事にする。

一つ目がこれ
asahi.com: ES細胞から人工肝臓、マウス実験で成功 岡山大助手ら?-?サイエンス
 いろいろな組織や臓器に育つ可能性があるマウスの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から作り出した肝細胞を袋状のものに組み込んで体内に埋め込む「人工肝臓」を、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の小林直哉助手(45)らのグループが開発した。肝臓の9割を切除したマウスに埋め込んだ実験でも救命効果が認められた。ヒトのES細胞の利用には倫理的な課題があるが、将来の人工肝臓の臨床応用に近づく成果と注目される。

幹細胞を利用した再生医療の具体例として、かなり実用に近づいてきた感じ。
肝臓の細胞ならわざわざ幹細胞から作らんでもいいような気もするが、まあそういう突っ込みは野暮というもの。健康な肝細胞を採取できない病人向けの治療という事なんだろうな。
倫理面での問題さえクリアすれば、臨床にも近そうな研究で期待が持てる。

そして、その倫理面での問題をクリアする方法になるかもしれないのがこちらのニュース。
asahi.com: 拒絶反応減る万能細胞 余分な染色体除去 京大助教授ら?-?サイエンス
 病気や事故で傷ついた体を補う再生医療に使った時に拒絶反応が起きにくい「万能細胞」を、京都大再生医科学研究所の多田高(たかし)助教授らのグループが作った。マウスの胸腺細胞に、様々な組織に育つ可能性を持つ胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を融合して「万能性」を持たせ、融合した細胞から拒絶反応の原因となるES細胞側の染色体を丸ごと取り除いた。5日発行の米科学誌ネイチャー・メソッズに発表した。

体細胞とES細胞を融合させて万能細胞化した後で、ES細胞由来の染色体だけうまく取り除こうというコロンブスの卵的な発想。この方法が実用化可能なら、いちいち新しいES細胞を作らずとも幹細胞を得られるわけで、倫理面のハードルをかなり無くす事が可能となる。

どちらのニュースも今日明日にどうこうという話じゃないが、
5年後くらいには臨床に移っていたらといいのにと思う。
posted by 黒影 at 23:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | バイオニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月06日

毒の話1.5―水の致死量10リットルのネタ元を調べる―

ご無沙汰しております。
しばらく家を空けていて、妙に検索ヒットが伸びていると思ったら、何やら微妙なネタ記事が人気を博しているではありませんか。
水も砂糖もみんな毒? 身近な食品の致死量を調べる | エキサイトニュース

前に書いた記事の影響で、「水 致死量」でググるとうちのブログがトップに来る。
だからこの記事の影響で流れてきたんだな、うん。
面白いからこのネタをちょっと探ってみた。
続きを読む
posted by 黒影 at 22:25 | Comment(7) | TrackBack(2) | サイエンストピックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする